SF

映画「プラットフォーム」感想・評価:人間同士が殺し合うこんなエグイドラマ見たことない

サマリー

 


★★★☆☆(お薦め)

2020年3月公開のスペインのSFホラー映画 現代の階層社会を皮肉ったドラマ
監督 ガルデル・ガステル=ウルティア
原案・脚本 ダビド・デソーラ
出演 ●イバン・マサゲ
●ソリオン・エギレオル

映画『プラットフォーム』予告編

 

穴と呼ばれる階層状の建築物、部屋の真ん中の天井と床に大きな四角い穴が開いている。一日に一回上から建物を浮遊するプラットフォームと言うテーブルが下りてくる。そのプラットフォームには山盛りの食べ物が載せられている。建物のすべての住人が節約すれば全員が食べられる量がある。そしてプラットフォームは底に着いたら凄い速さで上昇する。

ところが人間はエゴの塊だ。上層階の連中は何人前も食い尽くす。上から数えて100階以降の下の階になると食べ物がほとんど残っていない。そして月に一回、麻酔ガスを嗅がされ、眠っている間に階層が変わる。もし200階以下になれば、食べ物は何も残っていない。餓死するのを待つか、同室の人を殺して食うしかない。

ゴレン(イバン・マサゲ)は志願してこの建物の住人になる。ここで半年間耐えれば認定書がもらえる。それがあれば外部の生活が有利になる。彼は48層で目覚める。そこにはトリマガシ(ソリオン・エギレオル)と呼ばれる老人がいた。

トリマガシは穴の中に一年以上も住んでいるつわものだ。ここでの生きるすべを身に着けている。穴には一つだけモノを持ち込んでもいいことになっている。ゴレンはドン・キホーテの本を持ち込んでいる。トリマガシはよく切れる包丁を持っていた。彼は8層から下は132層まで経験していた。

トリマガシは上から降りてきたプラットフォーム上の残飯を素早く口に放り込む。48層はまだましだ、残飯と言えども食い物は残っている。しかし、残った食べ物をポケットに隠そうものなら、部屋が高温になって焼け死んでしまう。プラットフォーム上の食料はそこからほかに移してはいけないルールになっている。

ゴレンはトリマガシ爺さんと仲良くなるが一か月後、171層に部屋替えされてしまう。ゴレンが目を覚ますと体中がひもで拘束されていた。やはり、171層まで降りてきたプラットフォームには食べ物は何一つ残っていなかった。空腹に耐えかねたトリマガシは包丁を持ってゴレンの太ももの肉を切り落とそうとする・・・。果たしてゴレンは食われてしまうのか。

感想・ネタバレ

ゴレンはプラットフォームに乗って上から降りてきたミハルに助けられる。トリマガシは格闘の上死んでしまう。ゴレンは老人を食う気にはなれず、老人に集ったウジを食べながら飢えをしのぐ。そして新たな同居人バハラットと仲間になる。

2人はプラットフォーム上のパンナコッタを無傷のまま上に戻せば強烈なメッセージになると考え、この食べ物一点を守りながら下層へと降りてゆく。途中、それを阻止しようとする者に遭遇するが彼らを蹴散らしながら下へ下へと進む。

ゴレンの情報では最下層は上から数えて200階と考えてきたが、実際には333階まであった。最下層近くに少女がいた。バハラットは途中、格闘のケガですでに死んでいた。大事に守ってきたパンナコッタをその少女に与える。最下層は洞窟になっていた。

洞窟に降りたゴレンは少女をプラットフォームに乗せ、上昇してゆくのを見守る・・・。

最下層近くに何故少女がいたのかまた、ゴレンは洞窟から生きて出られるか誰にも分からない。この物語は「階級社会の闇」をうまく表現している。上層階は美味しい料理が食べられる上流階級だ。でも彼らとて安泰ではない、いつ下層階級に落ちるか分からない。

我々が住んでいる現代の世界も上にいる一部の人間によって支配されている、この映画と同じだ。ゴレンは善良な僕らの分身だ。でもこんな恐ろしい世界にいれば、徐々に染まってゆくのか・・・。

 

TATSUTATSU

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