SF

映画「アンチヴァイラル」感想・評価:変態監督による変態ファン向けの変態ドラマ

サマリー


★★☆☆(そこそこ面白い)

2013年日本公開のカナダ・アメリカ合作の近未来サイバーパンク・ミステリー
監督・脚本 ブランドン・クローネンバーグ(アンチヴァイラル
出演 ●ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(X-MEN:ファースト・ジェネレーション、バリー・シールゲット・アウトスリー・ビルボードアンチヴァイラル
●サラ・ガドン(複製された男ドラキュラZEROアンチヴァイラル
●マルコム・マクダウェル(時計じかけのオレンジ、キャット・ピープル、アンチヴァイラル

映画『アンチヴァイラル』予告編

 

はっきり言って変態映画だ。正常な嗜好の方はパスした方が無難だと思う。監督のブランドンはあの変態映画の巨匠デイヴィッド・クローネンバーグの長男だ。

デイヴィッド・クローネンバーグと言えば頭がはじける「スキャナーズ」、カルトファンのバイブル「ビデオドローム」、「裸のランチ」など常識を超える作品が多い。そしてブランドンも作風がよく似ている・・・才能は遺伝するのか?

「アンチヴァイラル」とは「ウイルス感染症の治療薬」と言う意味だ。いつの時代も追っかけファンは多いものだ。スターやセレブと同じ服が着たいとか同じ車に乗りたいとか同じものを食べたいとか、ファンの欲望は留まることを知らない。

「食べてしまいたいほど可愛い」とか少し意味は違うが「君のすい臓を食べたい」なんて映画もあった。このドラマの舞台、近未来では「セレブのウイルス」や「セレブの細胞」が高値で売買されている。

セレブの熱狂的なファンは「セレブと同じ病気に罹りたい」とルーカスクリニックにやってくる。主人公シド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)はセレブが罹った病気の感染力を弱めたウイルスを販売し、客にそれを注射する「注射技師」だ。

今日も有名女優ハンナ・ガイスト(サラ・ガドン)のヘルペスウイルスを買い求めたファンの唇に注射する。そして2~3週間後に発病し、彼女のウイルスはあなたの体の中で生涯生き続けると説明する。

シドはこっそりと「セレブのウイルス」を自分に注射し、その血液の中のウイルスを横流ししていた。闇では何でも流通している、セレブの細胞を培養した肉も食用として売っている。さらにセレブの皮膚細胞を増殖させ、自分の腕に移植することも流行っている。お金さえ出せば何でも可能なのだ。

シドは契約しているハンナが病気になったとのことで彼女のところにウイルスを採取しにゆく。そしてこっそりと血液サンプルを自分にも注射する。

シドは発病し熱にうなされるが、ハンナと同じ病気を分かち合えたことに恍惚の表情となる。夢の中で排気口のような口から血がしたたり落ちる。

ところがハンナが亡くなったとの情報が入る(まだ、この時には生きていた)。シドは口から血を吐き倒れる。新種の強力なウイルスを誰かがハンナに感染させたようだ。調査をすると、それはライバル会社だった。

そしてシドは拉致・監禁される。彼が死んでゆく様子を詳細に記録し、ウイルスの販売に役立てようとしていた。有名セレブ、ハンナと同じ病気になって死にたいと考えるファンがいるからだ。果たしてシドはこのまま死んでしまうのか・・・。

その後のストーリーとネタバレ

シドはスキを見て監禁された部屋から逃げる。そして自分の会社に助けを求める。彼は抗ウイルス薬によって死は免れる。しかし、まだ生きていたハンナは死んでしまう。

シドは会社にハンナの細胞をガン化させ永遠に生かすプロジェクトを立ち上げるよう提案する。彼のプロジェクトは成功し、培養装置の中でガン化したハンナが永遠に生き続ける。

そして、培養装置から突き出た腕状の皮膚をメスで傷をつけ、したたり落ちる血をなめ、恍惚状態のシドがいた。

レビュー

とにかくエグイドラマだ。しかし、セレブと同じ病気でも死にたくないよね。例えばオードリー・ヘプバーンは大腸ガンで亡くなっている。いっくら好きな女優でもガンはカンベンしてほしい。

最近活躍目覚ましいケイレブ・ランドリー・ジョーンズが主役だ。そしてデイヴィッド・クローネンバーグお気に入りのサラ・ガドンがヒロインとして花を添えている。「時計じかけのオレンジ」で強烈な印象を残したマルコム・マクダウェルも出演している・・・かなりのおじいちゃんになっている。

ブランドンは、この映画を「セレブ崇拝主義に対する風刺劇だ」と言っている。世の中を見ているとスターやセレブがもてはやされる時代が続いている。でも彼らは虚像と実像を使い分けていることを知らないといけないね。

さてブランドン監督は次にどんな変態映画を見せてくれるか楽しみだ。

TATSUTATSU

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