SF

映画「デューン/砂の惑星」感想・評価‐今見ても気持ちの悪い作品だ

サマリー


1985年日本公開のアメリカSF作品で、30年前に映画館で一度観た。今回DVDを観てみた。相変わらず気持ちの悪い作品である。あの壮大なドラマをここまで気持ち悪く作ることが出来るのはさすがデヴィッド・リンチ監督だけのことはある。

デューン/砂の惑星 日本公開30周年記念特別版 Blu-ray BOX PV

 

しかし、彼が描いた世界観はマニアの間では評判でコアなファンがいるのも事実である。

怖いもの見たさと言うべきか、あるいは百鬼夜行を傍観者として見るような感触なのか。この映画の主役はカイル・マクラクランで若く凛々しい姿が懐かしい。

ブレードランナー」でもおなじみのショーン・ヤングも出ており、まだういういしさが残っている。彼女はSF映画がよく似合う。

また、ロック歌手のスティング(ポリスのボーカリスト)も出ている。出番は少ないがその圧倒的な存在感はさすがである俳優に専念しても成功したに違いない。

映画音楽にはTOTOも参加している。製作費は30年前で40億かかっている、現在の金額に換算すると100億はゆうに超す価値があるのではなかろうか相当な金がかかった作品とも言える。

原作はフランク・ハーバートの「Dune」で1965年から20年間にわたって書き続けられてきたSF古典である。ヒューゴー賞、ネビュラ賞を受賞している。

物語が壮大過ぎて映像化が不可能と言われていた。CGのなかった時代に苦労したと思う、映画を観るとチャチな感じがするのは仕方がないのかもしれない。

しかし、残念ながら映画ですべてを表現することは出来ず、結末はダイジェスト版になってしまっている。(大変残念な出来である。)一般的なSFファンや原作者にも不評で、成功した映画とは言い難い。

物語を要約すると「砂に覆われた砂漠のような惑星アラキス、通称デューンを舞台に、この星にしか存在しないメランジと呼ばれるスパイスをめぐる争いを中心に、救世主一族の革命と世界の混乱が壮大に描かれている。」

デューンには巨大ミミズのような砂虫(サンドワーム)が生息しており、宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」に出てくる王蟲(オーム)にも影響を与えたと言われている。また、この物語の世界観は「スター・ウォーズ」にも受け継がれている。

砂虫は命の水やメランジを生成する。メランジとは不老不死の妙薬でかつ、これを使えば恒星間飛行能力を得ることも出来る。惑星アラキスを制する者は、宇宙をも制するとされている。

ストーリー

ストーリーを少し紹介すると、人類が恒星間帝国を築き上げた時代、帝国の皇帝であるシャッダム4世は、自分の地位を不動にするため、公家どうしを競わせ弱体化させる戦略を取る。

この策略のためアトレイデ家を豊かな海洋を持つ惑星カラダンから砂の惑星アラキスに移住させる。しかし、惑星アラキスで待っていたものは宿敵ハルコネン家でありハルコネン男爵の謀略によってアトレイデ家は滅亡してしまう。

アトレイデ家の当主レト侯爵(ユルゲン・プレフノフ)は殺されるが、息子のポウル(カイル・マクラクラン)と母のジェシカ(フランセスカ・アニス)は砂漠に逃れる。

ポウルは砂漠の民フレーメンの間に伝わる宗教儀式において「命の水」を飲むことによって未来を透視する超能力を得る。そしてフレーメンの救世主となる。(目がブルーになっちゃうね)

また、彼は生態学者リエト・カインズ(マックス・フォン・シドー)とフレーメン女性との間に生まれたチャニ(ショーン・ヤング)を愛するようになる。

ポウルは音声を増幅して強力な音波を放つ武器を開発する。そして、砂漠に振動装置を差し込み、振動を出すことによってサンドワームをおびき寄せる。

サンドワームの上部に飛び乗り、この巨大な虫をコントロールする。虫は多数のフレーメン戦士をのせ、ハルコネンの軍隊に向かって戦いを挑む。

果たしてポウルは父の仇を打ち、アトレイデ家を再興できるのであろうか。

レビュー

冒頭から気持ちの悪い映画だといったが、それのベスト3を紹介する。

ベスト1・・・・・ハルコネン男爵(ケネス・マクミラン)が非常に悪趣味で醜い、性格も陰険である。

顔には無数の吹き出物が出来、200Kgの巨体をサスペンサーと言う装置で浮遊させる。奴隷の生血をススルのが趣味で、奴隷たちがいけにえにされる。

フェイド・ラウサ・ハルコネン(スティング)は彼の甥である。ポウルとは同年齢で宿命のライバルと言える。

ベスト2・・・・次
に恒星間輸送を独占する宇宙協会(スペースギルド)、事実上は皇帝をも上回る力を持
つ。

構成員はメランジの大量摂取によってミュータント化した航宙士たちでナビゲーターと呼ばれる。巨大な芋虫あるいはしわくちゃなバッタのような生き物になっている。

しかし彼らがいないと、恒星間の移動は出来ない。貴重な水先案内人である。

ナビゲーター

 

ベスト3・・・・さらにベネ・ゲセリットといわれる魔女の集団、メランジによって強化された知覚力と記憶移植技術を持つ。

彼女らは公家の婚姻を利用して子孫を増やしている。未来をコントロールすることを目指して修行しており、外見は不気味な顔と衣装に包まれている。

ポウルの母親ジェシカと妹のエイリアもこの系統である。

僕の記憶に残っている一番のシーンはポウルが巨大なサンドウォームを乗りこなす場面であり、カイルがカッコイイ。

この先はダイジェストになっており、物語の展開が足早に語られる。前半・後半の2つの映画に分けた方が良かったのではないだろうか、あまりに時間が足りない。

しかも、本でも読んでいない限りストーリーがチンプンカンプンで良く分からない。

ポウルの母親役のフランセスカ・アニスがあまりにも美人で周りの女優が霞んでしまっているのも記憶に残っている。しかし、結末の方で彼女はグロテスクな魔女に変身する。さすがにショーン・ヤングまでは魔女に変身しなかったのが幸いである。

将来、再映画化されることがあるかもしれないが、スターウォーズのようにもう少し万人に受けるような仕上がりにしてほしい。

ただ、原作もこの映画も後のスペースSF映画に大きな影響を与えていることは間違いない。まあ、観ておいて損はない映画だと思いますよ。

TATSUTATSU

追伸:ドゥニ・ビルヌーヴ監督でリメイクされると言う情報が入ってきている。どんな仕上がりになるのか楽しみだね。

サンドワームをうまく使いこなすことが戦いの勝敗を握る。

 

スター・ウォーズ「ローグ・ワン」もアップしたよ。

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辰々のフェルミのパラドックスを映画で徹底解説する:宇宙人は本当にいるのか何故姿を現さないのか」を見てね。


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