ヒューマンドラマ

映画「バリー・シール/アメリカをはめた男」感想・評価‐トム・クルーズが破天荒な実在の男を演じる


サマリー

2017年10月日本公開のアメリカ製作ヒューマンドラマ
監督 ダグ・リーマン(ボーン・アイデンティテー、Mr.&Mrs.スミス、オール・ユー・ニード・イズ・キル
出演 ●トム・クルーズ(ジャック・リーチャーミッション:インポッシブルマイノリティ・リポートオール・ユー・ニード・イズ・キルオブリビオン インタビュー・ウィズ・バンパイア
●サラ・ナイト(バリー・シール/アメリカをはめた男)
●ドーナル・グリーソン(レヴェナント:蘇えりし者スター・ウォーズ/フォースの覚醒エクス・マキナ

『バリー・シール/アメリカをはめた男』予告映像

こんな破天荒な男(バリー・シール)がアメリカに実在したとはビックリだ。CIAとコロンビアの麻薬組織を手玉に取り、麻薬の運び屋から武器の密輸や横流しまでやってしまう。まさにダークな空の宅配便だ。

1970年代当時だからこんな芸当が出来た。今ではとても無理、撃ち落とされてしまう。また米ソ冷戦のさ中、自由主義のアメリカと共産主義のソ連が勢力拡大に躍起になっていた中南米。こんな背景が、ダークな男を生み出した。

バリー・シール(トム・クルーズ)はアメリカにとって必要な男だがもの凄く危険な男でもある。彼のパイロットとしての腕前は超一流だ、国境を越えてどこの国にも行き来してしまう。

彼はあっと言う間に億万長者になるが、次から次へと入ってくる現金で自宅が満杯だ、もう隠す場所が無い。仕方ないから庭にバッグ詰めの現金を埋める。車のトランクを開ければ札束がうなっている・・・うらやましいがダークな金はいけないね。

テンポのいい軽快なストーリー展開と小型飛行機による空中アクション。それにコメディ調の演出、何と言ってもトム・クルーズ演じるバリーが底抜けに明るい。

トム・クルーズ ファンはもちろん、気楽な映画が好きな人にはお薦めだ。但し、映画にはあまり深みはない。太くて短い男の人生を映画で体験して見てはどうか・・・。

話しのスジを少し紹介すると、バリー・シール(トム・クルーズ)はトランス・ワールド航空のパイロットとして働いていたが、野心家であったため日々の仕事に飽き飽きしていた。

ある日彼はCIAのシェイファー(ドーナル・グリーソン)から仕事を依頼される。その仕事内容とは中南米の偵察で、敵の軍事基地などを写真に収めることである。彼はCIAからアーカンソー州ミーナに滑走路付きの広大な土地と最新鋭の小型飛行機をあてがわれる。

そしてこの地に妻のルーシー(サラ・ナイト)と子供たちを呼び寄せる。初めは嫌がっていたルーシーだが、多額の現金を見せられ納得する。

南米コロンビアに着陸したシールは麻薬カルテルのパブロ・エスコバルから麻薬の運び屋として雇われ、高額の報酬をもらうようになる。このころから彼は仲間を増やし運搬業を拡大してゆく。

シールはシェイファーから中南米の親米組織への武器の輸送を請け負うがその一部を麻薬カルテルに横流ししてしまう。シールは億万長者になって行くが、麻薬取締局(DEA)とFBIに目を付けられる。


「バリー・シール」

果たして彼はDEA、FBIに逮捕され牢屋にぶち込まれてしまうのか・・・。

ネタバレ

バリー・シールが悪事に手を染めるのは1978年のCIAからのスカウトが契機になっている。当初はその天才的な飛行機の操縦によって、グアテマラやエルサルバドルの上空から敵の実弾を避け軍事基地の写真を撮るだけだった。

ところが1980年にコロンビアに着陸したとき、麻薬カルテルのパブロ・エスコバルからコカインの運び屋を依頼される。1キロ2,000ドルの報酬に目がくらみ引き受けてしまう。一回運べば日本円にして数千万円の金を稼ぐことが出来る。

1981年~1982年はCIAの仕事と麻薬の運搬業務に4人のパイロットを雇って荒稼ぎする。このころ金が家の中に溢れ、その隠し場所に苦労する。家をプール付きの大邸宅に改築する。さらに銀行に莫大な現金を預け、地元の名士となる。この頃がバリーにとっては絶頂だ。

1983年になるとFBIやDEA、ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)に目を付けられ、ついに逮捕されてしまう。麻薬と武器の密輸などの罪でどう考えても軽く20年はブタ箱にぶち込まれてしまう。

ところが救世主が現れる。なんとレーガン政権のホワイトハウスから声がかかる。バリー・シールは釈放されて、新たな仕事に就く。その仕事とはコロンビア政府などの役人が麻薬カルテルに加担している証拠写真を撮ることだ。

バリーはこの仕事をやり遂げるが裏切り者として、麻薬組織の殺し屋に殺害されてしまう。約8年の間CIA、麻薬組織、ホワイトハウスを手玉に取って大金を稼いだバリーは太くて短い生涯を閉じた。

やっぱり悪事を働けば、行き着く先は目に見えている。どんなに大金持ちになっても殺し屋に狙われながらモーテルを転々とする生活なんてまっぴらだね。

TATSUTATSU

映画「アナベル死霊人形の誕生」感想・評価‐人形には何が憑りついているのか前のページ

「ジェーン・ドウの解剖」映画の感想・評価‐解剖した美しい女性の恐るべき正体次のページ

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気記事

アーカイブ

最近の記事

2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  
  1. SF

    「インターステラー」映画解説・評価:人類は生存可能な星に移住出来るのか?
  2. 尾曲り猫シロちゃんお母さんに大甘え(じいじは嫌いなの)
  3. ラブラドール

    老犬ラブラドールネネちゃん雨の散歩もまた楽し(カッパ似合うよ)
  4. サスペンス

    映画「エージェント・ライアン」感想・評価‐ストーリーをもう少しひねって欲しいね
  5. 海外ドラマ

    TVドラマ「HANNIBAL/ハンニバル1-4,5,6」感想・評価‐誰もが殺人鬼…
PAGE TOP