サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2019年11月日本公開のイギリス製作アクション・サスペンス
監督・脚本 アンドレア・ディ・ステファノ(THE INFORMER/三秒間の死角)
原作 ●アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム「三秒間の死角」
出演 ●ジョエル・キナマン(ロボコップ、スーサイド・スクワット、THE INFORMER/三秒間の死角)
●ロザムンド・パイク(007ダイ・アナザー・デイ、ゴーン・ガール、THE INFORMER/三秒間の死角)
●クライヴ・オーウェン(キング・アーサー、クローサー、トゥモロー・ワールド、ラスト・ナイツ、ヴァレリアン千の惑星の救世主、ANONアノン、THE INFORMER/三秒間の死角)
●コモン(ハンターキラー、THE INFORMER/三秒間の死角)
堀の中をリアルに描く、手に汗を握るハードボイルド・タッチのドラマだ。刑務所の中がこれだけリアルに描かれるドラマは数少ない。ベストセラー小説アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム「三秒間の死角」の映画化だ。
二人の共書だが、この中の一人が実際の刑務所帰りだ。誰しも最悪の刑務所に入りたいとは思わないだろうが入らなくてもこの映画を見れば、いかに恐ろしい場所か経験できる。
刑務所の中は何でもありだ。殺人犯は誰からも一目置かれる。ところが性犯罪者はトコトンいじめられる。さらに潜入捜査スパイやタレコミ屋と言う正体がバレればほぼ100%殺される。
刑務所の中でも「薬」は蔓延している。誰が敵で誰が味方か分からない、主人公はこんな世界で生き残り、無事にシャバに戻れるのか。
結末がややありきたりだが、前半は充分楽しめる。犯罪映画や潜入捜査官映画などハードボイルドの好きな方にはお勧めだ。
ピート・コズロー(ジョエル・キナマン)は昔、軍の特殊部隊兵士だったことから筋骨隆々で頭もキレる。ところが誤って犯罪を犯し12年の刑となる。そんな彼に刑期短縮を条件にFBIが潜入捜査スパイとして協力しろと圧力をかける。
ピートは妻ソフィア(アナ・デ・アルマス)と娘に早く会いたいために申し入れを受ける。ピートが繋がっているのは女性捜査官ウィルコックス(ロザムンド・パイク)だ。彼女から指令が来る、そして彼女の上司はモンゴメリー(クライヴ・オーウェン)だ。
ピートは順調に仕事をこなしてゆくが大変な事件が起こる。仲間がニューヨーク市警の潜入捜査官をピートの目の前で撃ち殺してしまう。
ニューヨーク市警のグレンズ(コモン)は部下を殺され頭に血が上る。どんな手段をとっても部下を殺した奴をあげようと捜査網を狭めてゆく。
「将軍」と呼ばれる組織の元締めからピートに命令が下る。市警殺しの罪をかぶって刑務所へ入れと言うことだ。ニューヨーク市警が嗅ぎまわっていることによって商売がやりにくくなっているからだ。断れば妻子が危ない。
そして刑務所内の薬を仕切れと元締めからゲキが飛ぶ。ピートは仕方なく刑務所に戻り、「将軍」に言われた通り、刑務所内の仲間と動き始めるのだが・・・。
その後のストーリーとネタバレ
刑務所内には敵対勢力がいる。予定では、ピートは独房に入れられることによって安全が確保されるがそれがどういうわけかうまくゆかない。彼は敵対勢力に殺されかかる。
ピートは刑務所のヤクの密売組織をリストアップし排除するのが自分の役割だと真実を白状する。「将軍」の息のかかった組織をつぶせば、敵対勢力は安心して仕事が出来る。
ピートは敵対勢力からリストをもらいベッドの中に隠す。ところがそれが見つかり「将軍」の仲間に殺されかかる。同時にニューヨーク市警のグレンズが刑務所内の知り合いを経由してピートに迫ってくる。
ピートはFBI捜査官ウィルコックスに「助けてくれ」と電話する。そして妻に娘を連れて逃げろと指示する。ところがウィルコックスは上司モンゴメリーから「違法捜査がニューヨーク市警にバレるとやばい」と言われ。「ピートとの繋がりを切れ」と命令される。
その頃、「将軍」の部下がピートの妻子に迫ってくる。そこに聞き込みに現れたグレンズによって二人は助け出され保護される。
ピートはもう時間がないと守衛を人質に刑務所内のある場所に立てこもる。そこの窓にガスボンベを並べる。狙撃兵から放たれた弾がガスボンベを貫通し大爆発が起こる。ピートは爆発で死んでしまったのか・・・。
瀕死状態の人質の守衛が担架に乗せられ、救急車で運ばれる。救急車に乗っていたのは守衛の服を着たピートだった。救急車にはウィルコックスも乗り込んでいた。彼女は彼をかばい、秘密のホテルに隠れるよう指示する。
そして、彼女はグレンズに全てを話し味方に引き入れる。モンゴメリーは違法捜査の罪によってニューヨーク市警に逮捕される。ピートはグレンズからパスポートと旅券をもらい暫く海外へと姿をくらませる。
レビュー
途中まで面白かったのに、クライマックスがありきたりだったね。守衛の服を着たピートがうまく助けられ、逃げられるシーンは色々な映画で何回も使われている。もっと斬新な、予想もつかない脱出方法を見たかった。
それに「将軍」を頂点とする麻薬組織が壊滅されずに、正義の味方FBIのモンゴメリーが捕まってしまう。これっておかしくない。このストーリーでは後味が悪い。
外交官がプライベートジェットで麻薬を運ぶなんてことが本当に行われているのか。アメリカには色々なルートで麻薬が運ばれてくる。大昔ではセスナで国境を越え、空から麻薬の詰まった包みを落とす方法があった。トム・クルーズ主演の「バリー・シール」を見てほしい。
現在も、次から次へと新手の方法(使い捨ての潜水艦を使った方法)が現れている。いったい何時になったら撲滅できるのか・・・。ところで最近のクライヴ・オーウェンは悪役ばかりだ、ここらでイメチェンが必要だ。「ブレードランナー2049」のアナ・デ・アルマスが出ているのも見逃せないね。
TATSUTATSU
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