サマリー
冬・春 予告編
夏・秋 予告編
2014年公開の日本映画、監督は森淳一、主演は橋本愛(あまちゃん)である。映画は夏、秋、冬、春と4部作であり、このレビューでは「夏、秋」編をとりあげる。
原作は五十嵐大介によるマンガで、作者自身が岩手県衣川村(現在は奥州市)で過ごした実体験が元になっている。
物語は一人の女性が大自然の中の小さな集落で、自給自足に近い生活をして行く姿が描かれている。自然の中での生活は厳しいが、都会の様な人間関係に煩わされることもなく、自分にとってかけがえのない時間が静かに流れてゆく。
彼女は都会で男と暮らしていたが、都会にはなじめず一人で田舎に逃げ戻ってきた。集落には同世代の仲間や近所の老人達が居てお互い協力しながら暮らしている。彼女は5年前に母親が失踪し、それ以来一人暮らしである。
この映画では、料理場面がよく出てくる、畑や近所の山から取ってきた食材を材料として実に手際よく調理し、美味しそうである。
美しい自然の風景、綺麗な水が流れる沢、夜にはホタルや昆虫が沢山集まってくる。また家には猫が一匹居ついている。
田植え、草取り、野菜の世話、合鴨農法、稲刈り・・・・・でもこんなか弱い小娘が自然の中で生きてゆけるとは到底思えない。
橋本愛ちゃんには申し訳ないが、色白で、ほっそりしていて、きれいな指で農業しているとはとても思えない。それに残念ながら田舎暮らしの生活感も見られない。
でも自然の美しい場面がいっぱい切り取ってあるので、メルヘンの世界だと思って映画を堪能すればいいのかもしれない。
都会の煩わしい生活に疲れたのなら、是非この映画を観て元気を出してもらいたい。
ストーリー
ストーリーを紹介すると、「夏編」:東北の山の中の小さな集落小森に、いち子(橋本愛)は自給自足に近い生活をしている。近くにお店は無く、自転車に乗って30分くらい行くと村の中心部に農協のスーパーなどが数件ある。でも冬は雪が積もるので徒歩で1時間半くらいかかる。
小森は盆地の底に位置し、水蒸気が停滞して、夏は湿気がひどく、洗濯物は乾かない。湿気との戦いは続くが、暑いけどまきストーブを焚くと湿気がやや収まる。ついでにストーブの余熱でパンを焼く。
田んぼの草取りも重労働だ、取っても取っても次から次に生えてくる、まるで緑の侵略者だ、体中が草に飲み込まれそうである。
村には同級生のキッコ(松岡茉優)と後輩のユウ太(三浦貴大)がいる。いち子はお米を発酵させて甘酒の様な飲み物を作る、これを冷蔵庫で冷やす、そしてユウ太を呼んで一緒に飲む。
夏はこの飲み物が一番だ、いち子の料理は母の福子(桐島かれん)から教わったものである。彼女はグミを集めてジャムを作ったり、ウスターソースなんかも作ってしまう。
いち子は養魚場のアルバイトをユウ太と一緒に行う、そして責任者のシゲユキ(温水洋一)からイワナの塩焼きや味噌汁をおすそ分けにいただく。
小森は雨が多いのでいち子の好きなトマトがすぐ病気になってしまう。他の農家は皆ビニールハウスでトマトを栽培している。
でも、いち子はビニールハウスを作ってしまうと、小森に腰を落ち着けてしまいそうな気がして、まだ踏み出せない。
「秋編」:秋になると、自然の食材(クルミ、クリ、木の実など)は動物たちと競争しながら確保する。また冬を前にして貯蔵食料(干し柿、干し芋、サトイモ、漬物など)も準備しなければならない。
いち子はアケビの実を取ってきて、キッコと一緒に食べる、甘くて美味しいが種が多い。アケビの皮は炒め物にして食べる、これも結構いける。
クルミの混ぜご飯で弁当を作ったり、分けてもらったイワナの南蛮漬けも作る。今年は集落でクリの渋皮煮が流行る。それぞれが工夫をこらし一味違った渋皮煮がおすそ分けとして食べられる。
いち子は合鴨農法でお世話になった合鴨を可愛そうだが、絞めて羽をむしり、解体して料理に使う。
彼女は5年前に突然失踪した母のことを思う、母はズボラだと思っていたが、自分の方がもっとズボラである事を悟る。
冬が近づき霜が降りた日に、母から手紙が届く。
レビュー
田舎の暮らしは、はた目には非常に魅力的に映る。でも実際、人間が一人生きてゆくためには、それだけでもコストがかかる。
少々の蓄えが無いと、自給自足と言っても長続きはしない。また一人の生活は特に、夜は寂しくて耐えられない、人間一人では生きて行けないと思うね。
結局いち子は都会へ戻り、男を連れてまた舞い戻って来るようである。母福子も寂しさに耐えられなかったのかもしれない。
僕も、田舎に住んでみたいと思うが、たぶん一週間も持たないと思う・・・・・でも都会の便利さを実感するためにも田舎に住むことはいいことだと思う、クマさえでなければ・・・・・・・。
辰々
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