ストーリー
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「運」をWikipediaで調べると「その人の意思や努力ではどうしようもないめぐりあわせを指す。」と出てくる。まさに「運」とは神任せだ。
人によっては「運」はつかみ取るものだ、待っていてはダメだ・・・と言う。自分の前を通り過ぎる幸運の女神の前髪を素早く掴むのだ。彼女に後ろ髪はない。或いは、ある人は「幸運」はじっくり待つべきものだ。待っていれば「幸運」は自ずとやってくる。
どちらも正しいと言える。この「運」とはいったいなんだろうか。「運」がいい人と悪い人が間違いなくいる。地球はこの広い宇宙の中で太陽のまわりを回っている。そして24時間周期で自転もしている。さらに月を携えている。これらは相互に影響を及ぼしながら規則正しく動いている。
地球上で暮らしている僕らはこれらに当然影響を受けている。その一つがバイオリズムだ。僕らの体の状態、感情、知性などが周期的に変化している。そしてバイオリズムがうまく合えば心・技・体が合致するように素晴らしい行動が出来る。
これらはあくまで仮説ではあるが、当然「運」も周期的に変化する。それを捕まえるにはその周期に合わせなくてはならない。周期がずれればボタンの掛け違えのようにいつまでも「幸運」に巡り合わない。不運が続くと感じたら生活パターンを少しずらしてみる。
朝、6時に起きていたら、5時とか7時に起きてみる。また寝る時間を変えてもいい。慣れたパターンを少し変えてみるのだ。そうすると「幸運」がやってくるかもしれない。
僕はある男A君の話を聞いている。彼とは会社の同僚で、込み入った話をすることもある。ある日彼は不思議な話をする。「俺は幸運が見える」と冗談とも取れるようなことをいう。
彼がこの能力を感じたのは中学生のころからだそうだ。高校入試、大学入試、就職による会社選び・・・人生の大きな転換点に「幸運を掴む能力」を使ってきた。
彼が言うには進路が二つか三つある場合は部屋を暗くして目を閉じ座禅を組む。そして暫く、精神を統一した状態で頭の中に進路を思い浮かべる。そうすると向かうべき進路がかすかに光る。
明るく照らされた進路を選択すれば、間違った結論にはゆかない。彼はその選択が正しかったと1~2年後に感じることになる。例えば大手の就職先2社から内定をもらった。彼は本来ならばB社に行きたがったがC社に就職をする。
何年か後、世界中に蔓延したパンデミックにより、B社のダメージは大きく、株価は大暴落した。あくまで短期的な評価ではあるが進路は間違っていない。彼のこの能力は歳とともに強化されていったと思う。
一緒に仕事をしてみると彼の凄さが分かる。無駄なことをほとんどしない。まるで水が高いところから低いところへと何の抵抗もなくスムーズに流れるようだ。仕事がクレバーでスマート、しかも早い。周りとの軋轢もほとんど聞かない。
僕は将来、彼は経営者の一角を担うと感じた。ひょっとしたら社長にでも上り詰めるかもしれない・・・と。ところが彼は数年後にくも膜下出血で帰らぬ人となる。僕は物凄くショックだった。
「運命」を扱うことは神の領域だ。彼はそれを侵したことによって制裁を受けた。或いは運命を先読むことによって、自分の寿命を犠牲にしていたのかもしれない。
前にも述べたが、僕の生まれながらの寿命は55才だと思っている。55才の時大腸が破裂、大量の下血をして倒れた。倒れたところがたまたま「運」良く病院の近くで命拾いした。部屋で倒れていれば死んでいた。
その後暫くして毎年健康診断を受けていたのに、心臓が重度の病気にかかっていることが判明。「運」良く、会社に来てくれる産業医が見つけてくれた。その後11時間の心臓手術で生還した。
今70才を過ぎているから高度医療に助けられて「生かされている」。江戸時代や明治時代であればとっくに死んでいるのだ。
実例を二つほど紹介しよう。ある知り合いから聞いた話・・・「地下鉄サリン事件」のほぼ同じ時間、同じ車両で毎日の通勤していた。たまたま当日は出張のため乗っていなかったのが幸いした。
低開発国に転勤の辞令が下りた時・・・いやだった。どこの会社でもそうだろうが、物凄く精密な人間ドックを受けさせられる。行く先の医療体制が信用できないからだ。その結果、見落としやすい微小のガンがみつかった。その後、早期治療で難を逃れた・・・「幸運」だった。
こうやって見てゆくと「運」とは誰の所にも公平に来ている。僕は宝くじに当たったこともないし賭け事もからきしダメ、仕事や上司にあまり恵まれた方でもない。でも、二回も命を救われた。これで充分「幸運」と言える。
「運」とはいったい何だろうかそして「運」の質とは・・・追い求めないで待つのがけっこう正解かもしれない。宝くじが当たるのはうれしいけど、早死にするかもね。
TATSUTATSU
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