はじめに
「未来惑星ザルドス」
過去、管理社会と言われるものは、周りから常に監視され個人の自由がほとんど無い社会である。密告、盗聴が横行し、少しでもおかしな思想や行動があればすぐさま逮捕されて思想教育を受ける。
ひどい場合には、個室に監禁、拷問による再教育、さらに再教育が及ばなければ粛清される可能性がある。世界を見渡してみるとそんな国がある。親兄弟や自分の子供でさえも信用できない、恐ろしいまさに生き地獄だ。
では、我々が住んでいる今の社会は自由なのか、個人のプライバシーや尊厳が守られるのかと言えばそうとも言えない。現代のITが発達した世の中では、個人情報はデジタル化され全てサーバーに保管されている。
これらの個人情報が政府によって簡単に閲覧できてしまえば、僕らは丸裸同然だ。スノーデンが暴露した「国民監視システム」、グーグル検索のように特殊なコードを入力すれば、世界全ての個人情報がのぞけてしまう。
「スノーピアサー」
僕らが自由だと思っていた現代社会が「高度な管理・監視社会」になっていたとは・・・。今、僕らはユートピア世界に生きているのではなく、ディストピア世界の入り口に立っている。
第20位 13F
2000年日本公開のアメリカ・ドイツ合作 仮想現実世界サスペンス
監督 ジョセフ・ラスナック
出演 ●グレイグ・ビアーコ(ラスベガスをやっつけろ、13F、シンデレラマン)
●アーミン・ミュラー=スタール(シャイン、13F、天使と悪魔)
●グレッチェン・モル(13F、ギター弾きの恋)
●ヴィンセント・ドノフリオ(フルメタル・ジャケット、13F、ザ・セル、メン・イン・ブラック、ジュラシック・ワールド)
●デニス・ヘイスバート(メジャーリーグシリーズ、24-TWENTY FOUR-)
大どんでん返し系映画だ。ある男が仮想現実世界と現実世界を行き来して殺人事件を調査してゆく。映画を見ている僕らも頭がこんがらがってくる・・・ダマされないように。
ダグラス(グレイグ・ビアーコ)は仮想現実を研究している技術者だ。会社の13Fにあるコンピュータールームには彼らが作り上げた超リアルな1937年代のロサンゼルスが仮想現実世界として保存されている。
その過去の世界に生きている人々は一人ひとり個性と記憶を持っている。過去の人間は現実世界の人間のアバター(自分の分身)といえる。
ある日ダグラスの上司であるフラー(アーミン・ミュラー=スタール)が殺されたとの連絡が入る。ダグラスは何故かその日の記憶が無くしかも血で汚れた自分のシャツを見つけてしまう。彼は自分が殺人を犯したのではないかと不安になる。
彼はフラーが時々、1937年の仮想現実世界を行き来していたことから、彼もその世界に装置を経由して行ってみる。そこではフラーが何か秘密を掴んでいることを知る。そしてその秘密をダグラスに告げようとする前に殺されていた。
ダグラスはフラーの娘だと言うジェイン(グレッチェン・モル)に合う。彼はフラーに娘がいるとは知らなかった。彼女はフラーとダグラスが一緒に作り上げてきた会社を清算したいと言う。
ダグラスは自分の頭がどんどん混乱してくる、それにジェインにはどこかで会ったような不思議な感覚があった。
ヒントを一つ、ダグラスが生きている世界はひょっとしたら仮想現実の世界かも知れない。もしそうだとするとダグラス達を作り出した人間はいったい誰なのか・・・。「マトリックス」と考え方が似ている。
第19位 未来惑星ザルドス
1974年日本公開のイギリス ディストピアSF映画
監督 ジョン・プアマン(未来惑星ザルドス、エクソシスト2)
出演 ●ショーン・コネリー(007シリーズ、薔薇の名前、アンタッチャブル、インディー・ジョーンズ、未来惑星ザルドス、オリエント急行殺人事件)
●シャーロット・ランプリング(愛の嵐、未来惑星ザルドス、エンゼル・ハート、リスボンに誘われて)
https://youtu.be/TVakHZp5ZBE
今から40年以上前に作られた低予算(100万ドル)映画だ。この映画を今見てみるとチープすぎるのと学芸会のようなチャチな演出で見るに耐えないかもしれない。
でもこのドラマが現在まで生き残っているのは、主演がショーン・コネリーであることと内容が生と死を扱った哲学的な魅力を兼ね備えているからだと思う。
2293年の遠い未来、人間は不老不死の「エターナル」と普通に死ぬことの出来る「獣人」に分かれて暮らしていた。
「エターナル」達は「ボルテックス」と言う理想郷に住んでいる。荒れ果てた土地に住んでいる「獣人」達との連絡手段は唯一「ザルドス」と呼ばれる空飛ぶ巨大な人の頭部を形作った石像だ。
「獣人」達の中にはエクスターミネーターと呼ばれる殺し屋集団がいる。彼らは「獣人」達を管理し、育てた穀物を「ザルドス」に捧げる。そして「ザルドス」からは武器をもらう。
ある日アーサー・フレインと言う男がエクスターミネーターのゼッド(ショーン・コネリー)を石像の中に隠し「ボルテックス」に送り込む。
理想郷に紛れ込んだゼッドは「エターナル」達に混乱と死をまき散らして行く。
「獣人」達の繁殖力は凄い、エクスターミネーターに殺され続けても数が減ることは無い。それに引き替え「エターナル」達には繁殖力どころか性欲も無い。
死があるから生が輝く、不死になってしまえば生ける屍のように無気力になって行くのか・・・考えさせられるね。
第18位 JM
1995年4月日本公開 カナダ・アメリカ合作のサイバーパンク映画
監督 ロバート・ロンゴ(JM)
脚本 ウィリアム・ギブスン「記憶屋ジョニイ」
出演 ●キアヌ・リーブス(ドラキュラ、スピード、マトリックスシリーズ、ジョン・ウィック)
●ドルフ・ラングレン(ロッキー4/炎の友情、レッド・スコルピオン、ユニバーサル・ソルジャー、エクスペンダブルス、JM)
●北野武(戦場のメリークリスマス、JM、ゴースト・イン・ザ・シェル)
●ティナ・メイヤー(ソウシリーズ)
●ウド・キア(JM、アルマゲドン、ブレイド)
この映画は監督が無名だけど、脚本にSF作家のウィリアム・ギブスン、主演にキアヌ・リーブスが参加している。残念ながら完成度は低くあまりヒットしなかった。
でも数年後の「マトリックス」につながった記念的な作品であることは間違いない。また北野武がハリウッドデビューした作品でもある。彼は同系統のサイバーパンク最新作「ゴースト・イン・ザ・シェル」にも出演している。
そう言う意味では気になる作品だ・・・まあ観ておいたらどうかな。二人とも今では大物になっている。
ジョニー(キアヌ・リーブス)は頭に埋め込まれた記憶装置を使って極秘の情報を闇で運ぶのが仕事だ。ある組織から彼の記憶装置を上回る多量のデーターを運べとの依頼が来る。
この仕事はリスクも大きいが報酬も大きい、しかしある時間内に記憶を取り出さないとジョニーは脳をやられて死んでしまう。
彼は情報をねらってくる殺し屋に追われるはめになる。それにヤクザのタカハシ(北野武)にも命をねらわれる。
果たしてジョニーが運ぶ重要な情報とはいったい何なのか、そして時間内に情報を記憶装置から抜き出すことが出来るのか。
第17位 アイランド
2005年7月日本公開のアメリカSF映画
監督 マイケル・ベイ(アルマゲドン、トランスフォーマーシリーズ)
出演 ●ユアン・マクレガー(スター・ウォーズシリーズ、ブラックホーク・ダウン、ゴーストライター)
●スカーレット・ヨハンソン(her/世界でひとつの彼女、アンダー・ザ・スキン、シェフ 三ツ星フードトラック始めました、LUCY/ルーシー、ゴースト・イン・ザ・シェル)
もの凄く医療技術の進んだ未来(この映画では2019年になっている)、クローン人間たちが多量に生産される。彼らは何のために生かされているのか・・・実に怖い映画だ。
彼らクローン人間たちは管理されたコロニーで暮らしている。コロニーの外は汚染されていて出られないことになっている。
彼らの唯一の希望は汚染されていない美しい島「アイランド」に行くことなんだね。でも応募者が多くくじ引きで当選しないと行けない。
ある日リンカーン(ユアン・マクレガー)は換気口から「蛾」が入って来たのを見てしまう。おかしい、外部は汚染されてて生き物はいないはずなのに・・・・。
彼はこっそりとコロニーの各部屋を調べてゆく、ところがそこで恐ろしいものを見てしまう。「アイランド」行の当選者たちが、臓器を摘出され、殺されているのだ。
リンカーンは悟る、自分たちは臓器を提供するために生かされているのだと。慌てた彼は女友達のジョーダン(スカーレット・ヨハンソン)を連れてコロニーから逃亡する。
果たして彼らは逃げ延びることが出来るのか、そして外部の世界には何が待っているのか。
金持ち達は不慮の事故や病気に備えて臓器のスペアを確保している、つまりクローン人間を作っておくことなんだ。もうクローン技術は確立されているからあとは倫理の問題だけだ・・・恐ろしい世の中が来そうだ。
第16位 CODE46
2004年9月日本公開のイギリス近未来SF映画
監督 マイケル・ウィンターボトム(ひかりのまち、CODE46、イン・ディス・ワールド、グアンタナモ、僕達が見た真実)
出演 ●ティム・ロビンス(トップガン、ジェイコブス・ラダー、ショーシャンクの空に、ミスティック・リバー、CODE46、宇宙戦争)
●サマンサ・モートン(マイノリティ・リポート、CODE46、ギター弾きの恋、アァンタスティック・ビーストと魔法使いの旅)
この映画もクローン人間がテーマだ。
CODE46(法規46)とは
第一条
同じ遺伝子を持つ者同士の生殖はいかなる場合も避けなければならない。
この法規を犯した者は、犯罪者としてそれに関わる全ての記憶を抹消される。
近未来、クローン人間は珍しくなくなってしまった。この時代の人類は都市部に集中して暮らしており、建物の外は砂漠のように荒廃している。
都市間はパペルと呼ばれるパスポートが無ければ移動出来ない。このパぺルの偽造事件を調査するためウィリアム(ティム・ロビンス)が派遣される。
彼はパぺルを取り扱っているマリア(サマンサ・モートン)に疑念を抱くが、何故か彼女に惹かれてしまう。そして二人は関係を持つのだが、CODE46に抵触していることが後で分かる。
マリアはウィリアムの母親の遺伝子を持っていたんだ・・・彼は結局マザコンなのかな。果たして二人の運命はどう展開してゆくのか・・・。
近未来の地球は砂漠化が進行している映画が多い。地球温暖化の影響なのか、核戦争後なのか、太陽活動の活発化なのか・・・いずれにしろ地球は荒廃してゆく。
自然を大切に守って行かないと大変残酷な未来が来てしまうと思う。でもこのままでは地球温暖化は避けられない。
第15位 リベリオン
2003年日本公開のアメリカ近未来SFアクション映画
監督 カート・ウィマー(リベリオン)
出演 ●クリスチャン・ベール(アメリカン・サイコ、リベリオン、バットマンビギンズ、ターミネーター4、アメリカン・ハッスル、エクソダス:神と王、マネー・ショート華麗なる大逆転)
●エミリー・ワトソン(奇跡の海、レッド・ドラゴン、リベリオン、博士と彼女のセオリー、エベレスト3D)
●デイ・ディグス(リベリオン、レント)
●アンガス・マクファーデン(ブレイブハート、ソウ3、ソウ4)
「リベリオン」とは「反乱」と言う意味だ。ところが原題は「Equilibrium」(力の釣り合い、平衡、均衡)となっている・・・邦題の方が分かりやすい。
日本ではあまりヒットしなかったが、映画の中の「ガン=カタ」と呼ばれる二挺拳銃を使った格闘技がカッコ良かった。低予算映画だからチープさは仕方が無い。主演のクリスチャン・ベールはこの映画以降アクション俳優としてメジャーになってゆく。
第三次世界大戦後に建国された理想都市「リブリア」。この世界に君臨するのはテトラグラマトン党のファーザー(ショーン・パートウィー)と呼ばれる独裁者だ。
「リブリア」では二度と戦争が起こらないようにするため「感情」を持つことが禁止されている。「Equilibrium(イクイリブリウム)」と呼ばれる政府機関から配給される「プロジアム」と呼ばれる感情抑制薬を毎日 服用しなければならない。
薬の服用を拒んだり、感情を動かすような本・音楽・映像を所有したりすれば「グラマン・クラリック」と呼ばれる特殊捜査官によって処刑される。
特殊捜査官のジョン(クリスチャン・ベール)は妻が感情違反の罪で処刑されていた。彼は「プロジアム」のカプセルを割ってしまったことから薬を服用せずに仕事に出かけてしまう。
ところが彼は朝焼け空の美しさ、音楽の心地よい響き、仔犬の可愛さ、反逆者の女性メアリ(エミリー・ワトソン)に亡き妻の面影を見る。そして心が動かされ徐々に感情が芽生え始めてしまう。
彼はユルゲン(ウィリアム・フィクナー)率いる反体制勢力と同調し、敵の副総裁デュポン(アンガス・マクファーデン)、彼の親衛隊ブラント(デイ・ディグス)に立ち向かってゆく。
「ギヴァー記憶を注ぐ者」の世界観とよく似ている。感情のない世界は砂をかむように味気ない。こんな世界で生きたいと思う?
第14位 赤ちゃんよ永遠に
1973年日本公開のイギリス ディストピアSF映画
監督 マイケル・キャンパス(赤ちゃんよ永遠に)
出演 ●オリヴァー・リード(脱走山脈、オリバー!、赤ちゃんよ永遠に、グラディエーター)
●ジェラルディン・チャップリン(ドクトル・ジバコ、赤ちゃんよ永遠に、チャーリー)
少々古い映画だけど恐ろしい未来が描かれている。「Z.P.G.」とは「Zero Population Growth」のことで、つまり「人口増加ゼロ」のことだ。
近未来、人口が増えすぎたために、都市はスモッグに覆われ深刻な自然破壊が進行してゆく。動植物は絶滅しかかり、人間の食糧が乏しくなってゆく。
このままでは人類は滅びてしまうことから政府は30年間子供を作ることを禁止してしまう。この禁を破れば処刑ドームの中で死刑が待っている。
子供を持ちたい夫婦には代用としてロボットベビーが販売される。博物館職員のロス(オリヴァー・リード)と妻のキャロル(ジェラルディン・チャップリン)はロボットベビーに満足せず、子供を作ってしまう。
二人の間に生まれた息子ジェシーは、隠れて育てていたが友人夫婦に見つかってしまう。彼らは秘密を守るからジェシーを共有させてほしいと頼み込む。
ところがジェシーの奪い合いからケンカになり、政府に通報されてしまう。果たして彼らはドームで公開処刑されてしまうのか・・・。
人口増加の問題は深刻だ、中国の一人っ子政策に見られるように、時には人口の抑制は必要なのかも知れない。でも自然の摂理を人為的にコントロールしてしまうと場合によっては手痛いしっぺ返しをくらう。
逆に先進国では、日本のように将来人口が大幅に減少する国も出てきている。地球規模の環境汚染が広がってくれば「トゥモロー・ワールド」のように子供が生まれなくなる日が来るかもしれない。
第13位 渚にて
1960年日本公開のアメリカ核戦争SF映画
監督 スタンリー・クレイマー(渚にて、招かれざる客、ニュールンベルグ裁判)
原作 ネビル・シュート「渚にて」
出演 ●グレゴリー・ペック(アラバマ物語、大いなる西部、ローマの休日、白鯨、マッケンナの黄金、オーメン)
●エヴァ・ガードナー(ショウ・ボート、裸足の伯爵夫人、渚にて、北京の55日、天地創造)
●フレッド・アステア(トップ・ハット、イースター・パレード、バンド・ワゴン、ザッツ・エンターテイメント、タワーリング・インフェルノ)
●アンソニー・パーキンス(サイコシリーズ、渚にて、さよならをもう一度、オリエント急行殺人事件)
もの凄く古い映画だけど、核戦争後の人類が滅亡してゆく様を当時の大スターたちが演じている。白黒映画だけど、グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、フレッド・アステア、アンソニー・パーキンスなどの名優総出演だ。
第三次世界大戦が勃発し各国が核ミサイル攻撃を始める。そして核による都市破壊と放射能によって北半球は全滅する。アメリカ海軍の原子力潜水艦スコーピオン号は運よく海中にいたため核の被害から免れる。
スコーピオン号はまだ放射能に汚染されていないオーストラリア メルボルン港に向かって航行する。寄港した彼らはアメリカ シアトル付近からのモールス信号を受信する。
ひょっとしたら生存者がいるのではないかと考えた艦長のタワーズ中佐(グレゴリー・ペック)はオズボーン博士(フレッド・アステア)とオーストラリア海軍ホームズ少佐(アンソニー・パーキンス)を乗艦させて救出に向かう。
発信源のワシントン州サンタマリア島にある海軍通信学校に到着し、防護服で身を固めたサンダーストローム中尉が上陸する。彼はそこであまりにも空虚で殺伐とした光景を見る。結局生存者は誰もいなかった。
ただ、ひもに吊り下げられたコーラの空き瓶が風に揺られて信号機のスイッチに触れていただけだった。スコーピオン号はまたメルボルン港に戻るが、世界中に広がった放射能汚染は確実にオーストラリアにも到達しつつあった・・・もう残り時間がない。
タワーズ中佐はここで知り合ったモイラ(エヴァ・ガードナー)に別れを告げるとスコーピオン号に乗り込みどうせ死ぬなら祖国で死にたいとアメリカを目指す。
ここに出て来るスコーピオン号は実際に建造され1960年に就航している。そして1968年に事故で消息を絶っている。
第12位 2300年未来への旅
1977年日本公開のアメリカ ディストピアSF映画
監督 マイケル・アンダーソン(八十日間世界一周、1984、2300年未来への旅、オルカ)
出演 ●マイケル・ヨーク(じゃじゃ馬ならし、ロミオとジュリエット、ツェッペリン、三銃士、オリエント急行殺人事件、2300年未来への旅)
●ジェニー・アガター(2300年未来への旅、狼男アメリカン、アベンジャーズ)
●リチャード・ジョーダン(2300年未来への旅、デューン/砂の惑星、レッド・オクトーバーを追え!)
2300年の未来が描かれる。今見るとチープさは否めないが、当時アカデミー賞で特別業績賞(視覚効果に対して)を受賞している・・・なんてったって40年前だからね。
戦争、人口過剰、環境汚染から生き残った人類はドームに覆われたシティに住んでいる。ドーム内部の生活は快適で、何不自由しない暮らしが約束されている。ところが30歳になると火の儀式を受けて生まれ変わらなければならない・・・と信じられている。
実際には30歳で殺されてしまうんだけど。これを嫌がって逃亡する者はサンドマンに射殺される。
サンドマンの一人ローガン(マイケル・ヨーク)はドームを管理するコンピューターから極秘に逃亡者が目指す「聖域」を探し出せと指令を受ける。そしてドームの外にジェシカ(ジェニー・アガター)と逃亡するふりをする。
二人は初めてドームの外に出るが、そこで彼らを待ち受けたものとは・・・。
ドームの外には変わったロボットがいたり、老人がいたりとよく分からない映画だ。でもジェニー・アガターと大昔のセックスシンボル ファラ・フォーセットが出ているから、これを目当てに見るのもOKだ。
それにジェニー・アガターのノーパンを連想させる衣装もびっくりだ。
第11位 ゼイリブ
1989年日本公開のアメリカ 宇宙人侵略SF映画
監督 ジョン・カーペンター(ゼイリブ、ニューヨーク1997、遊星からの物体X、ヴァンパイア/最後の聖戦)
出演 ●ロディ・パイパー(ゼイリブ、ハードネス)
●キース・デイヴィット(遊星からの物体X、プトーン、ゼイリブ)
●メグ・フォスター(ゼイリブ)
ジョン・カーペンター監督らしい意表を突く映画だ。もし知らないうちに異星人に地球が乗っ取られていたらあなたならどうする?
この映画では、貧富の格差が激しく、失業者で町が溢れ返っている未来が背景にある。主人公のナダ(ロディ・パイパー)はふとテレビを見ると映像が乱れ突然現れた男が「我々はある電波によって眠らされ、欲に狂わされ、奴隷にされている」と叫ぶ。
映像が終わると近くの席の男が外に出てゆく、不審に思ったナダは後をつけると「自由教会」と書かれた教会に入って行く。その教会には怪しげなダンボール箱が秘密の収納スペースに隠してあるのを見てしまう。
翌日その教会に行ってみると誰もいない、ナダは隠してあったダンボールを持ち帰る。その中には沢山のサングラスがあり、かけて街を歩いてみると様相が一変する。
そこらじゅうにある看板には「命令に従え」「消費しろ」「眠っていろ」「権力に従え」と書いてある・・・普段は普通の看板なのにサングラスを通すと我々をコントロールしているかのように見える。
さらに人間たちも多くがガイコツの顔をしたエイリアンだ。政治・経済・テレビ局などの中枢は既に奴らに乗っ取られていた。
ナダは真実を知ってしまう。彼はエイリアンに乗っ取られた社会を元に戻そうと行動を起こすのだが・・・。この映画は風刺だ、一部の特権階級が世界を牛耳っていると言う事だ。
直近ではスノーデンが暴露した「国民監視システム」、ネット情報が全て政府によって閲覧出来るようになっている。日本も東京オリンピックまでにこのシステムの情報を共有化したいようだ、その為情報漏えいに刑事罰を厳しくしたり、法整備を急いだりしている・・・事実かどうかは皆さんの判断にお任せします。
まあ、個人のプライバシーが無くなりつつあるのは間違いない。便利だけど嫌な世の中になってきたねー。
第10位 THX-1138
1971年アメリカ製作日本未公開の究極ディストピアSF映画
原作・脚本・監督 ジョージ・ルーカス(THX-1138、アメリカン・グラフィティ、スター・ウォーズ・シリーズ、インディ・ジョーンズシリーズ)
出演 ●ロバート・デュヴァル(地獄の黙示録、M★A★S★Hマッシュ、THX-1138、ゴッドファーザー、シャーロック・ホームズの素敵な挑戦、ディープ・インパクト)
●マギー・マコーミー(THX-1138)
●ドナルド・プレゼンス(ミクロの決死圏、007は二度死ぬ、ニューヨーク1997、ハロウィンシリーズ)
スター・ウォーズで有名なジョージ・ルーカス監督のデビュー作だ。約78万ドルの低予算映画でしかも何が何だかよく分からない。興行的にコケ、日本でも上映されなかった。
今見直してみても難解な作品だが、究極のディストピア世界が描かれている点で、少々我慢して見てもいいのかもしれない。
25世紀、人間はコンピューターに管理され、巨大な地下世界に住んでいる。彼らは試験管から生まれ名前ではなく番号で呼ばれる。常に監視されている完全な管理社会だ。
薬剤の服用で感情や傷みさえも奪われている。毎日忙しく「アリ」や「ミツバチ」のように働く。そして「効率」と「消費」を常にチェックされる。
主人公のTHX-1138は薬剤の服用を止め、ルームメートの女性LUH-3417と恋に落ちる。そして禁じられているセックスまでしてしまう。
彼は当局から反体制分子としてロボット警官によって捕まる。そして収容所に送られるが、そこから逃亡を企てる、自動車に乗り込み猛スピードでハイウェイを駆け抜ける。
彼を捕えようと後ろからオートバイでロボット警官が追いかけてくる。果たして彼は逃げ切ることが出来るのか、そして彼が向かおうとしている地上の世界とは・・・。
この風刺は現代にも通じるね。僕らは毎日あくせく働いて会社と家の往復だ。単調で砂をかむような毎日だけど忙しくて現状に疑問すら感じない。会社からは「効率」を求められ、社会が回って行くために「消費」も美徳とされる。
でも僕らの仕事はそのうちロボットに置き換えられ、AI(人工知能)によって管理され「アリ」のようになってゆくかもしれない。
周りを機械に囲まれたトカゲが出て来るけど、このトカゲは僕らなんだろうね。
第9位 華氏451
1967年日本公開のイギリス ディストピアSF映画
監督 フランソワ・トリュフォー(大人は判ってくれない、アメリカの夜、終電車、華氏451)
原作 レイ・ブラッドベリ「華氏451度」
出演 ●オスカー・ウェルナー(突然炎のごとく、愚か者の船、華氏451)
●ジュリー・クリスティ(ダーリング、ドクトル・ジバコ、華氏451、天国から来たチャンピオン、トロイ、ネバーランド)
https://youtu.be/M9n98SXNGl8
もう50年も前の映画だけど、今見ても風刺がきいていて面白い。それにおじさんたちのアイドル ジュリー・クリスティの若いときが見られることだ。彼女は今ではもう76歳のおばあちゃんになっちゃってる。若いころはきれいだった。
華氏451とは本が燃え始める温度のことなんだ。摂氏だと233度になる。この映画における近未来では「ファイアマン」(消防士)は火を消すことが仕事ではなくて、本を燃やすことが仕事だ。
消防士のモンターグ(オスカー・ウェルナー)は通報を受けて、本を燃やしに出動する。本は家の中のいたるところに隠してあり、それを見つけて集め、火をつけるのだ。
本は人々に間違った考え(思想)を植え付ける最悪の物として当局は活字を読むことを許さない。家には大きなテレビがあり、くだらない番組ばかり流して市民を洗脳してゆく。一応新聞らしきものはあるが中身はマンガのようにくだらない絵(写真)ばっかりだ。
モンターグはある日クラリス(ジュリー・クリスティ)と言う女性と知り合ったことから、本の魅力に囚われてゆく。家では妻のリンダ(ジュリー・クリスティの二役)がテレビに夢中で夫婦の会話が無い。
彼はこっそり持ち帰った本を読み始め、自分が変わって行くのを感じる。ある日、隠し図書館が摘発される、その家の中にはおびただしい本が隠されていた、「ファイアマン」は女主人とともに家ごと燃やしてしまう。
ショックを受けたモンターグは夢でうなされる、そしてクラリスへの思いがつのって行く。彼は本をたくさん家に持ち込み読むのに没頭する。しかし妻のリンダはそんな夫に愛想を尽かし、家を出てゆくとともにモンターグを密告する。
果たして彼は当局に捕まり処分されてしまうのか、そしてクラリスとの関係はどうなってゆくのか・・・。
映画の最後の方に「ブックマン」が出て来る。彼らはそれぞれ一冊の本を暗記する。実は彼ら自身が本なんだ、そしてその本の中身は次から次へと新しい世代に受け継がれてゆく。
第8位 ローラーボール
1975年日本公開のアメリカ近未来SF映画
監督 ノーマン・ジュイソン(夜の大捜査線、屋根の上のバイオリン弾き、ローラーボール)
出演 ●ジェームズ・カーン(ゴッドファーザー、ローラーボール、ミザリー、ラスベガス)
●ジョン・ハウスマン(ローラーボール、コンドル、裸の銃を持つ男)
●モード・アダムス(黄金銃を持つ男、オクトパシー、ローラーボール)
2002年にクリス・クラインとジャン・レノでリメイクされている。
2018年の近未来が舞台になっている・・・現実では来年だね。40年以上前の映画だけど、このドラマの世界は国が崩壊し、世界はエネルギー、輸送、食糧、通信、娯楽、住居の6つの超巨大企業に牛耳られている。
独占禁止法などの法律や色々な規制が撤廃されれば、大企業はM&A(企業の合併・買収)を繰り返してどんどん巨大化・多国籍化してゆく。そのパワーは大国をもしのぐレベルになるかもしれない。
この映画では飢餓、環境汚染、戦争、犯罪のない平和な世界にはなったんだけど、市民は単調な生活を強いられる。そして唯一の楽しみを「ローラーボール」と言うスポーツに求める。
競輪場のような競技場を1チーム10人のメンバーがローラースケートで走り回るスピード感あふれるゲームだ。まずルーレットのように鉄球が投入される、それを鉄のグラブで受け取り、対戦相手をなぎ倒して、鉄球をゴールに投げ入れる。
ジョナサン・E(ジェームズ・カーン)はこの競技のスーパースターだ。彼のチームは連戦連勝する。そして彼の人気は神がかるほど広がってゆく。さらに政治力にも匹敵する影響力を持ち始める。
この人気を恐れたエネルギー部門の社長バーソロミュー(ジョン・ハウスマン)は彼を抹殺しようとゲームに刺客を送り込んでくる。彼はゲーム中に殺されそうになるのだが・・・。
当時としてはもの凄く迫力のある映画だ。007で有名なモード・アダムスも出ているよ。主演のジェームズ・カーンは最近亡くなってしまった。時の流れを感じさせるね。
第7位 コングレス未来学会議
2015年公開のイスラエル・フランス合作の近未来SF映画
監督 アリ・フォルマン(戦場でワルツを、コングレス未来学会議)
原作 スタニスワフ・レム「泰平ヨンの未来学会議」
出演 ●ロビン・ライト(ドラゴン・タトゥーの女、コングレス未来学会議、誰よりも狙われた男、エベレスト3D、ブレードランナー2049)
●ハーヴェイ・カイテル(ピアノ・レッスン、グランド・ブダペスト・ホテル、コングレス未来学会議)
●ポール・ジアマッティ(プライベート・ライアン、サイドウェイ、コングレス未来学会議)
もの凄く変わった映画だ。前半が実写、後半はアニメになっている。間違って後半から見たらアニメ映画と勘違いしちゃうね。
かつて一世を風靡した女優ロビン・ライト(ロビン・ライト)は自分の肖像権を大手映画会社ミラマウントに売ってしまう。
彼女の全体像と顔の表情(恐怖、笑顔、涙、幸福、絶頂・・・)をすべてスキャンし、データーとしてコンピューターに取り込む。そしてこのデーターを使って映画を作ってしまう。
未来の映画作りは現場での撮影なしにコンピューターの中だけ(つまり全てCG)で出来ちゃうかも知れない・・・なんか味気なくなるね。
彼女は大金をもらう代わりに20年間 契約によって芸能活動が出来なくなる。彼女は難病(アッシャー症候群)の息子アーロン(コディ・スミット=マクフィー)を抱えていた。アーロンは主治医パーカー先生(ポール・ジアマッティ)のところに通っているものの病状の進行は止められない。
ところが世の中20年も経つとコンピューターによる映画作りも時代遅れになってしまう。今ではある特殊な薬を吸引することによって脳が幻覚を見せるようになる。その幻覚の中で誰でも物語の主人公になることが出来る。
つまり映画を見るのではなくて、映画の主人公になることが出来るのだ。ロビン・ライトは再契約の為ミラマウント・ナガサキ(映画会社ミラマウントと製薬会社ナガサキが合併した新しい会社)を訪問する。彼女がこの新会社と契約すれば誰でもロビン・ライトになれる。
彼女が訪れた新会社はアニメ世界「アブラマシティ」の中にあり、ここへは薬を吸引して自分自身もアニメにならなければならない。そして彼女は未来学会議(新しい薬の発表会)にゲストとして出席する。
その会議の真っ最中、革命軍が会議を邪魔しようと襲ってくる。出席者は必死で逃げようとする、果たしてロビンはどうなるのか・・・。
アニメ世界は素晴らしい、常に夢を見させてくれる。ところが夢を見ている人々の実態はボロをまとい夢遊病者のように街をさまよう廃人だ・・・夢を見ながら野垂れ死にしてゆく。
現実の過酷な世界を生きるのかそれとも夢を見ながら死んでゆくのか・・・どっちがいいんだろう。詳しいレビューは「コングレス未来学会議」をご参考に。
第6位 ニューヨーク1997
1981年日本公開のアメリカ バイオレンスSF映画
監督 ジョン・カーペンター(ゼイリブ、ニューヨーク1997、遊星からの物体X、ヴァンパイア/最後の聖戦)
出演 ●カート・ラッセル(ニューヨーク1997、遊星からの物体X、バニラ・スカイ、ワイルドスピードシリーズ、バーニング・オーシャン)
●リー・ヴァン・クリーフ(真昼の決闘、夕陽のガンマン、続・夕陽のガンマン、ニューヨーク1997)
●アーネスト・ボーグナイン(ポセイドン・アドベンチャー、ニューヨーク1997、ガタカ)
36年前の低予算映画だけど、当時映画館へ駆け付けて観た。カート・ラッセルとリー・ヴァン・クリーフがカッコ良かったのを思い出す。
1997年、あまりに犯罪が増え過ぎたためニューヨークのマンハッタン島を15メートルの壁で囲んで刑務所にしてしまう・・・発想がもの凄く面白い。ここには300万人の終身刑の犯罪者が集められている。
ところが大統領専用機がテロリストに乗っ取られ、大統領は緊急の措置として飛行機からポッドで脱出する。ところが運の悪いことに脱出ポッドはマンハッタン島に落下してしまう。
大統領を救出しようと軍隊が投入されたが、既にポッドはこじ開けられ中の大統領は連れ去られた後だった。
囚人たちの要求は「刑務所警備の全兵力を撤退させろ」と言う事だ。大統領を拉致した証拠に彼の指が一本要求書に添えられていた。
警察本部長のボブ(リー・ヴァン・クリーフ)は元特殊部隊の凶悪犯スネーク・プリスキン(カート・ラッセル)を釈放を条件に、大統領の救出を試みる。
ボブはスネークが逃げないように彼の頸動脈に超小型の爆弾を注入する。24時間以内に戻らないとスネークの首は吹っ飛んでしまう。
彼はグライダーで世界貿易センタービルに不時着し、大統領救出に向かう・・・果たしてこの作戦は成功するのか?
「悪の集団には最強の悪をぶつけろ」と言うテーマがいい、凶悪犯だけど一時的に正義の味方になるところがこのドラマのキモだ。今年は2017年だけど、マンハッタン島が刑務所にならなくてよかったね。
第5位 エリジウム
2013年日本公開のアメリカ ディストピアSF映画
監督 ニール・ブロムカンプ(第9地区、エリジウム、チャッピー)
出演 ●シャールト・コプリー(第9地区、エリジウム、チャッピー)
出演 ●マット・デイモン(グッド・ウィル・ハンティング、プライベート・ライアン、 インターステラー、ジェイソン・ボーン、グレートウォール、オデッセイ)
●ジョディ・フォスター(タクシードライバー、羊たちの沈黙、告発の行方、コンタクト、エリジウム)
●シャールト・コプリー(第9地区、エリジウム、チャッピー)
マット・デイモンとジョディ・フォスターが出演するSF映画なんてなかなか見れるもんじゃないと期待してたけど、前作「第9地区」を超えることが出来なかった。
まあ、それなりに面白いけど少し大味な感じだね。2154年の近未来が舞台だ。この時代、地球環境は最悪の状態で、大気汚染と人口爆発などで町はいたるところでスラム化していた。
地球上の人間はゴミ扱いで人権など無い。病気になれば死ぬしかないすさんだ生活だ・・・こんな世界本当に来るのかな、でも貧富の格差はどんどんひらいているから将来確かに有り得る。
それに対し富裕層は地球の軌道上にスペースコロニー「エリジウム」を建設し、大気汚染も飢餓も病気も争いもない理想郷に住んでいた。この理想郷を目指して地球からの密航者が途切れない、これを「エリジウム」の防衛長官ジェシカ(ジョディ・フォスター)は見つけしだい抹殺する。
主人公のマックス(マット・デイモン)はアーマダイン社のロボット製造工場で働いていたが、仕事中の事故で多量の放射線を浴びてしまう。そして余命5日と診断される。
彼は「エリジウム」の医療機関に望みを託し、ここへの密航を決断する。マックスは闇の密航業者スパイダーと取引を結ぶ。「エリジウム」にマックスを密入国させてやる代わりに、富裕層の脳内の情報(莫大な資産のパスワードなど)を盗み取ってこいということだ。
マックスは弱った体にエクソ・スーツ(戦闘用外骨格スーツ)を外科手術で取り付け、「エリジウム」へと向かうが、超ワル M・クルーガー(シャールト・コプリー)が強敵として立ちふさがる。果たしてマックスは目的を達成し生還出来るのか。
第4位 12モンキーズ
1996年日本公開のアメリカ 近未来SFパニック映画
監督 テリー・ギリアム(未来世紀ブラジル、12モンキーズ、Dr.パルナサスの鏡、ゼロの未来)
出演 ●ブルース・ウィリス(12モンキーズ、ダイハードシリーズ、シックスセンス)
●マデリーン・ストウ(12モンキーズ、クローン)
●ブラッド・ピット(インタビュー・ウィズ・バンパイア、12モンキーズ、フューリー)
このテーマもの凄く面白く海外ドラマにもなっている(シーズン3まで作られている)。
2035年ウイルスによって地球上の人類の99%が死んでしまう。生き残った人間は暗闇の地下に住まざるを得ない・・・恐ろしい近未来がテーマになっている。
ジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)は2035年の未来から1996年の過去にタイム・ワープし、殺人ウイルスをまき散らしたと思われるグループ「12モンキーズ」を付きとめることを使命としている。そしてウイルスが入手できればワクチンも作れる。
ところがタイム・マシンの動作が安定せず、1960年にワープしてしまう。彼は訳の分からないことを口走り、精神病院を入れられてしまう。この病院で患者ジェフリー・ゴインズ(ブラッド・ピット)と医師キャサリン・ライリー(マデリーン・ストウ)に出会う。
ジェームズはもう一度未来に戻り、改めて1996年の過去にワープする。ジェームズはキャサリンともう一度合い、自分が未来から来たことを納得させる。
彼は調査を続け「12モンキーズ」を見つけるが、そのリーダーはジェフリーだった。ところが細菌学者ドクター・ゴインズ(クリストファー・プラマー)の息子ジェフリーはウイルスの散布はジェームズの話から着想を得たと言い張る。
ジェームズは頭が混乱してくる。「12モンキーズ」はウイルスの散布とは関係のないことが分かって彼はホッとするが、真犯人は別にいた。
1996年12月ウイルスがばら撒かれる日が来た。その日ジェームズとキャサリンは空港で真犯人と思しき男を発見するのだが・・・。
将来、ウイルスをばら撒くバイオテロがひょっとしたら発生するかも知れない。やはりこの映画のように空港が狙われるのか、そうなれば瞬く間に世界に感染が広がりかねない・・・実に恐ろしい。
ところで、この映画のネタバレになるかもしれないけど、ジェームズは子供時代の自分に会ってしまう。その少年(自分)は目の前でジェームズが死にゆくさまを見てしまう・・・これが彼のトラウマになってていたらしい。
果たしてこんなことあるのかな、自分の目の前で自分が死ぬ光景を目にするなんて・・・・。海外ドラマの詳細は「12モンキーズ」を見てね。
第3位 1984
1985年日本公開のイギリス ディストピアSF映画
監督 マイケル・ラドフォード(1984、イル・ポスティーノ、ヴェニスの商人)
原作 ジョージ・オーウェル「1984年」
出演 ●ジョン・ハート(ハリー・ポッターシリーズ、裏切りのサーカス、スノーピアサー)
●リチャード・バートン(クレオパトラ、いそしぎ、じゃじゃ馬ならし、エクソシスト2、1984)
●スザンナ・ハミルトン(1984)
実に恐ろしい映画だ、完全な全体主義国家が描かれている。個人は管理され、密告と盗聴におびえながら毎日を暮らしている。こんな国、現在でも世界中を見渡すとけっこうあるのに驚く。
1948年に書かれたジョージ・オーウェルの小説の映画化だ。彼は書かれた年の4と8を入れ替えて題名にしたとの説がある。
舞台は1984年のロンドン、核戦争後世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの三つの国に別れ統治されている。ロンドンはオセアニアに属し、国境は常に戦争状態だ。
オセアニアでは思想・言語・言論などの市民生活すべてが統制され、部屋には巨大な「テレスクリーン」と呼ばれる双方向テレビによって監視されている。
真理省記録局で働くウィンストン・スミス(ジョン・ハート)は歴史を改ざんすることが仕事だ。歴史は原型を留め無いほど書き換えられていることから何が真実が誰にも分からない。
彼は自分の考えをノートに書き写すという禁止された行為をこっそりとしている。そして同僚の若い女性ジューリア(スザンナ・ハミルトン)と知り合い、愛し合うようになる。
ウィンストンは高級官僚の一人オブライエン(リチャード・バートン)と出会い、成り行きから現体制への疑問を口に出してしまう。
ウィンストンとジューリアは予想もしない男に密告され、思想警察に捕まってしまう。そして「愛情省」で拷問を受け自分の人格を徹底的に破壊され党を愛するように変貌してゆく。
激しい尋問や電流による拷問によって人間から思想や人間らしさを奪いロボットのようになって行くのがちびりそうなくらい怖い。
第2位 未来世紀ブラジル
1986年日本公開のイギリス近未来SFディストピア映画
監督 テリー・ギリアム(未来世紀ブラジル、12モンキーズ、Dr.パルナサスの鏡、ゼロの未来)
出演 ●ジョナサン・プライス(未来世紀ブラジル、バロン、パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ)
●ロバート・デ・ニーロ(ヒート、リミットレス、マイ・インターン、レッド・ライト)
●キム・グライスト(未来世紀ブラジル)
びっくり箱のように何が出て来るのか分からないドラマだ。主人公サム・ラウリー(ジョナサン・プライス)は現実の世界と夢の世界を行き来し、見てる僕らを混乱させる。
賛否が分かれる映画で、カルトムービーファンにはこたえられない名作だ。舞台は「20世紀のどこかの国」管理・監視の厳しいディストピア社会だ。
物語の発端は反体制派のテロリスト タトル(ロバート・デ・ニーロ)を誤ってバトルと打ち間違えて無実の男を捕まえ拷問によって殺してしまう。(一匹のハエがコンピューターに紛れ込み誤作動を起こす)
バトルの上の階に住むトラック運転手のジル(キム・グライスト)はこの件で情報省に抗議する。このジルこそサムの夢に現れる理想の美女だ。
しかし情報省は間違いを闇に葬る為、真相を知っているジルを抹殺するつもりだ。サムはジルの個人情報が知りたくてコネを使って昇進する。そしてジルの極秘ファイルを見たところ彼女は危険人物にリストアップされていた。
サムは情報省に抗議に来ていたジルを連れ出し、途中離ればなれになるが再会し、愛し合うようになる。ところが翌朝二人とも捕まってしまう。
果たして二人はどうなるのか・・・・。
ドラマの中で「ダクト」が重要な意味を持つ、このダクトはライフライン(水道・ガス・電気・空調・通信・・・)であるがよく故障する。故障したら政府指定の修理屋に直してもらわなければならない。つまり個人はこの「ダクト」(政府)に依存しており、これを無視しては生きられない。
ところがテロリストで民間の「ダクト」修理屋タトルは政府の許可なくかってに「ダクト」を直してしまう。タトルにかってに直されては、政府によって国民が管理できなくなってしまう。政府はタトルを目のかたきにする。
ところで物語の結末はハッピイエンドとバッドエンドがある。僕はサムとジルが一緒に逃げ出して幸せに暮らす方が好きだけど、現実はなかなかうまくゆかない。全編にわたって軽快な音楽「ブラジルの水彩画」が流れるが、内容はシリアス・・・監督のシャレなのか。
第1位 時計じかけのオレンジ
1972年日本公開のイギリス・アメリカ合作の風刺コメディ
監督・脚本・製作 スタンリー・キューブリック(2001年宇宙の旅、時計じかけのオレンジ、フルメタル・ジャケット)
原作 アンソニー・バージェス「A CLOCKWORK ORANGE」
出演 マルコム・マクダウェル(時計じかけのオレンジ、キャット・ピープル、ハロウィン)
今から45年前の作品で、若者のバイオレンスとセックスを過激で風刺的に描いた映画だ。当時アメリカでは大ヒットした。今見ても古臭さをあまり感じない。
当時、学生の僕はキューブリックの凄い映画が日本で公開されると聞いて、映画館に駆け付けたが、最初の印象はイマイチよく分からない映画だった・・・時代を先取りしすぎてピンと来なかったのかもしれない。
「2001年宇宙の旅」で完璧な宇宙映画を撮ったあとの作品で、全く違うテーマをしかも低予算(220万ドル)で作り上げている。凄いと言わざるを得ないし、製作費の10倍以上の興行収益を上げている。
近未来のロンドンが舞台になっている。15歳のアレックス(マルコム・マクダウェル)は不良グループ「ドルーグ」を率いている。今夜もミルクバーでドラッグ入りのミルクを飲みながら悪巧みをする。
彼らはまずホームレスの老人をステッキでメッタ打ちにする。次に敵対する不良グループ「ビリーボーイズ」が少女を強姦するところを見計らって襲う、そしてステッキで叩きのめす。
次に老作家の家を訪ね、押し入って作家を押さえつけ足蹴にする。そして彼の妻を「雨に唄えば」を歌いながら輪姦する。
アレックスは次の日、学校をサボってレコード店でひっかけた二人の女の子とセックスする。その後「ドルーグ」のリーダー争いで仲間とケンカするが、アレックスは力でねじ伏せる。
そしてその夜に女性が一人で住む豪邸を襲う。アレックスは部屋に飾ってある男根のオブジェで女主人を撲殺する。そこに運悪く警察が駆け付け、仲間に裏切られたアレックスは一人捕まってしまう。彼は懲役14年の実刑判決を受ける。
アレックスは刑期を短くするため「ルドヴィコ療法」の実験台をかってでる。この療法は投薬され、椅子に縛り付けられ、目をつむらないようマブタを固定され、暴力映像やセックス映像を見続けさせるものである。
BGMとして偶然にも彼の大好きなベートーベン第9が流される。これによって彼は暴力やセックスに嫌悪を及ぼすようになる。そして第9を聴いただけで狂いそうになる。
彼は中身が機械で出来ているような、ぎこちなくて無防備な青年になってしまう。まるで「時計じかけのオレンジ」のようだ。
彼はそんな無防備の状態で出所するが、彼を待っていたのは想像を絶する試練だった。因果応報と言うべきか、危害を加えた相手から激しいしっぺ返しを喰らう。
人間の本質は「暴力」と「セックス」なのか、「ルドヴィコ療法」によって更生したはずのアレックスにはまた恐ろしい欲望が芽生えてゆく・・・人間の本質はそうそう変わるもんじゃない。
まとめ
世の中の景気が良くなると「ディストピア映画やパニック映画」が流行るらしい。逆に不景気になれば「純愛映画」が受けるとも言われる・・・噂だけかもしれないけど。
戦場のピアニスト
確かに順調に行ってる時の方が、落とし穴が待っているんじゃないかと不安になる。ディストピア映画を見てる方が現状と比較して安心できるかもしれない。
告白(イヴ・モンタン)
ディストピア映画をまとめてみたけど恐ろしい映画ばかりだ。こんな世界には決して住みたくない。地球環境の汚染・核戦争・人口爆発・大地の砂漠化などなど未来はけっして明るいものではないかもしれない。果たして100年後の地球はどうなっているか興味がある。
縞模様のパジャマの少年
それにいつかは来るかもしれない管理・監視・密告社会では個人の自由が無い、自分の思想を持てば捕まって拷問を受ける。全体主義は国を統率しやすいけど、個人にとっては地獄だ。
ダイバージェント
今の自由な世界でよかったなんて僕も思ってたけど、「シチズンフォー スノーデンの暴露」「スノーデン」を見てびっくりした。米国政府によってすべてのサーバーが閲覧できる「国民監視システム」が世界中に張り巡らされているとは、結局、現代の世の中が一番のディストピアかもしれない。
シチズンフォー スノーデンの暴露
詳細なレビューは「スノーデン」を見てね、びっくりするから!
TATSUTATSU
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