ベストテン

心温まる日本映画ベストテン:年初めはおめでたい邦画を観て一年のスタートだ

はじめに


お正月はおめでたい映画を観て過ごすのもグッドだ。こんな時は肩ひじ張らずに日本映画がいいね。コタツにもぐりこんでううとうとしながら映画を観る。寝過ごしてしまえば巻き戻すだけだ。

日ごろ、仕事のことばっか頭にあるけど日本人の心に触れるドラマを見て自分を見つめ直してみよう。自分のやってきたことがちっぽけに見えるかもしれない。お薦めの映画10本を紹介しておくから気に入ったのがあったら有難いね。

お正月の定番は何と言っても「男はつらいよ」だ、渥美清さんは亡くなってしまったけど葛飾柴又に行けば、路地でふらりと会えるような気がする。

京成金町線柴又駅の前には「寅さん」の銅像がある。天気が良ければふらっと出かけてみよう。

第10位 海街diary

原作となったアニメだ。

2015年公開のヒューマンドラマ
監督・脚本 是枝裕和(誰も知らない、歩いても歩いても、万引き家族、そして父になる、海街diary三度目の殺人
原作 吉田秋生「海街diary」アニメ
出演 ●綾瀬はるか(海街diary
●長澤まさみ(海街diary
●夏帆(天然コケッコー、海街diaryビブリア古書堂の事件手帳
●広瀬すず(海街diary、ちはらふる、怒り、三度目の殺人

海街diary予告篇

海辺の街 鎌倉を舞台にして、4人姉妹の日々の暮らしが自然に流れてゆく。

是枝監督らしい自然な演出が凄くいいね。親の不倫で愛情に恵まれずに育った4姉妹だが、長女の香田 幸(こうだ さち)を中心にまとまってゆく。

父の不倫から家庭崩壊が始まり、父も母も子供を残して逃げてゆく。(親から虐待されて捨てられる子供「万引き家族」も弱者をテーマにしたドラマだ。)

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是枝監督、佳乃(長澤まさみ)、すず(広瀬すず)、幸(綾瀬はるか)、千佳(夏帆)

幸は父と不倫相手の女性との間に生まれた4女すずを引き取る決心をする。幸はしっかりしているように見えるが、看護師として勤めている病院の医師 椎名と3年間不倫が続いている・・・・・血は争えないのか。

次女の佳乃(よしの)は男運が悪いのか、男を見る目が無いのかダメ男ばかり好きになる典型的なダメンズウォーカーだ。3女の千佳(ちか)はノー天気でつかみどころの無いのんびり屋だが破天荒な行動をとることがある。

そして引き取られた4女のすずは心の中に両親と死に別れた寂しさは持ってはいるが、積極的で明るいしっかり者だ。

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香田 幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)、すず(広瀬すず)

いつも洋画ばかり見ているから、たまに日本映画を観ると、ほっとする。舞台も鎌倉で海や自然の風景、街並みが「すーうっと」こころに入ってくる。胸が締め付けられるような郷愁さえ感じさせる。正月にはお薦めだ。

毎日の平凡な生活が映画として切り取られている。普通だったら退屈するやや地味な内容だが、スター達が派手な化粧もせず、自然体で役を演じているところに意味がある。

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鎌倉の風景

僕としては割合好きな映画だが、退屈に思う人もいるかもしれない。でも映画を観終わった後に感動がじわーっと湧き上がって来るし、日本に住んでいるからこそ、この作品をより深く味わえるような気もする。

この映画を観ていると人間は、決して一人では生きて行けない・・・・・でも家族だっていつかはバラバラになる、それに死ぬときはひとりぼっちだ。

時は静かに流れているが肉親や近親者の死は確実にやってくる。それも日常生活の一部に過ぎないのを感じさせる映画だ・・・・・まあ死ぬまで頑張って生きるしかないよね。詳細は「海街diary」」を見てね。

第9位 シン・ゴジラ

2016年公開の日本製作SF映画
総監督 庵野秀明(新世紀エヴァンゲリオン)
監督・特技監督 樋口真嗣(ローレライ、進撃の巨人)
脚本 庵野秀明
音楽 鷺巣詩郎、伊福部昭
出演 ●長谷川博己(進撃の巨人、MOZU)
●竹野内豊(冷静と情熱のあいだ、謝罪の王様)
●石原さとみ(わたしのグランパ、北の零年)

『シン・ゴジラ』予告

 

やはり何と言ってもお正月はゴジラだ。ゴジラ映画であれば何でもいいと思うが、今回は「シン・ゴジラ」をお薦めする。何故なら今までで最強のゴジラだからだ。

「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明が総監督と脚本を務めている。やはり「ヴァンゲリオン」タッチになっているのは仕方のないことだ。

今回のゴジラは次々と形態を変化させてゆく、第4形態になれば、ほぼゴジラの完成だ。ゴジラが東京湾から上陸し、ビルを次々と破壊してゆく。自分の勤めている会社が破壊されているか確認してみよう。

ゴジラに破壊されたビルの会社は繁盛すると言う都市伝説がある。果たしてこの生体原子炉を内蔵したゴジラを倒す事が出来るのか。一説には自衛隊の映画かと勘違いされる人もいるようだ。詳細なレビューは「シン・ゴジラ」をご参考に。

ななめ後ろのジジイが大いびきをかいていた。映画館で寝るのはしかたないが、いびきだけはカンベン願いたい。

第8位 阿弥陀堂だより

2002年公開のヒューマンドラマ
監督・脚本 小泉堯史(雨あがる、阿弥陀堂だより、博士の愛した数式)
原作 南木佳士「阿弥陀堂だより」
出演 ●寺尾聰
●樋口可南子
●北林谷栄

Letter From The Mountain

 

「忘れていた、人生の宝物に出逢いました」がこの映画のキャッチフレーズだ。長い間都会生活を続けていると「遠くを見ることを忘れてしまう」・・・心が洗われるドラマだ。

上田美智子(樋口可南子)は東京で医師をしていたが突然のパニック発作に襲われる。彼女は自分でも気付かないうちに心の病を患っていた。

そんな妻を気遣う、作家で夫の上田孝夫(寺尾聰)は自分の故郷、信州に移住する。夫婦はそこで阿弥陀堂を守る96才の老女を知ることになる。

自然とともに生きる老女、声の出ない娘・・・彼女らとの交流を通して「本当の心の豊かさとは」「人の一生とは」を再認識してゆく・・・。

第7位 鉄道員(ぽっぽや)

1999年公開のヒューマンドラマ
監督 降旗康男
原作 浅田次郎「鉄道員(ぽっぽや)」
出演 ●高倉健
●大竹しのぶ
●広末涼子

鉄道員(ぽっぽや)(予告編)

 

正月と言えばやっぱり高倉健さんだ。健さんの名作と言えば「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」「駅 STATION」「南極物語」などいろいろあるが、今回「鉄道員(ぽっぽや)」をお薦めする。

北海道のローカル線・終着駅「幌舞駅」を一人で守る男の物語だ。「幌舞駅」の駅長、佐藤乙松(高倉健)は鉄道員一筋に生きてきた男だ。

彼が定年退職を迎えるとともに、彼の勤める駅も幌舞線も廃止となる。佐藤乙松は生まれたばかりの一人娘を病気で失い、妻にも先立たれていた。仕事の為、二人の死に目に逢えなかったのが彼の心にトラウマとして残っている。

雪の正月、彼のもとに真っ赤なランドセルを背負った少女が現われる、そして不思議な出来事が続く・・・。

第6位 若い人

1962年公開のラブ・ヒューマンドラマ
監督 西河克己
原作 石坂洋次郎「若い人」
出演 ●吉永小百合
●石原裕次郎
●朝丘ルリ子

https://youtu.be/-VKT6btXxfQ

 

お正月は何と言っても、吉永小百合さんの若い時の映画が観たくなる。吉永さんと言えば「キューポラのある街」「伊豆の踊子」「愛と死を見つめて」「おはん」などたくさんの作品があるが今回「若い人」を選んでみた。

北国の高校に勤める教師、間崎慎太郎(石原裕次郎)は女生徒、江波恵子(吉永小百合)の作文を読んで衝撃を受ける。間崎は自分の教え子、江波恵子に惹かれてゆくが、同僚の教師橋本スミ(朝丘ルリ子)にも恋心を持つ。

江波恵子は料亭を営む母の私生児だった。ある出来事から間崎は恵子と関係を持ってしまう。そしてそれを知ったスミは過激な行動に出る・・・。

              松坂慶子さん

テレビドラマでは松坂慶子さんと石坂浩二さんが共演したのが懐かしいね。

第5位 東京物語

1953年公開のヒューマンドラマ
監督・脚本 小津安二郎
出演 ●笠智衆
●原節子
●東山千栄子
●杉村春子
●山村聡

小津安二郎 『東京物語』 予告編

 

小津安二郎監督の名作だ。家族は運命共同体だ。でも、親が年老いて行くにしたがって子供たちは独立、家族はバラバラになる。この現実を小津安二郎監督の落ち着いたタッチで作品に仕上げている。

「永遠の処女」と呼ばれ、日本中から愛された原節子が美しい。2000年の「キネマ旬報」では日本ナンバー1の女優に選ばれている。

尾道で暮らす平山周吉(笠智衆)と妻とみ(東山千栄子)は久しぶりに東京に住む子供たちに会いに来る。ところが長男も長女も仕事が忙しく相手をしている暇はない。

しかし、戦死した次男の嫁、紀子(原節子)だけは会社を休んで東京見物に連れて行ってくれる。血が繋がっていないのに、義理の両親に優しく接してくれる紀子に感謝の意を伝える。

尾道に帰ってしばらくしてとみが危篤状態に陥る。子供たちは母を見舞いに来るのだが・・・。

第4位 モリのいる場所

2018年5月公開の日本映画 ヒューマンドラマ
監督・脚本 沖田修一(南極料理人、キツツキと雨、モヒカン故郷に帰る、モリのいる場所
出演 ●山崎努(お葬式、マルサの女、おくりびと、モリのいる場所
●樹木希林(わが母の記、あん海街diaryモリのいる場所、万引き家族)
●加瀬亮(アンテナ、それでもボクはやっていない、劇場版SPEC、モリのいる場所)
●吉村界人(モリのいる場所)
●光石研(海賊とよばれた男、羊と鋼の森、モリのいる場所)
●池谷のぶえ(脳男、モリのいる場所)

映画『モリのいる場所』予告編

 

お正月映画として、一服の清涼剤を味わってみてはどうか。観ていて力が抜けて来るほど気持ちがいい。下手をすると寝てしまいそうな映画だ。しかし、そこがこのドラマの魅力かも知れない。

この映画はあの有名な画家「熊谷守一(くまがいもりかず)」の一日を可笑しく、楽しく淡々と描いたフィクションドラマだ。そしてこんなに心地よい映画は久しぶり、後半うとうとしかけてしまった。

熊谷守一は97才で死去するまで晩年の約30年間(20年間とも言われる)を自宅と自宅の庭から一歩も外へ出なかった仙人のような人物だ。

画風は「熊谷様式」と言われ、極端なまでにシンプル化された造形とそれを囲む輪郭線に特徴がある。この絵画を見られた人は多いと思う。天皇陛下が彼の絵を見て「小学何年生が描いた絵ですか?」と言われた逸話が残っている。

とにかく微笑ましい作品だ。お正月のモッタリとした雰囲気にぴったり。主人公夫妻を演じる山崎努と樹木希林のこれまた絶妙な演技にも注目だ。詳しいレビューは「モリのいる場所」を参照のこと。

第3位 日日是好日

2018年10月公開ヒューマンドラマ
監督・脚本 大森立嗣(まほろ駅前多田便利軒、日日是好日
原作 森下典子『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』
出演 ●黒木華(母と暮せば散り椿日日是好日
●樹木希林(わが母の記、あん海街diaryモリのいる場所万引き家族日日是好日
●多部美華子(深夜食堂日日是好日

黒木華&樹木希林共演『日日是好日』予告編

 

樹木希林さんの遺作になってしまったが、しっとりと心に優しい。正月にはもっともお薦めの映画かもしれない。「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」とは禅語のひとつで唐末の禅僧 雲門文偃(うんもんぶんえん)の言葉とされる。

「毎日毎日が素晴らしい」と言う意味だが色々な解釈がある。「毎日が良い日となるように努力すべき」とか「日々について良し悪しを一喜一憂するのではなく今が一番大切なのだ」そして「あるがままを受け入れる」など多くの考え方がある。

僕が映画を観て感じるのは「一日一日を大切に生きる。過ぎ去った時間は戻ってこない。」そして「雨でも晴れでも暑くても寒くても、季節のままに生きる。」・・・ことかな。

映画「アバウト・タイム~愛おしい時間について」も人生を考えさせる映画で「人は誰しも人生と言う時間を旅している、その旅が素晴らしいものになるように、ベストを尽くすしかない」と言っている点が共通する。(映画「アバウト・タイム」にみる充実した人生を送る為の時間の使い方 もご参考に)

茶道教室の武田先生(樹木希林)のもとに通う、典子(黒木華)は茶道を通して、日々の有難さを実感してゆく。そして季節の移り変わりを楽しむことが出来るような心境になってくる。詳細なレビューは「日日是好日」を参照のこと。

第2位 釣りバカ日誌

1988年~2009年にかけ松竹系にて全22作品続いたヒューマン・コメディドラマ
監督 栗山富夫
脚本 山田洋次
原作 やまさき十三(作)、北見けんいち(画)
出演 ●西田敏行
●三國連太郎
●石田えり

釣りバカ日誌 「TSURIBAKA NISSHI」 1988 予告編 「Trailer」

 

もの凄く破天荒で万年ヒラサラリーマンのハマちゃんの活躍を描くシリーズ映画だ。現実にはなかなかこんな人物はいないと思うがそこが面白い。お正月休みは、おせちを食べながらのんびりと見るのも楽しいね。

浜崎伝助(西田敏行)は鈴木建設の香川県高松支社に勤めるダメ・サラリーマンだ。とにかく釣りが大好きで頭の中は「釣り」のことしか考えていない。

ところが、予期せぬ栄転で東京本社にゆくことになる。ハマちゃんは東京では釣りが出来ないと落ち込むが妻のみち子(石田えり)さんから「東京湾にも魚がいる」と説得される。しぶしぶ東京に引っ越すことになる。

ハマちゃんは東京の食堂で憂鬱な顔をした鈴木一之助(三國連太郎)、愛称スーさんと出会う。そしてハマちゃんはスーさんを釣りに誘う。

東京湾での釣りは大漁で、釣りに疲れたスーさんはお食事によばれた浜崎家で寝込んでしまう。ところがこのスーさんはハマちゃんが勤める会社の社長だったのだ・・・・さあどうなることか。

第1位 男はつらいよ

1969年~1995年(特別編1997年)まで続いた全48作品のヒューマン・コメディ
監督・脚本 山田洋次
出演 ●渥美清
●倍賞千恵子
●前田吟
●太宰久雄
●三橋千恵子

https://youtu.be/fToTDHqEco0

柴又慕情 予告編

男はつらいよ 柴又慕情 予告編

寅次郎忘れな草 予告編

https://youtu.be/ckIdC8_uJnU

 

お正月と言えば「男はつらいよ」がもう定番だ。「フーテンの寅」さんはもう何回観たか分からない。全48作アある。僕は全は観てないけどそのうち最初からもう一度通して観たいと思っている。

49作目の準備中に渥美清さんが亡くなってしまった・・・残念。このシリーズは松竹のドル箱で配給収入約460億円、観客動員数約8000万人と凄い数字をたたき出している。

温かくて胸にジーンとくる人情喜劇だ。僕らの近くに寅さんがいるように錯覚させてくれる。だからこれだけ長くシリーズが続いたように思う。

映画のパターンは決まっていて、寅さんが故郷の葛飾柴又に戻ってきては騒動を起こす。そして毎回美しいマドンナが出てくる。寅さんはマドンナに恋するが、いつも失恋し、傷心のままに、また旅立つ設定だ。

この映画を観て昔の良き日本を思い出すのもいいね。2019年に50周年を迎えることから第50作目が発表される。題名は「男はつらいよ お帰り 寅さん」だ。予告編を参考に。

予告編だ。

映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像

 

まとめ

「宮本武蔵 一乗寺の決斗」

どうですか、気に入った映画はありましたか。時代劇は割愛させてもらいましたが、宮本武蔵シリーズも見逃せないね。

 

役所広司さんの侍姿も捨てがたい。さて、あなたは何を選びますか?ところで最近の時代劇として岡田准一主演の「散り椿」は良かった。映画は素晴らしいが思ったほどヒットしなかった。少々地味すぎるのか?

この映画は映像が実にすばらしい。こんな美しい風景はなかなか見れるものではない。詳細なレビューは「散り椿」をご参考に。

TATSUTATSU

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