ストーリー
2023年9月20日、「宇宙人の遺体」らしきものがメキシコで公開された。メキシコのUFO研究家ハイメ・マウサン氏がペルーのナスカ地上絵付近で発見したとのことだ。彼は「宇宙人の遺体だ」と主張した。
この写真を見て気づく人は多い、映画「未知との遭遇」「E・T」に出てくるそれにそっくりだ。そして専門家たちが「作り物」だと批判した。残念ながら「偽物」の可能性が高い。
実は、僕は約50年ほど前に「宇宙人らしきモノの遺体」を発見した。もう、時効だろうから詳細発表しても差し支えないだろう。しかし、発見した場所や日時については申し訳ないが秘密にさせてもらう。
その遺体は木棺の中に横たわった状態で発見された。棺の長さは150cm程度だ。その中には2体収められていて、一体は身長130cm(遺体A)、もう一体は110cm(遺体B)くらいだ。あまりに小さいので子供の遺体だと当初思った。ところが、よく見ると人ではない。
遺体は植物の繊維で織った布で覆われ、首には石や貝で作った首飾りがあった。また、棺の中には多くの植物らしいものの残骸が散らばっており、花などで覆った可能性がある。時代的には縄文時代か弥生時代だ。
大きい方の遺体Aは「今でいうグレイ」に似ていた。ひび割れた頭蓋骨の隙間から干からびた脳が見える。ところがその脳から何本かのひも状の管が首をつたわって内臓に繋がっていた。
少し服をはぎ取ってみると、腹部に牙などで引き裂かれた跡が見受けられる。遺体Aの死因はこれだろう。多分、クマや狼などの猛獣に突然襲われたと推察される。
小さいほうの遺体Bを見て物凄く驚いた。作られたロボットのようだ。頭の中はまるで電子頭脳のように積層された半導体のようなものがびっしり詰まっていた。体も、軽くて丈夫な金属的なもの、お腹の中にはバッテリーのようなものが内蔵されている・・・グレイの外観をしたロボットだ。
当時の人々が尊厳を込めて埋葬をしたと思われる。随所に、一般的な埋葬と異なるものが封入されている。この生き物が生前に大昔の人々に大きな影響力を与えていた。そして突然の「死」にショックであったことだろう。
僕はこの遺体を次のように分類してみる。
①2体とも別種の宇宙人である。
②2体とも別種のロボットである。
③遺体Aは宇宙人遺体Bは宇宙人を補佐するロボットである。
この中で③の可能性が高いように思う。遺体Aは遺体Bを助手として使い、宇宙船などをオペレートしていたと考えられる。ところが、遺体Aの干からびた脳から胴体へ繋がっている管が説明つかない。
しかも宇宙人が自分たちの仲間を地球に残しておくはずがない、生まれた星に埋葬すると思う。そう考えると②が正解かもしれない。遺体Bはソリッド・ステートタイプの古いロボットだ。そして遺体Aはバイオカーネルを兼ね備えた最新式の生体ロボットではないのか。
僕らが昔遊んだ古い機械仕掛けのロボットや人形を捨てられないのに似ている。宇宙人本体は使えなくなったロボット2体を地球に残し飛び立ったと考えた方が合理的だ。
まず、遺体の年代を測定しなければならない。これには「放射年代測定」が必要だ。そして遺体のDNA分析から詳しい情報が得られるかもしれない。そして衣服や装飾品の年代も調べなければならない。
僕は大学で「考古学」の講師をしている。特に専門は縄文時代から弥生時代にかけての人類の歴史や活動だ。この不思議な遺体を研究することによって、当時の我々の祖先がどのように考え接していたのか・・・疑問は尽きない。生涯の研究としては申し分ない。
そんな時に、3人の見知らぬ人たちが僕を尋ねてきた。二人はMIB(メン・イン・ブラック)らしい。黒いスーツとサングラスをかけている。そのうちの一人は日本人だ、もう一人は外人と思われる。そして3人目はアメリカ人のような風貌で学者らしい。
日本人のMIBが「宇宙人の遺体」を見せてほしいと突然きりだす。ここは父が残してくれた別荘だ。ここのガレージに「遺体」を収納している。どこから情報が漏れたのかかいもく見当がつかない。
僕は仕方なく3人を案内した。学者らしい男が20分程、遺体を調べていた。そしてMIBに合図する。日本人のMIBが「この遺体を1億円で売ってほしい」と唐突に主張する。そしてスーツの上着をちらりと開ける。そこにはホルスターにセットされた拳銃が見えた。
断れば、力ずくでも・・・・という意味なのか。1億円というと、中小企業の生涯賃金が2~3億円、大企業のそれが3~4億円と言われる時代だ。MIBの一人が乗ってきた車からお金の入ったケースを持ってきて僕の前に置く。
我々は政府の役人だから、この1億円は税引き後の金額だ。その他にも色々と特典を考えている。これらの書類にサインするとともにこの件は秘密厳守でお願いしたいと強く念を押された。
彼らは必要なものを車に積み込むと急ぐようにいなくなった。その間、30分程度だ。あまりの手際の良さに、事前の準備がなされているものと思われる。たぶん、僕の留守中に充分な下調べをしていたに違いない。
それから1年後ある国立大学の助教授(現在の准教授)として栄転することになった。特典とはこれのことだったのか。そして順調に教授となり、今年、名誉教授の職務を全うした。
あの時の資料はほとんど持ち去られてしまったが、一冊の手帳は残っている。そこには、詳細を書き綴ったメモやイラストが残っている。この手帳をよりどころに宇宙人の研究を細々と続けてきた。
遺体Aは宇宙人本体であることをある程度、確信した。ヒントは副葬品の中にあった。ここでは述べないが、皆さんも考えてみてほしい。
そして、最後に遺体Aが握りしめていた直径2cmほどの球体も隠していた。この球が最近になって光始めた。僕はこの球は受信機だと思っている。ひょっとしたらUFOがここに来るかもしれない。
昨年家内が亡くなった。子供たちも独立して僕は一人に戻った。しがらみはない・・・もし、UFOに乗せてもらえるなら彼らについて行ってもいいと思っている。
TATSUTATSU
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