ミステリー小説

ミステリー小説「毎夜死者たちが夢に現れる」死人が出てくる夢は不幸をもたらすとされているが

ストーリー

動画をどうぞ。

映画『エルム街の悪夢』予告編

 


「夢」は毎夜見ているが多くを覚えていない。我々人間は何故「夢」を見るのか・・・「人間は毎日の生活で起きた出来事や脳に蓄積された情報を整理するため夢を見ると言われている」。

過去の記憶と直近の記憶がうまく結びついて脳内に整理整頓される。その時の記憶がストーリーとなって映像化される。それが「夢」だ。

そう考えると寝ている間に脳がコンピューターのように動いてデーター処理をしている。睡眠をレム睡眠(眼球が激しく動き、寝ていても脳が活発に働いている。記憶の整理や定着が行われている。)ノンレム睡眠(脳が休息している状態で、体全体の疲れをとる。)に分けることが出来る。

寝入りはじめは徐々に深い眠りに落ちてゆく・・・ノンレム睡眠だ。そしてレム睡眠、ノンレム睡眠のサイクルを繰り返し、朝方になって眠りが浅くなって目覚める。

レム睡眠時に夢を見るから、一晩に4~5回は夢を見る時間がある。そして起きる直前のレム睡眠は比較的長く、この時の夢をよく覚えていることになる。

僕は直近に次のような夢を見た。サラリーマンを引退して数年が経つ、ところが会社員時代の夢を今でもよく見る。僕はかつての同僚と上司の所に訪問した、手土産を持って。同僚や上司と楽しく過ごしていたが女性社員へのお土産を忘れたことに気づいてビルを出た。

ところがそこで懐かしい男を見つける。声をかけたが彼は知らない様子でビルの角を回った。僕は追いかけ、角を曲がった。ところがそこには彼はいなかった。

暫く行くと海があって多くの釣竿が垂れていた。ところが人は誰もいない。僕は釣りを始めるが針が岩に引っかかって思うように行かない。

ふと、目を見渡すと右の方に海に流れ込む川があった。川のやや深いところに魚がうようよいて、僕は針にミミズをつけて投げ込む。そしたらでかい魚がかかった。ところが目の前で落としてしまった。以上のとりとめもない夢だ。

手土産を持って相手を訪問し、相手が喜んで受け取ってくれる。この系統の夢は相手とのコミュニケーションがうまくいってる証拠だと言われている・・・夢の中で僕は穏やかだった。

懐かしい男については、もし、出会えたら「うれしい知らせが届く」という意味らしい。ところが見ただけで僕の前から消えてゆくと言うことは、うれしい知らせを逃してしまう意味なのか・・・。

釣りの夢・・・海で釣りをする夢は「潜在能力を引き出して」活躍したいとの表われらしい。そして残念ながら釣った大きな魚を落としてしまうのは「手にするはずだった利益を失うこと」を暗示している。

僕の夢を総合すると「いいこと」と「悪いこと」が交互に訪れているようだ。

僕は知人A君から夢にまつわる怖い話を聞いている。A君の親友B君が見た夢の話だ。B君は3日続けて不思議な夢を見ている。

1日目は広い草原にいた。どこからともなく「白い犬」が僕に向かって走ってくる。その犬をよく見ると愛犬の「ジョン」だった。僕はうれしくてジョンと一緒に草原を駆け巡って遊ぶ。ジョンは5年ほど前に亡くなっていた。僕は草原の中の少し小高い場所に腰かけ、ジョンと一緒に夕日を見る・・・涙が出るほど美しい景色だ。

2日目は、小学校時代の友人C君と夏の海で遊んでいる。海を渡ってくるそよ風は心地よく僕らを通り過ぎる。そして海岸の砂に腰かけ一緒に夕日を見る。海と空との地平線がオレンジ色に染まり、激しい郷愁を感じた。C君は一人で海に入ってゆきおいでよと手招きする。僕はハッとして目が覚める。彼はかなり以前に海で亡くなっている。

3日目は、僕の両親が夢の中に現れた。僕と映画を一緒に見に連れて行ってくれた。そしてデパートの最上階にあるファミリーレストランで食事をした。僕はいつもの「お子様ランチ」だ。日の丸の旗がご飯の山にさしてある。そして屋上に行って両親と夕日を眺めた。とても美しく心が洗われるようだ。

B君は3日も続けて亡くなった人の夢を見るのは、何かあるのかと若干の不安を感じたそうだ。夢占いでは、亡くなった人が何かを伝えに来ると言われている。さらにある説では「死後の世界に導こうとしている」。

その1週間後、B君は交通事故で帰らぬ人となった。A君は「彼は死後の世界に引っ張り込まれた」のではないかと恐れる。僕は違うと思う。亡くなった人達がB君を心底愛し、心配している。きっと、交通事故の危険予知を知らせに来たのかもしれない。でもB君はそのメッセージを生かすことが出来なかった。

僕にも、経験がある。夢に遠く離れた友人が現れた。一緒にゴルフをしようと誘ってくる。僕はその友人と久しぶりに楽しく過ごしたことが夢の記憶として残っている。

次の日、その友人に電話してみた。ところが昨日ゴルフ場で突然倒れ、息を引き取ったと奥さんから聞かされた。僕はショックだった。偶然なのか、それとも死ぬ間際に僕に会いに来たのか。

「夢」とは不思議な現象だ。自分の喜び、不安、悲しみ、驚き、恐怖・・・全てが鏡に映ったように「夢」に入ってくる。僕は「夢」を自然体で見たい。そして、その「夢」が自分に何を伝えたいのか、じっくり考えてみたいと思っている。

さあ、あなたも今夜、楽しい夢を見ましょ。

TATSUTATSU

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