コメディ

映画「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」感想・評価:複雑な人間関係と伏線をよみ殺人犯探しに挑戦だ

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2020年1月日本公開のアメリカ製作ミステリー・コメディドラマ
監督・脚本・製作 ライアン・ジョンソン(LOOPER/ルーパー、スター・ウォーズ/最後のジェダイナイブズ・アウト
出演●ダニエル・クレイヴ(007シリーズ、ドラゴン・タトゥーの女007 スペクターナイブズ・アウト
●クリス・エバンス(ファンタスティック・フォーシリーズ、キャプテン・アメリカシリーズ、アベンジャーズシリーズ、スノーピアサーサンシャイン2057ギフテッドナイブズ・アウト
●アナ・デ・アルマス(ブレードランナー2049THE INFORMER/三秒間の死角ナイブズ・アウト
●クリストファー・プラマー(サウンド・オブ・ミュージック12モンキーズプリーストドラゴン・タトゥーの女ゲティ家の身代金ナイブズ・アウト

映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』 予告編

 

アメリカでは一足先に公開され、好評のようだ。2020年アカデミー賞脚本賞にノミネートされている。アガサ・クリスティの推理小説やシャーロック・ホームズの大好きな人には特にお勧めだ。監督は「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のライアン・ジョンソンだ。

「ナイブズ・アウト」とは「たくさんのナイフが出てきた」と言う意味だ。小説家の豪邸には物凄い数のナイフが飾られている。そしてこのナイフが伏線の役割をする。映画はコメディタッチだ、ハードボイルドではない。

推理小説家のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)は既に85才。彼はベストセラー小説を次々に書き上げ莫大な資産を築き上げていた。

そして85才の誕生パーティの夜、ナイフで首を切って自殺する。当日は彼の一族、看護師マルタ(アナ・デ・アルマス)、家政婦フラン(エディ・パターソン)が屋敷内に滞在していた。そして次の日の朝フランが遺体を発見する。

ハーランは何故自殺したのか。葬儀が終了したが一族の関心は遺産相続が書かれた遺言書だけだった。ところがハーランの死後、一週間して突然私立探偵ブノア・ブラン(ダニエル・クレイヴ)が現れる。

同行したのは、エリオット警部補(ラキース・スタンフィールド)、ワグナー巡査(ノア・セーガン)だ。ブランは匿名の依頼人から調査を請け負ったと切り出した。そしてハーランの死は自殺ではなく他殺の可能性があると考えていた。だとするといったい犯人は誰なのか?彼は真犯人を見つけることが出来るのか。

このドラマの場所はニューヨークの郊外、時代はやや古く設定してある。現代では科学捜査が一般的だ。もし、他殺であれば、指紋調査、遺体の解剖、DNA鑑定、解像度の良い防犯カメラなどでたちどころに犯人が特定される。

僕はスローテンポな展開や私立探偵ブランのあまりに凡庸なところ、トリックにやや無理がある。などなど最初気になったがこれはライアン・ジョンソン監督の作戦であったことが後でわかる。ブランは家族を観察し既に犯人を絞り込んでいた。

ブランは自分をシャーロック・ホームズに例え、ワトソン役を看護師マルタにお願いする。そしてこの二人でハーランの家族を尋問しながら調べてゆく。マルタを助手にしたのは彼女が嘘をつけない人間(嘘をつくと吐き気が起こる)であることともう一つ理由がある(それはマル秘)。

さあ、あなたは物語の展開を先読みしながらどれだけ早く犯人を見破ることが出来るのか。さあ挑戦してみよう。最後まで見ないと分からないようではホームズにはなれない。ところで僕はどうだったのか・・・内緒だよ。

とりあえずハーランの家族は紹介しておく、皆がみんな怪しい。下を参考に、映画を見る人は「ネタバレ」を見ないように。多分2回見ないと細部まで分からないかも。

●スロンビー家 ハーランの母親 グレート・ナナ・ワネッタ(K・カラン)

●スロンビー家 長女 リンダ(ジェイミー・リー・カーティス)不動産業
夫  リチャード(ドン・ジョンソン) 不動産業、若い女と浮気している
息子 ランサム(クリス・エヴァンス)放蕩息子

●スロンビー家 長男 ニール 既に死亡
妻  ジョニ(トニ・コレット)お金に困っている
娘  メグ(キャサリン・ラングフォード)ハーランに学費を出してもらっている学生

●スロンビー家 次男 ウォルト(マイケル・シャノン)父の本を出版する会社を経営、父から解雇される
妻  ドナ(リキ・リンドホーム)
息子 ジェイコブ(ジェイデン・マーテル)オタク青年

 

その後のストーリーとネタバレ

スロンビー家は色々調べてゆくと皆あやしいことが分かってきた。ブランは持ち前の推理力を駆使し、犯人を絞り込んでゆく。以下に怪しい点をまとめた。

●スロンビー家 長女・リンダの放蕩息子ランサムがハーランと口論し部屋を飛び出してゆくのを皆が見ている。夫のリチャードが浮気をしているのをハーランは娘に告げ口しようとしていた。

●スロンビー家 長男 ニールの妻ジョニが娘の学費を二重に受け取っていたことがバレ、ハーランに追及される。そして援助を打ち切ると通告される。彼女はお金に困っていた。

●スロンビー家 次男 ウォルトは父の本を出版する会社を経営していたが父から解雇される。これからどうすればいいか途方に暮れる。

ハーランの家族みんながそれぞれ動機を持っており、彼の莫大な遺産を狙っている。ブランはそれぞれ、関係者の尋問を行うとともに家の周りを調査する。そしてマルタも行動を共にする。

そんなドタバタの最中に、スロンビー家の弁護士が現れハーランの遺言書を開ける。そこには驚くことが書かれてあった。何と、ハーランの遺産はマルタに全額のこすと書かれてあった。

生前、ハーランの面倒を親身になってみてきたのは純真な心を持つマルタだけだったのだ。家族全員がマルタに食って掛かる。彼女はパニック状態だった。

そこにランサムが現れ、マルタを車に乗せ避難させる。ランサムは彼女とレストランに入り、彼女を自分の家族から守るから真実を話せと詰め寄る。

マルタはランサムに次のことを話してしまう。

彼女はハーランと真夜中に碁を打っていた。彼は負けそうになって碁盤を床にばらまく。その音で下で寝ていた長女が父親の部屋に行きトラブルがないことを確認してまた、ベッドに戻る。

マルタは碁盤と一緒に薬品のビンが転がったが、それを拾い上げいつものように精神安定剤をハーランに注射する。ところが薬ビンを見ると間違ってモルヒネを大量に注射していたことが分かる。彼女はパニックを起こす。そして「あなたはあと10分で死ぬ」と告げる。

自分の死を悟ったハーランは彼女にアリバイ作りを強要して、首を切って自殺する。マルタは階下に降りて家を出る、その時家族がいて今の時間を告げる、真夜中の12時だ。そして車で帰ったふりをして家に戻り壁の梯子を上って隠し扉から二階に登り、ハーランのナイトガウンを身に着け、ハーランが自室から降りてきたようにアリバイ工作をする。

もと来た梯子を下りる途中に梯子の一部が壊れて下に落ちるとともにハーランの母親ワネッタに見つかる。ところが彼女はモウロクしたのか「ランサムまた来たのね」とつぶやく。

暫くしてマルタに血液検査の結果(検査結果はわざと消してある)と脅迫状が届く。言われた場所に行くと家政婦フランが椅子に座らせられ虫の息だった。急いで救急車を呼びマルタは必死にフランの蘇生を始める。そんな時に何者かによって血液検査ラボが放火される・・・ハーランの保存血液も焼失してしまった。

もう一刻の猶予もならないと判断したブランは家族を集め、「犯人はランサム、お前だ」と告げる。ブランは種明かしする。ランサムがハーランの「遺産はマルタに全額のこす」の言葉に激高し部屋から出てゆく。車で帰ったふりをして、外の梯子を上りマルタのカバンを見つけ、薬ビンの中身(精神安定剤とモルヒネ)を注射器を使って入れ替える。

そして梯子を下って降りる所をワネッタがガラス越しに見ていた。さらにランサムが薬ビンを持っているところを家政婦フランにも見られていた。

ブランを雇った匿名の依頼人は「ランサム」だった。ハーランの死が自殺で処理されようとしたのをブランに見破ってほしかったのだ。ハーランの血液を調べればマルタが薬物を注射して殺したことが証明できる。ところが彼女がハーランに注射したのは「精神安定剤」だったのだ。

彼女は長年の経験でラベルを見なくても「精神安定剤」と「モルヒネ」の区別が出来ていた。それを知ったランサムは血液検査ラボに放火し、証拠隠滅を図ったのだ。

病院からマルタに電話がかかってくる「家政婦のフランが一命をとりとめた」と。フランを殺そうとしたのはランサムだった。彼は殺人を認め自白する。そして近くのナイフを掴むとマルタの胸めがけて突き刺す。

その時、マルタは気分が悪くなってランサムの顔に吐く。それにナイフはトリックナイフで刃がバネで引っ込むやつだった。マルタは家政婦のフランが亡くなったのに嘘をついたのだ。

レビュー

名探偵ブランがハーランの屋敷を訪ねた時、マルタのスニーカーを見る。そのスニーカーには血痕らしきものが付着しており彼は彼女が惨劇を目撃したのではないかと察する。しかし、惨劇の一週間後にやってきたブランがシューズについたシミから判断できるものか疑問がある。

それに「精神安定剤」と「モルヒネ」が似たような薬ビンに入っているのも疑問。普通、モルヒネはアンプルに封入されていると思う。良心的なマルタがアリバイ工作をするのも疑問、何故なら血液検査で彼女が疑われるからだ・・・彼女が「精神安定剤」を注射していても、いつかはバレると考えるのが普通。

僕はクリス・エバンスが何故、この映画に出演したのか気になっていた。彼が出演するなら重要な役でなければならない。犯人か、犯人を追及する重要な役なのか、映画を見る前から勘ぐってしまう。誰でも彼が犯人と思うかもね。

残念ながらクリス・エバンスがやるような役ではないように思う。彼は「キャプテン・アメリカ」など正義の味方のイメージが定着している。悪役を引き受けてイメージチェンジをしたいのは分かるが・・・。

まあ、ケチをつけたらきりないが、脚本は良く出来ていると思う。このドラマが大ヒットしたのはダニエル・クレイヴの力が大きいと思う。続編が検討されている。次回作も期待したいね。

TATSUTATSU

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