ストーリー
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世の中には「年を取らずに生き続ける人間」がいる。彼らは「ヴァンパイア」や「ゾンビ」などと陰口をたたかれている。何百年にもわたって生き続けている彼らは、莫大な資産を持っている。多くは生殖能力が無い・・・。従って、ごく少数の人々が人間社会に紛れ込んでいる。
しかし、彼らを捕らえて「永遠の命」を解明しようとする権力者もいる。彼らは表舞台から自分を消さなければならない。何故彼らが存在しうるのか、理由は不明である。遺伝的(DNAの突然変異)な疾患なのか?
この話を信じられない人は多い。例えば難病に指定されているある種の病は太陽の光を浴びることは出来ない、皮膚が炎症を起こすからだ。現在ではこれらの病気の原因が分かっているが、大昔には「ヴァンパイア」と結び付けて考えられていたかもしれない。
また、ある宗教上の理由で「生き血」を飲み続けている人々もいる。「血液」は生命力のミナモトであり、これを体内に取り込むことで命をつなぎ精神を活性化させると信者は考えている。この宗教団体は組織化されており、「血液」を提供してくれるボランティアもいるそうだ。
僕は十数年前にあるコンビニでバイトしていた。そこには同僚としてTさんという青年がいた。彼は30代前半くらいの青年に見える。東洋人とアメリカ人のハーフのような風貌だ。
僕もTさんも夜間シフトだ。僕は真夜中になってくると眠くなるが、Tさんは全くそんな様相は見せない。夜が得意なんだろう。夜勤のパートナーとして彼とは付き合いが長い、それにウマが合って、なんでも話す間柄だ。
ある日のこと、勤務明けの朝に不思議な光景を見た。太陽に当たったTさんの腕が緑色に光るのだ。彼はすぐに、まくった袖をおろしたが僕の顔を鋭い目で見る。一瞬、目の奥がブルーに光ったような気がした。
彼は朝食でも食べようと僕を誘う。ちょうど朝早くからやっているファミレスがあった。その時に彼から不思議な話を聞く。その話は以下のようだ。彼の話は嘘かジョークかもしれない。でも誰かが困るわけでもない。
彼は「自分は不老不死」だと言う。正確にはしばしば病気になったりするから「不老」と言った方がいいかも・・・と笑う。日本なら江戸時代の初期から生きている。ヨーロッパでは実に「魔女狩り」がピークの時代だ。彼は世界中を旅している。色々な裏話を知っていてを教えてくれた・・・話は膨大で尽きない。
Tさんには両親がいたが、後でわかったことだが自分は「養子」だったらしい。だから本当の親は知らない。自分のような変わり種は物凄い低い確率だが、生まれて来るらしい。最新の研究では「遺伝子の突然変異」ではないかと考えているようだ。
今は、宇宙船で月に行ける時代だ。自動車もいっぱい走っている。こんな時代が来るなんて、数百年前には全く考えつかなかった。Tさんは感慨深そうに昔を思い出しているようだ。これから先も大きな変化があるだろうと独り言のように話す。
最後に、Tさんは長く一人で生きてきたけど、そろそろ終止符を打ちたいと弱音を吐く。確かに際限なく生きるのはつらいとも思う。そんなとりとめもないことを長時間にわたって話し込んだ。僕はこの時不思議に眠くはならなかった。
それ以来Tさんには会っていない。あの時話したのが最後だ。彼はどこに行ってしまったのだろーか。今思うと、Tさんの話は最初「嘘」のように思えた。何故なら僕たちが学校で習う世界史・日本史と彼の話は全く異なっていたからだ。でも最近は、彼の話してくれた世界の方が正しいと感じている。
TATSUTATSU
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