サマリー
2016年日本公開のアメリカ ヒューマンドラマ
監督・脚本 トム・マッカーシー(扉をたたく人)
出演 マーク・ラファロ(はじまりのうた、アベンジャーズシリーズ)
マイケル・キートン(バットマン、ロボコップ、バードマン)
レイチェル・マクアダムス(アバウト・タイム、誰よりも狙われた男、TRUE DETECTIVE/ロサンゼルス)
リーヴ・シュレイバー(スクリームシリーズ、ジゴロ・イン・ニューヨーク、完全なるチェックメイト)
ジョン・スラッテリー(アイアンマン2、アントマン)
スタンリー・トゥッチ(ジュリー&ジュリア、トランスフォーマー/ロストエイジ、ワイルドカード)
実にいい映画だね、勇気を与えてくれる実話のドラマだ。第88回アカデミー賞では6部門ノミネートされ作品賞と脚本賞を獲得している。
世の中にこんな凄い人たちがいるなんて、人間はまだ捨てたもんじゃない。
カトリック教会の聖職者(神父など)の6%が幼児性的虐待者とは信じられる?1000人の聖職者がいれば60人が1万人では600人が異常者だ。
この事実を教会のトップは大昔から知っている。ところがこのスキャンダルを無視し、拡散しないよう強力な政治力を使って蓋をしてきた。
彼らの権力は絶大で誰も手出しできない・・・何故ならカトリック教会は人々の精神的な支えでもあるからだ。
実は世間の人々もこの事実を薄々知っている。でも自分が当事者でない限り、見て見ぬふりだ・・・世間とはそんなもんかもしれない。
でも虐待された児童たちは大きなトラウマを抱えて生きてゆかなければならないし、自殺者もいるらしい。
「ボストン・グローブ」紙の「スポットライト」チームはこれらの事件を丹念に調べ上げ数々の妨害にも屈せず新聞発表する。
彼らの凄いところは、単発の虐待事件としてではなくボストン地区で80人以上の聖職者が虐待を繰り返していた事実とその裏付けをリストにまとめたことだ・・・これだけの異常者が公にされれば教会も「ダンマリ」を決め込むわけにもゆかない。
「スポットライト」チームが口火を切った「スクープ」は全米各地に広がって行く・・・チームは世界の英雄と言ってもいいかもしれないね。
ストーリー
2001年マーティ・バロン(リーヴ・シュレイバー)が「ボストン・グローブ」新聞社の新局長として赴任してくる。
マーティは30年間も児童に対する性的虐待を6か所の教区で犯してきたゲーガン神父の事件を裏を取って記事にしろと指示を出す。
「ボストン・グローブ」新聞社は地方新聞で、記事もマンネリ化していた・・・「タイムズ」社から来た新局長はこの地方紙に新風を吹き込もうとしていた。
記事は「スポットライト欄」を担当しているロビー デスク(マイケル・キートン)が責任者で彼の部下マイク(マーク・ラファロ)、サーシャ(レイチェル・マクアダムス)、マット(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)がチームを組んで調査することとなった。
彼らはゲーガン神父の事件を追っていく中で、多くの神父が児童性的虐待者として浮かび上がってきた。
心理療法士の情報では神父の約6%が児童性的虐待者だと言う。ボストンには1500人の神父がいる・・・単純計算すると90人が異常者だ。
心理療法士はこの原因の一つに聖職者の独身制にあると言う・・・神父の内 禁欲を守っているのは半分ぐらいだと。
ロビーたちは絶句する・・・何故これらの事件が表に出てこない。
教会は被害者と直接示談にて事件を処理し、公にしない・・・裁判所などの記録文書も残っていないことが予想される。
ロビーたちは、調査を続けるが、その先には教会の秘密主義が壁となって立ちふさがる。
果たして彼らは神父による児童性的虐待の全容を明らかにすることが出来るのか・・・。
ネタバレとレビュー
チームは人海戦術で独自の調査を行ってゆく。
ボストン教区の神父の人事異動記録の中から、任期が短いもの、異動の理由が「病気休暇」「休職中」などをリストアップする・・・大変な作業だ。
実に87人の神父がリストアップされた・・・心理療法士の予想している数字とほとんど一致する。
チームはリストアップした神父が性的異常者かどうか裏を取る作業を始める・・・苦労の末ほとんどすべて裏が取れた。
情報提供者たちはチームに教会から狙われると忠告をする・・・しかしもう後には引き返せない。
そしてただ単に性的異常者の神父を記事にしてもしょうがない、教会の隠ぺいシステムをあばき、教会のトップが関与していることを白日の下にさらけ出す。
そんな時に9.11が起こってしまう・・・しばらくスクープは凍結だ。
マイクは被害者から枢機卿にあてた虐待神父改善要求の手紙を見つける・・・枢機卿は被害者からの手紙を黙殺していた。
そしてやっと、全ての情報がまとまった・・・ダメ押しで枢機卿のコメントを求めたが拒絶された。
ついにスクープ記事が新聞によってリリースされる。
「ボストン・グローブ」社の電話は鳴りっぱなし(ほとんどは被害者からだ)、記事の反響の大きさに面食らう。そしてこのスクープはどんどん拡散してゆく・・・アメリカ中、いや世界中が同様の悩みを抱えていたのだ。
このスクープは2001年に行われたものだ、もう今は2016年だ、実に15年経って映画化されている・・・登場人物が実在の人間をモデルにしていることから仕方がないのかもしれない。
このスクープによってその後の教会は改善されてきているのか、残念ながら僕は知らない。
でも世の中には勇気ある人々がいることが分かって頼もしいと感じる。
今ではインターネットが発達した時代になってきている・・・誰でもその気になればある程度の真実はつかめるのかもしれない。
そう考えると良い記事が書けなければ新聞は消えてしまうかも知れない。
最後に、このスクープをまとめたデスクのロビーは、1993年に児童性的虐待神父20人のリストをマクリーシュ弁護士から受け取っている。
彼はその時に何故 動かなかったのか、今でも悩んでいる。
TATSUTATSU
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