サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2011年日本公開のアメリカ・イギリス合作ホラー映画
監督・脚本 マット・リーヴス(猿の惑星:新世紀、猿の惑星:聖戦記、モールス)
出演 ●コディ・スミット=マクフィー(ザ・ロード、モールス、X-MEN:ダーク・フェニックス)
●クロエ・グレース・モレッツ(キック・アス、イコライザー、サスペリア、モールス)
●イライアス・コティーズ(モールス、ラスト・デイズ・オン・マーズ)
●リチャード・ジェンキンス(モールス、キング・コング:髑髏島の巨神、シェイプ・オブ・ウォーター)
「切なくて怖い」ホラーだ。あの「スティーヴン・キングが絶賛」した作品として有名だ。12歳の少年オーウェン(コディ・スミット=マクフィー)が知り合った不思議な少女アビー(クロエ・グレース・モレッツ)。
少年の淡い恋の相手は普通の少女ではなかった。彼女はいったい何者なのか。そして彼女の周りでは悲惨な殺人事件が続く・・・これは可憐な彼女の仕業なのか。
こんなホラー映画をたまには見るのも面白いお勧めだ。2008年のスウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」のリメイクだ。
あり得ないストーリーをうまく現実の世界に落とし込んだマット・リーヴス監督の手腕が光る。世の中にはひっそりと得体のしれないものが生き続ける。そんな幻想を抱かせる。
話のスジを少し紹介すると。1980年代のニューメキシコ州ロスアラモスが舞台だ。オーウェンの隣の部屋に少女とその父親と思われる男(リチャード・ジェンキンス)が引っ越してくる。
少女の名前はアビーと言い、オーウェンと同じ年らしい。彼女は雪の積もるアパートの中庭に素足で現れる。寒くないかと聞くと「感じない」と答える。
オーウェンは学校でいじめっ子にいつもいじめられる。彼は頬に傷をつけられ帰ってくる。アビーは「私が守ってあげるから、やり返せ」と言う。
彼女は隣の部屋だ。壁伝いに音が聞こえてくる。オーウェンはアビーに「モールス信号」を教え、壁を隔てて意思の疎通をする。彼女とは仲良しになる、彼女は「私のこと好き、たとえ普通の女の子じゃなくても」とオーウェンを抱きしめる。
そんな時、その街で殺人事件が起こる。黒いマスクをかぶった不審な男が若い男を木に吊るし生き血を絞っていた。さらに二人目の犠牲者が出る。刑事(イライアス・コティーズ)がこの事件を嗅ぎまわる。果たして殺人事件に少女はかかわっているのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
アビーの父親と思われる男トーマスは彼女のために若者を襲い血を採取していた。ところがある日この行動は失敗する。車の中で若者が目覚め格闘になり車は横転、トーマスは重傷を負う。彼は身元がばれるのを恐れ硫酸を顔にかける。
顔はただれ救急車で病院に担ぎ込まれるがトーマスの身元の特定は困難になる。彼を訪ねてアビーが病院に現れる。彼は少女に「すまない」と言いつつ首を近づける。アビーは彼の首筋に牙を立てる、そして彼は病院の窓から身を投げ自殺する。
オーウェンは隣の彼女の部屋に行く。彼は彼女と永遠の友情を結ぼうと血の契りを始める。オーウェンは指をナイフで傷つけ血が滴る。それを見たアビーは正体を現す。彼女はヴァンパイアだったのだ。
彼女は血の欲望を抑えられず部屋を飛び出し、たまたま通りかかった女性を襲う。オーウェンはアビーの部屋で古い写真を見る。そこにはアビーと少年時代のトーマスが写っていた。彼女はまったく歳をとっていないのに、トーマスは今では初老の男だ。
アビーが襲った女性は病院に搬送され一命をとりとめる。朝、看護師が彼女の部屋のカーテンを開け日の光を室内に入れると異変が起こった。女性の体は燃え上がりその火は看護師までも巻き込んで燃え広がる。彼女はヴァンパイアになってしまっていたのだ。
一連の殺人事件を追っていた刑事はアビーの部屋へと捜査の手を伸ばす。彼女の部屋のドアを破り、銃をかまえてバスルームに行く。浴槽の中には何重にも布をかぶった状態でアビーが眠っていた。その部屋にはオーウェンもいた。彼女は刑事を襲う・・・刑事は首筋を噛まれ死んでゆく。
オーウェンは学校の水泳の授業中にいじめっ子たちにに襲われる。仲間の一人にいじめっ子の兄もいた。オーウェンを水中に押し込みおぼれさせようとする。その時、何かが現れ、いじめっ子たちが悲鳴を上げる。切断された首が水の中に落ちてくる。
水面に上がったオーウェンの顔を血だらけの手が包み込む、アビーが助けてくれたのだ。それからしばらくして大きな箱を持ったオーウェンが電車に乗っていた。箱に中にはアビーがいるようだ。「モールス信号」を使って外から彼女と交信する。
レビュー
原題の「LET ME IN(入れてちょうだい)」とは。ヴァンパイアは部屋に招き入れなければ入ることが出来ない。オーウェンの部屋に勝手に入ってしまったアビーは体中から血を流すシーンがある。
その他にもヴァンパイアには色々な弱点がある。陽の光、十字架、ニンニクなど・・・これらの弱点があるからこそヴァンパイアは宗教が作り出した魔物かもしれない。
アビーは12歳の時にヴァンパイアになったためその姿で200年以上生き続けている。アビーは少年のトーマスと知り合い一緒に旅を続ける。しかし、トーマスは人間であるから歳をとる。そしてアビーに生き血を与えるため人殺しをする。
トーマスは自分の一生を愛するアビーに捧げている。このシーンは物悲しさを感じる。やがてアビーは薄幸の少年オーウェンと知り合い恋心を抱いてゆく。オーウェンも彼女がヴァンパイアと知りつつ一緒に旅を始める。
アビーは外見は可憐な少女だ。しかし、正体を現せば最強のヴァンパイアになる。彼女はオーウェンを守り、そしてオーウェンは彼女を生き永らえさせる為にトーマスと同じように身をささげる。
TATSUTATSU
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