サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2008年日本公開のルーマニア・アメリカ合作ホラー映画
監督・脚本 アレクサンドル・アジャ(ミラーズ)
出演 ●キーファー・サザーランド(24-TWENTY FOUR-、フラットライナーズ、ダークシティ、ミラーズ)
●ポーラ・パットン(デジャヴ、ミラーズ)
海外ドラマ「24-TWENTY FOUR-」のキーファー・サザーランドが主演のホラーと言う事で有名な作品だ。とにかく、グロいシーンが多いので一人でこっそり見よう。
「鏡は魂を吸い取る」とか「鏡は霊力を持つ」など昔から言い伝えがある。だから、かなりお歳を召した方は鏡を割ったり、捨てたりすることを不吉だと感じ、嫌うようだ。鏡は自分を認識する道具だ。人間だから鏡に映った姿が自分だと気付く。しかし犬・猫では「自分」を認識できない・・・ここに知能の大きな差がある。
「ヴィドック」
鏡の前の世界(我々が住んでいる世界)と鏡の向こうの世界(あの世のことか?)はセパレートされていると思うことがある。もし鏡に映っている自分が自分の意志に反し勝手に動いてしまったらチビルほど怖い。
夜中に薄暗い部屋で鏡を見ることはお勧めしない・・・自分の後ろに何かが映っていたら大変だ。そして寝る時には自分の姿が鏡に映らないようにしなければならない。何故なら寝ている間に少しずつ魂を吸い取られると言う人がいるからだ。
鏡の球体の中に閉じ込められたら気が狂うと言われる。四六時中、自分を見るのは嫌だ。そして頭がおかしくなって来れば鏡の中に幻影を見る。その幻影はひょっとしたら自分に巣食っている悪魔なのかも知れない。
話しのスジを少し紹介すると。拳銃誤射によって停職となったベン刑事(キーファー・サザーランド)は夜間警備員の仕事を始める。職場は大火災で多くの死傷者を出した巨大デパート「メイフラワー」だ。
メイフラワービルの中は廃墟のように薄気味悪い。このビルは放火によって焼失していた。放火犯は気が狂ったのか鏡に話しかけられたと言っている。そしてベンの前任の警備員が鏡の破片で首を切って自殺していた。
ベンは真夜中に薄気味悪い巨大な廃墟を警備してまわる。焼けただれたマネキンたちが気味悪い。巨大な鏡には無数の掌紋がついていた。
ベンは妻のエイミー(ポーラ・パットン)と別居し、妹のアンジェラ(エイミー・スマート)のところに居候していた。洗面所の鏡に自分のただれた顔を一瞬見たベンは腰を抜かす。
ベンは巨大な廃墟の警備中に真っ赤な火に焼かれる人々を見る。そしてその火が自分を襲い、体中が燃える。ところがこれは幻影だった。しかし、鏡に触れた左手は切り傷を負っていた。
妹のアンジェラが浴槽で口を引き裂かれて死んでいるのが発見された。ベンは廃墟の鏡のせいだと考えた。鏡に「何が望みだ」と聞いたところ、「エシカー」の文字が現われた・・・人の名か。「エシカー」を探せと言う事か?
放火犯は鏡に妻子を殺されたと言っている。「エシカー」を探さなかったからだ。ベンは自分の家族も犠牲になると考え家じゅうの鏡を撤去し、取り外せない鏡にはペンキを塗る。
ベンは巨大な廃墟の中に何か隠されていると地下を調べ回る。そして古い壁を壊して中に入ると、何とそこには鏡に囲まれた部屋があった。そして部屋の中央に椅子が備え付けられていた。ここは「聖マタイ病院」の廃墟だった。
そして「アンナ・エシカー」と言う患者がいたことが分かる。この病院では多くの患者たちが亡くなるなど惨劇があった。アンナも死んだことになっていたが、今もどこかで生きているのだ。
アンナの親族を見つけた。彼女は少女のころ手が付けられないほど狂暴だった。診断は統合失調症だとされていたが何かに憑りつかれているようだった。ニューヨークからケーン医師が来て、珍しい人格障害だと治療を申し出る。
そしてアンナの病状は回復したが鏡に異変が起こるようになった。彼女は鏡の無い所、つまり聖アウグスティヌス修道院に収容されているらしい。果たして彼女は今でもそこにいるのか、そして彼女には過去何があったのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
ベンは修道院に急いで向かう。彼はアンナに会い「あなたの協力が無いと私の家族が危ない」と懇願する。そして「何故、鏡はあなたを探しているのか」と続ける。
彼女は「鏡に閉じ込められている悪魔が私を呼んでいるからだ」と答える。私が「聖マタイ病院」の廃墟に行って鏡と対峙すれば、鏡に閉じ込められた悪魔が現実世界に戻ってしまう。彼女は拒絶するがベンから家族の写真を見せられて、行くことを決意する。
アンナはケーン医師による統合失調症の治療を受けていた。鏡の部屋に入れられ自分と向き合うことで精神病を克服する治療法だ。ところがアンナの病気は統合失調症ではなく、悪魔の憑依によるものだった。
悪魔は鏡の中に封じ込められ彼女の病状は回復に向かった。ところが今度は鏡の中の悪魔による殺人が続いてしまう。悪魔は多くの人を殺し魂を鏡の中に閉じ込める。
ベンはアンナと廃墟となった「聖マタイ病院」鏡の部屋に向かう。そして彼女を部屋の真ん中にある椅子に座らせ腕・足を固定する。鏡に閉じ込められた悪魔が彼女に乗り移る。その時、鏡の部屋は破裂し、廃墟にある鏡はすべて粉々になる。
ところが彼女に乗り移った悪魔が現われベンを襲う。死闘の末、ガスに引火し地下通路は大爆発を起こす。ベンは襲ってくる火炎と瓦礫の落下を避けながら地上へと逃げる・・・・。
ベンは助かったのか?地上に出たが何かおかしい。ベンに気付く人は誰もいない。そして目に見える文字が全て裏返しだ。左手のキズが何故か右手に移っていた。ガラスには自分の姿が写らない・・・ベンは驚く。彼は鏡の向こう側の世界に行ってしまっていた・・・。
レビュー
ホラー映画は一般的に無名俳優を起用した低予算だ。だからストーリーと怖がらせ方で勝負する。でも主役に有名俳優を使えば、一粒で二度おいしいキャラメル効果が期待できる。
この作品は主役に「24-TWENTY FOUR-」のキーファー・サザーランドを使っている。だから「ジャック・バウアー捜査官、今度は悪魔と闘う」的な見方も出来る。
「ミラーズ」は良く出来たホラー映画だと思う。
●巨大な廃墟と焦げたマネキン ⇒ 物語の舞台が不気味だ
●鏡の中の悪魔との闘い ⇒ 悪魔によって妹や仲間を残虐に殺される
●悪魔はかつて宿主であったアンナを探している ⇒ 謎解き「アンナは何処にいるのか」
●そして見つけたアンナに悪魔が憑依する ⇒ 悪魔との闘い
●結末の大どんでん返し ⇒ 予想のつかない展開
とホラー映画のツボを押さえている。ホラー界の貴公子と呼ばれるアレクサンドル・アジャ監督の手腕が光る。彼は寺沢武一のマンガ「コブラ」の実写化を企画しているが予算がかかりすぎることでとん挫している。残念だね。
「ミラーズ2」
今後も才能を生かして怖い映画を作り続けてほしいね。「有名俳優ホラー映画ベスト20」も参考にしてね。
TATSUTATSU
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