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映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」感想・評価‐ドイツ軍の暗号を解読した男は神かそれとも悪魔か

サマリー


映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編

2015年公開のイギリス・アメリカ製作の伝記映画、監督はモルテン・ティルドゥム、主演はベネディクト・カンバーバッチ(シャーロック裏切りのサーカスホビット8月の家族たち)である。

この映画はインディペンデント(自主製作映画:ハリウッドのメジャースタジオ6社に属していない独立系の映画製作会社)映画であるが、第87回アカデミー賞に8部門ノミネート(脚色賞受賞)され、欧米では興行的にも大ヒットした映画である。

物語は、第二次世界大戦において、ドイツ軍が使用した暗号機「エニグマ」の解読に成功した英国の天才数学者アラン・チューリングの伝記である。

彼は天才ではあるが周りとはうまくやって行けない変わり者であり、さらに「ゲイ」である。彼は暗号解読機を作成し、多くの苦難を乗り越えて、当時解読不可能と言われていた「エニグマ」を解読してしまう。

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アラン・チューリングとベネディクト・カンバーバッチ

しかし、このことは英国における機密事項で誰にも話すことは出来ない、そして彼の功績は闇に葬られてしまう。さらにそれどころか彼が同性愛者であることが公となり、国から反同性愛法によって罰せられてしまう。

アラン・チューリングの苦悩をベネディクト・カンバーバッチが実にうまく演技する。さらに彼の婚約者としてキーラ・ナイトレイ(パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ、キング・アーサー、エージェント:ライアンはじまりのうた)も出演する豪華な顔ぶれとなっている。

彼らのファンはもちろん、内容もなかなかのものである、是非秋の夜長に鑑賞することをお勧めする。

映画の題名「イミテーション・ゲーム(模倣ゲーム)」とはチューリング・テスト(エクス・マキナも見てね)の事を表していると思われる。彼は「コンピューターは考えることができる」との主張において、面白いゲームを考案する。

つまり「コンピューターと人間を別々の部屋でモニター越しに会話させる」そしてどちらがコンピューターか第3者(質問者)が判定するものである。判定できなければコンピューターは思考出来ると判断しても良いと考えられるのではないかと・・・・・・彼は人工知能マシン開発の草分け的存在と言われている。

また「天才の悲劇を描いたお薦め映画ベストテン」も見てね。

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ストーリー

ストーリーを紹介すると、1951年イギリス・マンチェスターのアラン・チューリング宅で盗難が発生し、隣りに住んでいる住人が警察を呼ぶ。ノック刑事(ロリー・キニア)が現場に駆けつけると、アラン教授は後片付けの最中で何も盗まれていないと言う。部屋が荒らされているのに盗難が無いと言うアラン教授にノック刑事は不信を抱く。

1939年に大戦が勃発し、ロンドンにドイツ軍の空襲が始まる。アランはブレッチリー無線機器製造所での出来事を回想する。

彼はここで、アラステア・デニストン中佐(チャールズ・ダンス:ドラキュラZERO)の採用面接を受ける。ところが彼は中佐に対してデカい態度を取り、自分の事を数学の天才だと言う、しかもドイツ語は出来ないと・・・・・あきれた中佐はではドイツの暗号文をどうやって解読するのだと問いただす。

彼はドイツの暗号はクロスワードパズルと同じだ、世界一難しいパズルだが私には解けると自信を見せる。そしてここが、アランはドイツの暗号機「エニグマ」を解読する最高機密の場所であることを知っていた。「エニグマ」さえ解読出来れば、戦争は早く終わるとまで主張する。

中佐は「エニグマ」を解読するのは不可能だ、アメリカ、フランス、ソ連・・・・どこも成功していないと主張する。結局中佐はアランを採用せざるを得ない状況になる。そして彼はアラン達にポーランド情報部が入手した実物の暗号機「エニグマ」を見せる。

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暗号機「エニグマ」

全ての軍事作戦は暗号化された通信として各部隊に送信される、そして通信内容は「エニグマ」を通して解読され内容が伝達される。従って「エニグマ」はまさにドイツ軍の心臓部だ。

さらにこの「エニグマ」の設定は深夜0時に毎日変更される、この設定が分からない限り「エニグマ」を持っていても傍受した通信の中味が分からないし、解読するまでに18時間しか時間の猶予が無い。

「エニグマ」のローターは5個、プラグボードは10組・・・・・設定は159×10の18乗とおりの組み合わせがある。とても人間の能力で解けるレベルのシロモノではない。

中佐はチームリーダーのヒュー・アレグザンダー(マシュー・グッド)を皆に紹介し、そしてMI‐6(英国情報局 秘密情報部)のスチュアート・ミンギス(マーク・ストロング:裏切りのサーカスゼロ・ダーク・サーティ記憶探偵と鍵のかかった少女)も紹介した。

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アランはチームから浮いた存在であり、一人で暗号解読機の設計に没頭していた。暗号解読機の予算をヒューが承認しないことから、アランは中佐に直訴する、予算は10万ポンド(今のレートであれば2,000万円ほどであるが当時としては億円単位の予算と思われる)である。

中佐はリーダーの指示に従えとオーケーを出さない、らちがあかないと判断したアランは、さらに上層部のウインストン・チャーチルに手紙を書き、スチュアート・ミンギスに託送させる。

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スチュアート・ミンギス(マーク・ストロング) MI‐6(英国情報局 秘密情報部)

その結果、チャーチルがアランを責任者にすることが決まり、さらに暗号解読機の予算も承認された。責任者になったアランはチームの荒療治をする、まず効率の悪い2名を首にした・・・・・・これによってチームの士気は低下するとともに、中佐とも確執が生まれた。

アランは首にした2名の代わりに、クロスワードパズルを問題として、これを簡単に解ける人物を採用することにした。採用テストの結果ケンブリッジ大学の卒業生ジョーン・エリザベス・クラーク(キーラ・ナイトレイ)と男性1名を採用する。

ところがなかなかジョーン・クラークがブレッチリーに来ない、アランはクラーク宅を訪れ彼女の両親と彼女を説得し、やっとのことでメンバーの一員にする。

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ジョーン・エリザベス・クラーク(キーラ・ナイトレイ)

アランをリーダーとするチームは焦っていた。1日中、根を詰めて「エニグマ」を解読しようと試みるが直ぐに真夜中の0時になり、時間切れである。また明日から、ゼロスタートとなる。

アランは「クリストファー」と名付けた暗号解読機(電気的頭脳)につきっきりであった。「クリストファー」とは彼の学生時代の親友であり、初恋の相手でもあった男の名前である。しかしクリストファーは若くして肺結核で亡くなり、アランの心に大きなトラウマを残した。

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いつまでたっても結果が出ないことに苛立ち、アランとメンバー達との間には険悪なムードが流れる。そこにジョーンが入ったことによって、険悪なムードが和らぎ、チームの連帯感が芽生えてゆく。

しかしデニストン中佐も限界に達し、アランに首を言い渡す・・・・・ところがヒュー以下チームのメンバーはアランを擁護し、彼を助ける。

果たして彼らは「エニグマ」を解読することが出来るのであろうか、是非映画を観て頂きたい。

ネタバレ

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アラステア・デニストン中佐(チャールズ・ダンス)

ジョーンはブレッチリー無線機器製造所を辞めるとアランに話す、両親からの強い要求で家に帰って嫁に行けと言われたとのことである。

アランは今ジョーンに辞められては困ると、彼女を引き留めるために、苦肉の策として彼女にプロポーズする。彼女は喜んで、彼の申し入れを受けた・・・・・でもアランは「ゲイ」であり思い悩む。

「エニグマ」の解読は相変わらず難攻を極めた、「クリストファー」は動き続けるが、答えが出てこない・・・・・チームに絶望感が流れる。

ところがふとしたことから解読のヒントが得られる。受信を傍受している女性が、ある特定の送信者の送信が毎回「CILLY」から始まることを話す・・・・・彼女はこれを送信者の恋人の名前だと思っていたようである。

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毎朝6時の通信には、必ず3つの言葉が使われる・・・・・つまり「天気」と「ハイル」・「ヒットラー」である。これを「クリストファー」に打ち込めば、不必要な操作が削減できる。

アランの予想通り、「クリストファー」は「エニグマ」の解読に成功した。チームの5名全員は有頂天になり、暗号が解読出来たことをヒューはデニストン中佐に連絡しようとした。

ところがアランが強引に阻止した・・・・・・・・「エニグマ」の解読に成功したことがドイツ軍に知られてしまう、そうなれば2年間の苦労が水の泡になってしまう。

「エニグマ」の解読に成功したことを絶対に秘密にしなければならない。海軍・陸軍・空軍に知られないようにこの件はMI-6のスチュアート・ミンギスに委ねた。

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ドイツ軍が気付く前に最大の効果を発揮する情報だけを統計学を使って選択し、こちらの戦局を有利に展開させることをアランは提案した。そして嘘の情報源をでっち上げ、ドイツ軍に流し「エニグマ」の解読成功がバレない様にすべきことも提案した。

スチュアート・ミンギスはアランに向かって「君は私が期待した通りの人間だ」と最高の賛辞を贈った。情報の暗号名は「ウルトラ」と呼ばれ、これはかつてない大規模な情報戦になっていった。

アランはふとしたことから、ソ連の二重スパイがチームのメンバーの一人であるジョン・ケアンクロス(アレン・リーチ)であることが分ったが、ミンギスはこのことを既に知っていて、ジョンを上手く使って情報操作をしていた。

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また、アランにもミンギスの部下が常に尾行・電話の盗聴等を経由して動静を探っており・・・・・・アランは次第に孤独にまた誰も信用できない様になってゆく。

さらに彼はミンギスが自分の能力を高く評価してくれているものの、自分を信用していないことを痛切に感じとる、そしてこれがジョーンに及び彼女が投獄されることを大変恐れていた。彼は彼女と婚約を解消し、郷里に帰るよう説得する。

アランはジョーンに自分が同性愛者であることを打ち明けるが、彼女は薄々知っていて、それでも一緒になりたいと言ってくれる。彼は君のことが嫌いだと嘘をついて、強引に別れる。

それから戦争が2年間続いた、アランは毎日軍隊を生かす者と死す者とに神でもないのに選択する地獄のような毎日を過ごす。しかし彼のチームは人知れず連合軍を勝利へと導いていた。

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スターリングラード、アルデンヌの戦いさらにノルマンディー上陸作戦は、ウルトラ情報なくして勝利は不可能だった。連合軍の勝利で戦争は終わる。

ミンギスは戦争終了後、証拠が残らないよう、アランのチームを解散させ、「エニグマ」関係の書類を全て焼却させた。これらの事実は長い間公表されることは無かった・・・・・・・ほとんどがミンギスの手柄になっていたのかもしれない、彼は最終的には少将まで上り詰める。

以上の話を非公式にノック刑事に話す、アランは彼に「イミテーション・ゲーム」を始めようと言う。今までの話を聞いて、私はマシンなのか人間なのか、戦争の英雄なのか、それとも犯罪者なのか判定してほしいと詰め寄る。

ノック刑事は驚くが、私には判定できないとアランに返答する。

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アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)とノック刑事(ロリー・キニア)

アラン宅の盗難事件の犯人は彼が買った男娼であることが、警察の捜査で判明した。アランは反同性愛法によって裁かれ、ケンブリッジ大学教授の職を失い、しかも女性ホルモンを投与され科学的に去勢された。

しばらくしてアランの所にジョーンが訪ねてくる。ビックリするほど薬物療法で衰えたアランを見て彼女は同情する。彼は「クリストファー」と名付けたマシーンと暮らしていた・・・・・・決して一人ではなかった。

彼女はアランを励ますために「あなたは普通の人ではない、世界を救った人よ」そして「時として誰も想像しないような人物が想像できない偉業を成し遂げるのよ」と話す。

アラン・チューリングは1954年に自殺する、享年41才であった。

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レビュー

現代において「エニグマ」はスーパーコンピューターによってあっという間に解読出来ちゃうね。しかも凄いコンピューターが僕らの膝の上にのっているなんて、アラン・チューリングが生きていたらさぞかしビックリするだろうね。でもチューリング・マシンがコンピューターの原点であることを考えると、彼の業績は凄いと思うね。

それに彼は「エニグマ」の解読によって、戦争終結を2年以上早め、1400万人以上の命を救ったと言われている。こんな凄い人が、イギリスでは犯罪者扱いされるとは世の中おかしいね・・・・・・エリザベス女王によって恩赦が与えられ、彼の偉業が再評価されたのが実に2013年とはあまりにも遅いね。

この「エニグマ」の解読によってMI‐6は飛躍的に大きな組織になったらしい、アメリカのCIA、ソ連のKGB等の組織も巨大化し情報戦争を今でも行っている・・・・・・恐ろしいことだね。

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天才数学者が「エニグマ」の解読をしてしまったために、仲間からはモンスター呼ばわりされどんどん孤独になって行く。彼自身は自分は神ではないと言っているが、軍隊の生き死にを決定する情報を彼が選択していることを考えると、一時期「神」と言っていいかもしれない。

アラン・チューリング宅で盗難が発生した時、MI‐6は警察に圧力をかけ、何故彼を救ってあげなかったのかなー、あまりにもミンギスが冷酷な男だと感じる・・・・・・・そうでなければ務まらないのか。

最後に、シャーロックの時には、単に二枚目俳優と思っていたベネディクト・カンバーバッチが一皮むけた凄い演技をする。彼の今後の活躍が期待出来るね・・・・・ところでシャーロックの続編は何時になったら見られるんだろうね、忘れちゃいそーだ。

辰々

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