サマリー
★★★★☆(見るべき名作)
2020年9月11日日本公開のアメリカ製作ミッドウェイ海戦ドラマ(日本バージョン)
監督 ローランド・エメリッヒ(インデペンス・デイ、デイ・アフター・トゥモロー、ミッドウェイ)
出演 ●エド・スクライン(アリータ:バトル・エンジェル、ミッドウェイ)
●パトリック・ウィルソン(インシデアス、インシディアス第2章、パッセンジャーズ、プロメテウス、死霊館エンフィールド事件、死霊館のシスター、アクアマン、ミッドウェイ)
●ルーク・エヴァンズ(ホビット、ドラキュラZERO、ミッドウェイ)
●ウディ・ハレルソン(グランド・イリュージョン、ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー、ハンガー・ゲームシリーズ、TRUE DETECTIVE/二人の刑事、スリー・ビルボード、ミッドウェイ)
●浅野忠信(ミッドウェイ)
●國村準(ミッドウェイ)
●豊川悦司(ミッドウェイ)
特別映像をご参考に。
今から約80年近く前、1942年6月5日からの3日間、日米の雌雄を決する大海戦があった。今でも語り継がれる「ミッドウェイ海戦」のことだ。ミッドウェイ島は日本からハワイ諸島に向かう航路上のハワイよりにある。
当時、日本とアメリカには大きな国力差があった(今でも大きな差はあるが)。連合艦隊司令長官の山本五十六海軍大将は米国との短期決戦であればある程度互角に戦えると考えていた。長期戦では物量に勝るアメリカには到底勝てない。
「空母エンタープライズ」
1941年12月8日、真珠湾奇襲作戦で日本は多大な戦果を挙げた。ここで大きな成功を挙げたもののミスもあった。燃料基地タンクが破壊できていない。そして空母を一隻たりとも沈めていない。これらが後にボディブローのように効いてくる。
1942年4月18日、ドゥーリトル中佐率いるB25爆撃機16機によって東京・川崎・横浜・横須賀・名古屋・四日市・和歌山・神戸・新潟と日本列島縦断爆撃を許してしまう。これに日本は青ざめる。
「B25ミッチェル」
B25爆撃機は中国に許可なく着陸する。燃料切れで海上に落下する機体もあった。アメリカ軍にしてみれば捨て身の戦法であった。日本は中国をたたく。
「戦艦大和」
そして、アメリカのミッドウェイ島基地のせん滅とおびき寄せた空母の破壊を目的に「MI」作戦を敢行する。しかし、この情報は暗号解読され、米軍につつぬけになっていた。
アメリカ軍は日本の連合艦隊を待ち受けていた。彼らは日本の4空母のせん滅をただ一つの目標にしていた。そして日本はたった一日で空母4隻「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」を失い、歴戦の戦闘機約300機近くも失う。
映画監督のローランド・エメリッヒはドイツ人だ。彼は「ミッドウェイ海戦」を事実に基づいて忠実に、しかもCGを駆使して迫力満点に描いている。それにアメリカ映画ではあるが日本軍に対しても敬意を表している。
役者の演技は極力抑えめにかつ戦争シーンは派手で大スペクタクルに描いている点は監督の手法なのか。何故、連戦連勝の日本海軍がたった一日で敗れ去ったのか。日本の油断、作戦ミス、戦闘機の質と量・・・などじっくり見てほしい。
そしてこの映画の主役は急降下爆撃機ダグラスSBDドーントレス(恐れを知らないと言う意味)だ。低空では零戦に勝てなかったがその破壊力は凄まじい。この戦闘機によって空母4隻が海に沈められた。これを防ぐ手立てはなかったのか・・・。
日本から、豊川悦司(山本五十六大将)・浅野忠信(山口多聞少将)・國村準(南雲忠一中将)が出演している。彼らの渋い演技も必見だ。この映画を見て戦争とはいったい何なのかを考えるのもいい機会だ。是非映画館に駆けつけてほしい。
ストーリーとネタバレ
1941年12月8日、日本はハワイの真珠湾を奇襲する。連合艦隊司令長官・山本五十六大将(豊川悦司)の命を受け第一航空艦隊司令長官・南雲忠一中将(國村準)、第二航空艦隊司令官・山口多聞少将(浅野忠信)らによってアメリカ軍の艦隊に大損害を与える。
ハルゼー中将(デニス・クエイド)率いる空母エンタープライズが後を追ったが日本の艦隊は既にいなかった。カリスマパイロットとして一目置かれているディック・ベスト(エド・スクライン)は真珠湾の惨劇を見て絶句する。
アメリカ大統領は太平洋地域の総司令官にニミッツ大将(ウディ・ハレルソン)を任命する。彼は着任早々、情報将校のレイトン少佐(パトリック・ウィルソン)を呼び、日本の山本五十六大将の次の出方を読めと指示する。
1942年2月1日、アメリカ軍はマーシャル諸島の日本軍基地を破壊する。そして4月18日にはドゥーリトル陸軍中佐(アーロン・エッカート)が指揮するB25爆撃機16機によって日本列島への縦断爆撃が行われる。
山本五十六大将は天皇陛下、日本国民を危険にさらしたことに胸を痛める。そして戦闘は一進一退を続けるが、日本軍は空母レキシントンを撃沈させる。
その頃レイトン少佐率いる情報班が日本の通信を傍受する。暗号の解読によって山本五十六大将の次の作戦は「ミッドウェイ諸島攻略」であることが推測された。アメリカ軍は残された兵力を結集しこの海域に焦点を絞る。
山本五十六大将は空母4隻、戦闘機250機以上、そして戦艦大和、駆逐艦、巡洋艦、潜水艦からなる世界最強の艦隊を出撃させる。山本は戦艦大和に乗り込み、後方から作戦を指揮する。
アメリカは空母一隻を修理し3隻(ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネット)の体制とこれを守る艦隊で待ち伏せる。アメリカ海軍の作戦は日本の空母4隻を壊滅させるただ一点のみだ。
日本は「ミッドウェイ諸島」のアメリカ軍を攻撃する。そして戦闘は日本の有利に進むが、ゼロ戦が低く飛ぶ敵雷撃機に気を取られているすきに、上空からマクラスキー少佐(ルーク・エヴァンス)、レスリー少佐率いる急降下爆撃機ダグラスSBDドーントレスが日本の空母に殺到する。
あっという間に「赤城」「加賀」「蒼龍」が大破する。一隻残った山口多聞少将が乗船する「飛龍」は敵空母に打撃を与える。しかし、その「飛龍」も急降下爆撃機の餌食となり走行不能となる。
たった一日で日本は空母4隻と300機近い戦闘機を失う。戦艦大和に乗船する山本五十六大将は撤退を決意する。そしてこの「ミッドウェイ海戦」以降、日本の戦況は坂道を下るように劣勢を深めてゆく。
レビュー
戦争には運・不運が付きまとう。紙一重の闘いだ。歴史に「もし」は無いが、もし真珠湾攻撃において敵空母を一隻でも潰しておけば、日本海軍が勝っていたかもしれない。
「チェスター・ニミッツ海軍元帥」
この時代の零戦は無敵だ。敵機に大損害を与えている。「もし」急降下爆撃機ダグラスSBDドーントレスが標的を外しておればあるいは日本空母に被害が少なければ、アメリカ軍は撤退に追い込まれていたかもしれない。
「南雲忠一中将」
ここで言えるのは日本海軍にはミスも多かったが「運」もなかった。物事は計画的には進まない。後で振り返ると「天」は全く日本に味方しなかった(もし、曇天であれば急降下爆撃機が日本の空母を発見できなかったかもしれない)。
「山口多聞少将」
空母「飛龍」と命運を共にする山口多聞少将と加来止男(かくとめお)艦長のシーンに胸が熱くなる。日本がアメリカと同じようにもっと情報を集めていたら・・・。1944年7月6日、南雲忠一中将は後にサイパンで自決している。
「山本五十六大将」
最後に山本五十六大将は何故、アメリカと戦争をしたのか?到底勝てないと分かっていながら。山本五十六大将は1943年4月18日、第705航空隊の一式陸上攻撃機でラバウル基地からブイン基地への移動中に撃墜され戦死する。この時も事前に暗号電文が解読され情報が敵に漏れていた。結局、情報戦を有利に展開させたニミッツ大将が一枚上手だった。
TATSUTATSU
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