ヒューマンドラマ

映画「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」感想・評価:この世に未練のある幽霊は愛する人を待ち続ける

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2018年日本公開のアメリカ製作ヒューマンドラマ
監督・脚本 デヴィット・ロウリー(ピートと秘密の友達、ア・ゴースト・ストーリー
出演 ●ケイシー・アフレック(グッド・ウィル・ハンティング、オーシャンズシリーズ、ジェシー・ジェームズの暗殺、マンチェスター・バイ・ザ・シーア・ゴースト・ストーリー
●ルーニー・マーラ(ドラゴン・タトゥーの女、ソーシャル・ネットワーク、her/世界でひとつの彼女、キャロル、ライオン25年目のただいまドント・ウォーリーア・ゴースト・ストーリー

『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』日本版予告

 

抑揚の少ない低予算映画(製作費約一千万円)だ。しかし、このドラマにはケイシー・アフレックとルーニー・マーラが参加している。彼らはボランティアなのか?これだけ安く作れれば赤字になることはない。興行収入は約二億円らしい。

好き嫌いが分かれる映画だからすべての人にお薦めはしない。ゴーストが主役だがまったく怖くない。それどころかゴーストたちに悲哀を感じる。ここに出てくる彼らは白いシーツをかぶっただけの存在として表現される。そしてゴーストの視点でドラマは進行する。

映画は叙情豊かに淡々と流れてゆく。独特のメロディも心に染み入る。こんな映画は僕にとって清涼剤になる。監督のデヴィット・ロウリーはあの名優ロバート・レッドフォード出演の「ピートと秘密の友達」で有名だ。彼は心温まるファンタジードラマが得意だ。

映画のテーマとして「人は愛する人たちのために遺産を残そうとする」「何故なら、自分が消えた後も覚えててもらうために」・・・。愛する人を残して突然死んでも、ゴーストになって永遠に恋人を見守り、待ち続ける。

そしてゴーストたちはその場所で、何年も、何十年も、何百年も待ち続ける。そのうちに彼らは誰を待っているのか、自分は何者なのかさえ忘れてしまう。それに気づいたときが現世とのお別れだ、空気のように消えてゆく。

ドラマのストーリーを少し紹介すると。C(ケイシー・アフレック)とM(ルーニー・マーラ)は古い平屋の家に引っ越してくる。Mはこの家に不満だがCは古い家には歴史があるという。彼は作曲家だ。

CとMがベッドで寝ていると、大きな音がして飛び起きる。家の中を見渡したが誰かが入った形跡は見当たらない。二人は家の中に何かがいると感じる。

Cが突然自動車事故で亡くなる。Mは遺体安置所でCに別れを告げる。しばらくしてCは幽霊となって彼女の家に戻ってくる。そして家の中で嘆き悲しむ彼女に寄り添う。でも彼女にゴーストは見えない。

家の中にはもう一体のゴーストがいた。そして向かいの窓にもゴーストが見える。お互い心の中であいさつする。向かいゴーストは長い間、誰かを待っているようだったがその誰かは忘れてしまったようだ。

そのうちMには男友達が出来る。二人がキスをしようとした時本棚から本が落ちる。Cの仕業だ。しばらくして彼女は引っ越してゆく。家を出る前にメモを書いて小さく折りたたみ柱の隙間に隠す。こうしておけば自分が戻った時に私の一部が待っていてくれる。忘れたくない思い出をメモに書き溜めたようだ。

Cのゴーストは家の中で待ち続ける。そして次の借主が引っ越してくる。シングルマザーと二人の幼い子供だ。子供達にはかすかにゴーストが見えるようだ。彼女に去られたCはいたたまれない。癇癪を起す。彼は皿やコップを床にたたきつける。生きている人間から見ればポルターガイスト現象だ。

新しい住人は不気味がってすぐに出て行ってしまう。ゴーストは孤独だ、愛する人を待ち続ける。

その後のストーリーとネタバレ

ゴーストはアメリカ開拓時代からここにいる。この地に家を作ろうとした家族が全員、原住民に殺される。時はかなり過ぎ平屋の家が建つ。そしてそれが壊され、遠い未来には巨大なビルに変わっていた。

ゴーストはこの広いビルを動き回る。そして屋上に出て飛び降りてみる。ゴーストは長い間孤独だ。周りの景色が変わろうとそこにずぅっといる。誰を待っているのか、何のために。

CとMが住んでいた家は、Cのゴーストを残してMは出てゆく。そして代わりの住人たちが住み始める。ゴーストは愛する人をここで長い間待っている。

ゴーストは空き家になった家にたたずむ。彼は柱と壁の隙間から小さく折りたたまれたメモを見つける。そのメモを見たとたんゴーストは空気のように消えてゆく。CとMが住んでいた家は取り壊される。

レビュー

ゴーストの視点で描かれたドラマは珍しい。ゴーストは愛する人の近くに寄り添うがその場所から離れられない(「地縛霊」か)。恋人が去ってからも居続ける。必ず戻ってくると信じて。映画「アザーズ」「シックスセンス」では自分が幽霊であることを知らない。

残念ながら、僕は幽霊を見たことがない。それに科学的に幽霊の存在を証明したり、実際に目の前に幽霊を出現させるような実験も聞いたことがない。

しかし、僕の知人で「見える」奴が何人かいる。彼らは嘘をついているとは思われない。そう考えると必ずしも「幽霊の存在」を全否定は出来ない。一般的に「守護霊」「背後霊」「指導霊」などは良い霊と言われている。逆に「地縛霊」「浮遊霊」「憑依霊」などは悪霊が多い。良い霊との接触は問題ないが悪霊は勘弁願いたい。

「見える」と「見えない」とは何が違うのか。霊感が強い弱いの差があるのか、それとも「目」の構造が違うのか。5感の鋭い人は「何か」を感じ取っているかも知れない。お腹が空くと臭覚が増すし、神経を統一すると聴覚などが研ぎ澄まされてゆく。

よく丑三つ時(夜中の2時)に一人で心霊スポットやお墓に行けば、幽霊と会える機会があると聞く。また、「コックリさん」などのゲームで何かが自分に憑依することがある。しかし、これらは要注意だ。特に「コックリさん」に憑依された男を知っている・・・気が触れたようになってしまう。

とりとめの無い話をしてしまったが、「君子危うきに近寄らず」の言葉通り、ヤバいものには近づかない方がいいね。ではまた。

TATSUTATSU

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