サスペンス

映画「ブレイン・ゲーム」感想・評価:超能力連続殺人犯を追う超能力アナリストの戦いはどちらが勝つのか?

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2018年日本公開のアメリカ製作超能力サスペンスドラマ
監督 アフォンソ・ポヤルト(ブレイン・ゲーム
出演 ●アンソニー・ホプキンス(羊たちの沈黙レッド・ドラゴンノア約束の舟ドラキュラマイティ・ソー バトルロイヤルウエストワールド
●ジェフリー・ディーン・モーガン(ブレイン・ゲーム
●アビー・コーニッシュ(リミットレス、エンジェルウォーズ、ロボコップジオストーム
●コリン・ファレル(マイノリティ・リポート、アレキサンダー、クレイジー・ハート、ファンタスティック・ビースト

映画『ブレイン・ゲーム』予告編

 

僕はこのタイプのドラマが好きだ。でも突飛なストーリーだけに賛否両論別れるかもしれないね。残念ながら巷では批評家の評価はそれほど高くない。超能力者同士のバトルがあまりにも使い古されたプロットと思われたのか?

このドラマの主役アンソニー・ホプキンスは製作総指揮にも名を連ね、作品への意気込みが感じられる。低予算だが彼を始めコリン・ファレル、アビー・コーニッシュ、ジェフリー・ディーン・モーガンと豪華な出演陣だ。

もし、現代にキリストのような男が現われたらどうなるだろうか?彼は人々の苦痛を取り除き安らかな死を願う。しかし、大昔ならいざ知らず、現代では連続殺人犯となってしまうのか?原題の「Solace(ソレス)」とは癒し、苦痛を和らげることを意味する。

アンソニー・ホプキンス扮する医師兼犯罪アナリストのジョンは未来も過去も見通せる超能力者だ。ところが彼が追う連続殺人鬼はジョンの能力を超える。こんな強力な相手にどう立ち向かえばいいのか・・・そこがこのドラマのキモだ。そして奴の狙いはいったい何なのか?

話のスジを少し紹介すると。首の後ろを太い針で突き刺され殺された3件の連続殺人が発生する。部屋には何の痕跡もなかった。迷宮入りを恐れたFBI捜査官のジョー(ジェフリー・ディーン・モーガン)は今は引退している犯罪アナリスト、ジョン博士(アンソニー・ホプキンス)に捜査協力を依頼する。

ジョンには不思議な力があった。触れる人間の過去や未来が分かるのだ。しかし、娘を白血病で亡くしてから妻とも別れ、ひっそりと暮らしていた。ジョーの相棒キャサリン捜査官(アビー・コーニッシュ)は超能力など信じないとジョンに反抗的な態度を取る。彼女は精神病理学の博士号を持った才媛だ。

ジョンはキャサリンに触れられた時、血だらけの彼女を見る。また、ジョーにも不吉な未来を見る。3人の被害者の中には6才の少年もいた。4人目の被害者が出る・・・匿名の通報があった。

ジョンは殺害された4人の共通点を話す。「4人とも不治の病に侵されていた」と。しかし、6才の少年には異常はないはずだとジョーは言う。ジョンは死体を掘り起こして調べろと答える。少年の脳には腫瘍が見つかった。

ところが突然、ジョンはこの捜査から降りると帰ってしまった。何故なのか・・・。そして捜査はどうなるのか、殺人犯は?

その後のストーリーとネタバレ

ジョンはあとを追いかけてきたキャサリンに「連続殺人犯は私と同じ能力を持っている。しかも私より数段上だ。」と言う。そして被害者は全員不治の病だ。殺人犯を止める必要が無いかもしれない・・・彼は慈悲深い。

そのころ、サイコパス男によると思われる残虐な殺人事件が発生する。今までの一連の殺人事件とは異なると判断される。ジョンはジョーからの頼みでもう一度、現場に復帰する。そしてカエルの映像とジョーが撃たれるシーンを幻影として見る。

サイコパス男のアジトに乗り込む。犯人の部屋の隣から男が出て来る。その男はカエルの絵柄がついたコーヒーカップを床に落とすると銃でジョーを撃って逃げる。ジョンはキャサリンと犯人が奪った車を追う。そしてカーチェイスの結果、車を捨てて襲ってきた犯人をキャサリンが撃ち殺す。

ジョーは撃たれ致命傷を負う。しかし、彼はステージ4のガンを患っていた。謎の男がジョーが撃たれるように仕組んだとしか考えられない。ガンで死ぬのと殉職とでは遺族に払われる恩給の金額が大きく異なるからだ。暫くしてジョーは亡くなる。

ジョンの前に謎の男(コリン・ファレル)が現われる。その男は「多くの人間を苦しみから救ってやった」「彼らが苦しみから救ってくれと泣き叫ぶのを感じた」と言う。そして「苦しみが始まる前に安らかな死を与えた」。「ジョーも助けた」と話す。

謎の男はジョンの前から消える。謎の男は全国でかなりの数の不治の病を持った者に安らぎを与えたと思う。そして彼はジョンを自分の前に引っ張り出すために今までの事件を起こしていた。何故なら死体のそばにあった手紙は全てジョン宛ての物だったからだ。

謎の男とジョンは繋がっている。同類なのだ。FBIデーターベース検索の結果、謎の男の名前はチャールズ・アンブローズと言う事が分かった。

最期の戦いが始まろうとしていた。ジョンはチャールズの後を追う。奴は今夜誰かが死ぬとメッセージをジョンに送る。チャールズ・アンブローズの部屋にキャサリン達は踏み込むがそこには彼の映像メッセージがあった。

チャールズは「今まで多くの人を救ってきたが自分も救われたい」と結んでいた。そしてキャサリンにアシュランド駅で待っているとほのめかす。ジョンとチャールズは電車の同じ車両に乗り込んでいた。チャールズが発砲する。

車両はパニック状態だ。アシュランド駅にスワットを待機させる。チャールズはジョンに向かって「俺はお前に撃たれて死ぬ」「だから引き継ぐ者が必要なのだ」「俺のあとを引き継げ」と言う。

ジョンは十字架に磔られたチャールズの幻影を見る。アシュランド駅に止まり乗客は逃げる。そこにキャサリンが乗り込んでくる。ジョンとチャールズの拳銃が火を噴く・・・。

チャールズはジョンの弾を受けて倒れる。チャールズが放った弾はジョンのこめかみをかする。しかし、キャサリンは無事だった。ジョンがかばったのだ。

その後チャールズは手術が成功し一命を取り留めたのを聞く。ジョンは娘のエマを安楽死させたことを思い浮かべる。そして妻のエリザベスとよりを戻す。

頭の中にチャールズから「ジョンまた会おう」と言葉が響く・・・。

レビュー

結末がやや尻切れトンボみたいだ。チャールズは「苦しみが始まる前に安らかな死を与えた」と殺人を繰り返す。しかし、ジョンは「命は尊い、最後まで見守るべきだ」と主張する。でもジョンは娘を安楽死させている。

チャールズは自分がキリストの生まれ代わりと考えているようだ。彼は殺人に疲れ、ジョンに楽にしてほしいと考えたようだ。被害者が全員、不治の病に侵されている点は「殺人の啓示 死を誘う男」によく似ていて、ありふれているかもしれない。

若い人間が年寄りに後を譲るストーリーは無理があると思うし、チャールズの描き方に深みが無い。もう少しストーリーを工夫したらヒットにつながったかも知れないね・・・・チャールズを「セブン」のようにもっと悪者にするとか。

TATSUTATSU

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