サマリー
2016年日本公開アメリカ料理シェフ映画
監督 ジョン・ウェルズ(カンパニー・メン、8月の家族たち)
出演 ●ブラッドリー・クーパー(ハングオーバー、リミットレス、アメリカン・スナイパー、世界にひとつのプレイブック、二ツ星の料理人)
●シエナ・ミラー(アメリカン・スナイパー)
●オマール・シー(最強のふたり、X-MEN:フューチャー&パスト、ジュラシック・ワールド)
●ダニエル・ブリュール(黄金のアデーレ名画の帰還)
●アリシア・ヴィキャンデル(エクス・マキナ、リリーのすべて、ジェイソン・ボーン)
原題の「BURNT」とは焼いた、焦げた、やけどと言う意味なんだけど、ブラッドリー・クーパー扮するアダムが実に高慢でいやな奴なんだ。
彼はミシュランの二ツ星シェフとして一流の腕を持ちながら完璧主義を求め過ぎ、周りの連中と上手くやって行けない。まさに原題にあるような、彼に接触する人間は誰しも「やけど」を負ってしまう。
彼はフランス料理業界から追放され、3年間 酒・ドラッグ・女にまみれた生活を送っていた。
ところがそんな彼が料理業界に舞い戻ってくる。舞台はロンドンの高級レストラン、昔馴染みのホテルのオーナー トニー(ダニエル・ブリュール)を説得し店を任せてもらう。
アダムは3年間のブランク期間に、料理業界のトレンドが変化しているのにまごつくが、三ツ星レストランを目指して奮闘する。
彼は黒澤明監督の映画「七人の侍」のように腕利きの料理人たちを集める。
抜群のスープを作る、シングルマザーのエレーヌ(シエナ・ミラー)、パリで同僚だった副料理長のミシェル(オマール・シー)、それからマックス(リッカルド・スカマルチョ)、デヴィッド(サム・キーリー)達をスカウトする。
厨房は戦争状態だ、アダムは部下に容赦しない、次から次へと指示を出すが対応しきれない彼らに腹を立て、料理の載った皿を床にブチまける。
アダムのいつもの傲慢なやり方が部下たちを険悪なムードにさせ、チームワークどころではない・・・料理はそれなりの評判を呼ぶが、彼は昔と変わらない自分が嫌になる。
そんな時、ミシュランの調査員が極秘に店に来る。アダム達チームは料理に全精力を傾ける。
ところが調査員に出した料理が突っ返される。味を見たところ辛すぎる。
部下のミシェルがわざと唐辛子をスープに入れ、調査を妨害していたことが分かる。彼は昔アダムに独立した店を潰された苦い過去を引きずっていた・・・ミシェルはレストランから去って行く。
アダムはすべての責任は自分にあると自暴自棄になって自分を見失ってゆく。
ネタバレとレビュー
アダムはやめていた大酒を飲み、自分の最大のライバル リース(マシュー・リス)のレストランで大暴れする。
リースはそんなアダムをなだめ「お前の料理は俺より上だ」と彼を諭す。
トニーのレストランに戻ったアダムは意外な事実を耳にする。彼らがミシュランの調査員と思っていた2人の人物は、実は一般の客であることが分かった・・・勘違いしていたのだ。
アダムは自分を見つめ直し、もう一度やり直すことを決意する。そしてエレーヌを愛していることにも気付く。
彼は昔の彼女アンヌ(アリシア・ヴィキャンデル)に断りを入れ、エレーヌと一緒に生きてゆこうと考える・・・もの凄く不安だが、彼女の優しさが自分を変えてくれるような気がした。
そんな時に本物のミシュランの調査員がレストランにやってくる。
アダムは動じない、淡々と料理を作る・・・今まで三ツ星を取ることに人生をかけていたが、彼はそれ以上のものを掴んだようだ。
アダムはエレーヌや部下たちとのチームワークの大切さが今更ながら分かったようだ。ロンドンの川沿いの心地よい風に当たりながら満足げなアダムがそれを物語っている。
ミシュランの一ツ星シェフがどんなに凄いものか、この映画ではスター・ウォーズのルーク・スカイウォーカーに例えている、では三ツ星シェフともなると、彼の師匠のヨーダになるとは・・・よく分かる。
食事は人間の五感をフル活動する凄いことなんだ。料理の見た目、匂い、舌触り、味、冷たいか温かいか、そして皿やグラスが触れる心地よい音、ナイフやフォークの接触する音もそうだ・・・どれが欠けても美味しい料理は味わえない。
それに、周りの人々の笑顔とおしゃべりも重要だ・・・これらすべてが最低限でも整ってないとミシュランの星レストランは取れないだろーね・・・もちろん接客なんかも。
この映画を観ているとよく分かる・・・でも僕なんかの貧乏人は残念ながらこんな高級レストランへは行けない。
まあ、せいぜいファミリーレストランか回転すし、お好み屋さんぐらいだね。だからこんな場面は映画を観て満足するしかない。
こんな凄いシェフが作るスイーツを食べた少女が、シェフから「味はどう」と聞かれるシーンがある。
でも少女は「お母さんの次、二番目の味だね」と、さらっと言う。
やっぱり、なんてったってお母さんの手料理が一番なんだ。
くれぐれもおなかの空いている時に見ないように、お腹が鳴っても責任は取れないから。ここんとこは自己責任でお願いします。
それにしても超一流シェフの料理作りの手際の良さを見ているとほれぼれする、塩の振り方一つをとっても様になっている・・・さすがプロだ。
TATSUTATSU
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