サマリー
2016年日本公開のイギリス・アメリカ合作のホームズ映画
監督 ビル・コンドン(ドリーム・ガールズ)
原作 ミッチ・カリン「ミスター・ホームズ 名探偵最後の事件」
出演 イアン・マッケラン(X-MENシリーズ、ロード・オブ・ザ・リングシリーズ、ホビットシリーズ)
ローラ・ニーリー(真実の行方、エミリー・ローズ、ハドソン川の奇跡)
真田広之(ラストサムライ、ウルヴァリン:SAMURAI、サンシャイン2057)
マイロ・パーカー(ゴーストハンターズ オバケのヒューゴと氷の魔人)
93才のシャーロック・ホームズが観られるとは、信じられないね・・・生きててよかった。
一回観ただけでは何が何だかよく分からないが、こんなボケ老人ホームズもなかなかいいんじゃない。シャーロキアンにとっても、喜びのオマージュ作品と言ってもいいのかな。
ホームズの頭はスーパーコンピューターのように凄いスピードで回転する。ところが女性の心理(真心・愛)についてはからきし疎い・・・大きな過ちを犯してしまう。
77才のイアン・マッケランが93才の老人を演じる。ホームズは30年前にワトソンと別れ田舎でひっそりとミツバチを育てながら暮らしていた。
時が経ち、ワトスンも兄のマイクロフトもハドソン夫人も物語の関係者はほとんど亡くなってしまって一人残ってしまった(たぶんモリアティ教授も亡くなっているだろう)。
徐々に記憶が薄れ、カミソリのような鋭い頭脳はボケ始めている。(僕も老人になりつつあるから身につまされるね。でも高齢化社会の現代にはぴったりのドラマだ。)
このドラマでは30年前、ホームズを引退に追い込んだ事件がテーマになっている。その事件とは「ある女性の自殺で幕を閉じてしまった事件」だ。
この事件の結末は勝手にワトスンが書き換え、本になり、映画化もされている。
ホームズはこの事件が頭から離れない、死ぬ前に、いや記憶が薄れる前に正しい結末を書き残しておきたいと強く思うようになる。
彼は家政婦マンロー夫人(ローラ・ニーリー)の息子ロジャー(マイロ・パーカー)に協力してもらって記憶を巻き戻して行く。
その事件とは・・・ある日ホームズのところにトーマス・ケルモットと言う男が現われ、妻アンの様子がおかしい調べてほしいと言う依頼であった。
アンは二度の流産をしたため、それがトラウマとなって落ち込んでいる。トーマスは気分転換に彼女にアルモニカ(直径の異なる複数のガラスを回転させ、水で濡らした指を当てて音を出す楽器)を習わせる。
ところがトーマスはアルモニカの教師マダム・シルマーと彼女との間におかしな行動がみられると勝手に邪推し、アルモニカの教習を辞めさせてしまう。
彼女は自分のことを理解しない夫に幻滅し、孤独になって行く。
そして彼女は毒薬を買い、夫の財産の相続人が自分であることを確認し、夫殺しを計画する・・・・。
ネタバレとレビュー
アンは美しく聡明な女性だった。
彼女はシャーロック・ホームズが自分を調べていることに薄々勘づいていた。彼女は探偵まで使って自分を調べる夫に我慢の限界に来ていた。
彼女は「夫殺し」を演出しながら、実は毒薬を飲んで自殺しようとしていた。
何故なら、彼女は石工職人にお金を渡し、自分と流産した子供たちの墓を作らせようとしていたからだ・・・ホームズは彼女の計画を見破っていた。
ホームズはアンに直接会い、自殺を思い止まらせようと試みる。
ところが彼女のこの計画はホームズに自分を救ってもらいたいがための最後の策だった。
ホームズは2度ダマされたことになる。
彼女はホームズに対し「死者はすぐそばにいる」「私は亡くなった子供たちと話をするいかれた女」だと白状する。
そして彼女は、そんなホームズに対し「私が分かる人は貴方だけ」「2つの心が住める場所へ導いてほしい」と言う。
彼女はホームズが長い間「孤独」であるのを見抜いていた。
そして彼女は「孤独の共有(愛)」をホームズに申し出る。
ところがホームズは真剣な彼女の申し出を断ってしまう。
ホームズは「自分の孤独は知識で埋め合わせてきた、悔いはない」そして「愛する夫のところに戻りなさい」と彼女を突き放してしまう。
アンはバッグから毒ビンを取り出し、中身を捨てるとホームズのもとを去ってゆく。
あくる朝、ホームズはアンが列車に飛び込み自殺した記事を見る。
ホームズは自分の決断が間違っていたことを悟り、放心状態となってしまう。
ハドソン夫人はホームズの長引く鬱状態が心配になってワトスンに連絡する。
ワトスンはホームズのもとに暫く居て彼を慰め、この最後の事件の結末を書き換える。
この最後の事件以来ホームズは探偵稼業をやめ田舎に引きこもってしまう。
このドラマの中で真田広之 扮する梅崎との交流のエピソードが挿入されている。ホームズは記憶力を保つために日本に行って「山椒」を入手する・・・この「山椒」を煎じたものを飲んだり、食事に入れたりする・・・本当に効果があるのかな?。
しかしこのエピソードはあまり重要ではないと思う・・・何故 監督はホームズが日本の広島に行って原爆ドーム付近でかろうじて自生している「山椒」を掘って持ち帰るような話を入れたのか・・・このへんはミステリーだね。
ホームズは長い間世話をしてくれた家政婦のマンロー夫人との確執も抱えていた。この理由は明確になっていないけど、彼女の長年の好意に対して女性に疎いホームズは彼女をいたわってあげなかったからかなー。
彼女は息子のロジャーとホームズのもとを去ろうとしていた。
ホームズは最後の事件を思い出し、マンロー夫人とロジャーと3人で暮らそうと引き留める・・・やっと女心が分かったようだね。
これだから天才は困る・・・女性や凡人の心がまるっきし読めないし、読もうとしない。
ところで面白いエピソードが挿入されている。ホームズが映画館へ自分の作品が上映されているのを興味本位で観に行く場面がある。
映画の中でホームズを演じていたのは「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」で若いときのホームズを演じたあのニコラス・ロウだったとは・・・監督も憎い演出をする。
まあ、これからもシャーロック・ホームズのオマージュ作品を観続けたいね。
ひょっとしたら、大きくなったロジャー少年が出て来るような気がする・・・彼も天才の片鱗をみせているからね。「シャーロック・ホームズ人気俳優のすべてが分かる映画・海外ドラマ10」も見てね。
TATSUTATSU
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