ホラー

映画「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」感想・評価:ライフルによって殺された霊が集まる実在のお化け屋敷

サマリー


★★☆☆(そこそこ面白い)

2018年日本公開のアメリカ・オーストラリア合作お化け屋敷ホラー映画
監督 スピエリッグ兄弟(プリデスティネーションジグソウ:ソウ・レガシーウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷
出演 ●ヘレン・ミレン(マダム・マロリーと魔法のスパイス黄金のアデーレ名画の帰還
●ジェイソン・クラーク(猿の惑星:新世紀ターミネーター:新起動/ジェニシスエベレスト3D
●サラ・スヌーク(プリデスティネーション

映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』予告編

 

ウィンチェスターハウスはアメリカ/サンノゼに今でも実在する巨大なお化け屋敷だ。実在のお化け屋敷がベースになっている。そしてヘレン・ミレンやジェイソン・クラークなど一流の俳優が出ているからさぞかし怖いかと見てみた。

ところが、これがあまり怖くないのだ。かえって亡霊よりヘレン・ミレンの方が存在感があって怖いかもしれない。このウィンチェスターハウスはライフル銃の販売で大成功したウィリアム・ワート・ウィンチェスターの未亡人サラ(ヘレン・ミレン)が建てたものだ。

彼女は夫の死後、自分が死ぬまでの38年間自宅を増築し続けた。365日24時間建築を続け、40の寝室と2つの舞踏室を含む160の個室を創り上げた。あまりにも奇怪な7階建の大邸宅は、迷路のような廊下、どこにも通じないドアや階段まであるとのことだ。

彼女は夫の死後、莫大な遺産を相続したことからこのお金を増築にあてた。今では観光地となっている。お化け屋敷と言う事だが実際にどんなお化けが出たのか、そしてどんなポルターガイスト現象が起こっていたのか詳しい記述が無い。

彼女は娘や夫を早々と亡くし悲しみに暮れる。家族が短命の原因を付きとめる為、霊媒師に相談したそうだ。そして霊媒師の助言に基づいて、家をサンノゼに購入し増築を続けた・・・いったい何のために増築をつづけたのか?

映画のスジを少し紹介すると1906年、カリフォルニア州サンノゼでの出来事だ。ウィンチェスター社は精神科医のエリック・プライス(ジェイソン・クラーク)に筆頭株主であるサラの精神鑑定を依頼する。サラが何かに憑りつかれたように邸宅の増築を続けているからだ。

エリックは妻を自殺で亡くし失意のどん底にあったが、借金の為に依頼を受けることとなった。彼は大邸宅に到着し、サラに会う。彼女は何かにおびえているようだ。そしてエリックも得体の知れない「何か」を感じ取る。

大邸宅の中には13本の釘で封印された多くの個室があった。邸の内部は奇怪な作りになっている。これらの設計はサラが行っているようだ。そして「何か」がサラとその家族を襲う。

いったい「何か」とは何なのか、そして何故エリックが精神科医として選ばれたのか、さらにサラは正気なのか・・・。

ミステリー小説「幽霊屋敷の謎」何故幽霊たちはそこに集まるのか、何を待っているのか

ネタバレ

サラの邸宅には、彼女の姪マリオン(サラ・スヌーク)と息子ヘンリーも住んでいた。ヘンリーは霊感が強く時々何かに乗り移られているようなふるまいをする。

エリックは邸内で亡霊を見る、しかし、それは誰も見ることが出来ない。何故自分だけが見えるのか。サラは皆から尊敬の眼差しで見られていた・・・狂人とは思えない。

サラはウィンチェスター銃で殺された多くの人々の霊を鎮めるため、魂のやすめる部屋を作る。そして部屋には閂をかけ13本の釘で封印していた。これは、霊媒師からの指示で、部屋を増築しているうちはサラの身は安全だと言う事になる。

エリックはサラを精神科医として鑑定する。彼女は一点を除いて正常であると判断する。その一点とは、彼女が邸内の何かを感じ取っていることだ。つまり亡霊を感じ取っているのだ。それらは彼女の目では見ることが出来ないがその存在を確信している。

サラは「死」についてどう思うかと、エリックに質問する。彼女は「あなたは3分間死んでいた」と言う。そしてこの館にはウィンチェスター銃で死んだ多くの人々の魂が集まってくると言う。魂を鎮める部屋を作り、魂が安らかになれば、壊して次を作る。

事実、エリックは妻に誤って銃で撃たれている。彼は一命を取り留めたが妻は自殺する。エリックは妻に撃たれ体から摘出された弾丸をつねに持っていた。彼にとっては過去を忘れないための重要な記念品なのだ。

サラは「あなたは、一度死んだことによってあの世とつながり、亡霊が見えるはず」と言う。しかし、エリックは「死」は「無」であると答える。そして亡霊が見えることをはぐらかした。

サラによる亡霊たちの鎮魂は順調に行っていた。ところが今までで最も強力な霊が現われる。そして家族を襲う。ベン・ブロック伍長の霊だ。ベン・ブロックは今から20年前兄弟を殺され、銃の製造元であるウィンチェスター社を襲って15人射殺し、自らも打ち殺されている。

その時、大地震が起こる。ベンの仕業なのが、霊は邸内を暴れ回る。倒れてきた建物の残骸で数人が下敷きとなり絶命する。ベンを部屋に封印し、エリックは最期の力を振り絞ってウィンチェスター銃に自分の体から摘出された弾丸を込め、ベンを撃つ。

ベンによるポルタ―ガイストは止まった。彼は冥界に召されたのか。エリックはサラ夫人の精神鑑定の結果を「正常」と報告する。

レビュー

エリックは妻に誤って撃たれ、3分間死んでいる。そして蘇生したことによって冥界とのつながりが出来、亡霊が見えるようになった。

フラットライナーズ(2017年)」のように心臓を一時的に止め数分後に蘇生し、死後の世界を体験するドラマはいくつかある。今回、エリックが選ばれたのは「亡霊が見える」からだ。

彼は自分の生死をつなぐ弾丸によって、邪悪なベンを倒す事が出来た。しかし、こんな怖い家に姪家族を住まわせるのはどうかと思う。

実際のサラは霊媒師に言われたとおりに増改築を繰り返す。僕は霊媒師に一杯喰わされたと思う。でも38年間も生きながらえることが出来たことを考えると出費はしたが正解かも知れない。

毎日、夜昼なくトンカチ・トンカチと騒がしい家に果たして亡霊が住み着くとは思われない。あなたはどう思う・・・。

TATSUTATSU

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