サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2013年日本公開のアメリカ製作 ホラー映画(実話がベース)
監督 ジェームズ・ワン(ソウ、死霊館、死霊館エンフィールド事件、アクアマン)
出演 ●ヴェラ・ファーミガ(マイレージ、マイライフ、死霊館、死霊館エンフィールド事件)
●パトリック・ウィルソン(インシディアス、死霊館、死霊館エンフィールド事件)
この映画は今から5年前に公開されている。何故、今レビューするのか・・・ジェームズ・ワンが監督したこのドラマがフィクションなのか実話なのか検証したいからだ。
アメリカでもの凄く有名な超常現象研究家・幽霊ハンターのエド&ロレイン・ウォーレン夫妻が1971年に起こった「最も邪悪で恐ろしい事件」がベースになっている。現実にあったことが映像として再現されているとのことだ。
エド&ロレイン・ウォーレン夫妻は実在の人物だ。エドは既に他界しているがロレインは今だに健在だ(2013年86才の時にインタビューしている、2018年現在は健在か不明)。
夫妻は1万件以上の超常現象を調査してきている。そしてマサチューセッツ・ウエスタン大学の講義に8ミリフィルムを使って超常現象を映像でも紹介している。エドはカトリック教会が唯一公認した悪魔研究家だ。そして妻のロレインは透視能力を持っている。彼らの研究では、悪霊は出没⇒攻撃⇒憑依の順で心の弱い人間を見定め襲ってくる。
夫妻は超常現象を調査した過程で入手した人形、置物、おもちゃ、日本の甲冑、仮面など色々なアイテムを小屋に収納し、オカルト博物館として一般開放している。特に上の写真の人形(「アナベル死霊館の人形」「アナベル死霊人形の誕生」として映画化されている)がいわくつきでもの凄く怖い・・・。
夫妻はアメリカだけでなく世界中を飛び回り、日本にも調査に訪れている。この経歴を見る限り、詐欺師とは思えない。多くの困っている人を助け、悪霊による異常現象を解決してきた。そんな彼らが封印してきた映画のベースとなった事件がこれだ。この事件を監督のジェームズ・ワンが当事者に取材、そして映像化している。
「死霊館」の舞台となったのはアメリカのロードアイランド州にある古い館だ。ここに引っ越してきたペロン一家(夫婦と5人の娘)が身の毛もよだつ体験をしている。
映画のエンディングにペロン一家の写真が出て来る。こんな写真を見せられるとちびりそうになってしまう。1863年に建てられた古い家では過去には多くの惨劇があった。
家を建てたジェドソン・シャーマンの妻バスシーバ(彼女の親戚メアリー・タウン・イースティがセイラムの魔女裁判中に亡くなっている)が生後7日目の我が子を悪魔の生贄にした記録が残っている。
彼女は午前3時7分に木に登り「土地を奪うものは呪う」と叫んで首を吊って自殺する・・・館の時計が午前3時7分に突然止まる理由がこれらしい。その後1930年代にこの家に住んだウォーカー夫人の息子ローリーが森で失踪、母親は地下室で自殺する。
その他にも多くの不可解な事件が発生している。敷地内の池で少年が溺死、近くの家のメイドが自殺・・・土地を分割して販売した後の惨劇だ・・・土地に執着する悪霊の仕業か?なんとも強烈に呪われた家・土地なのだ。
建物内部で写真を撮ると、不思議なものが映っている・・・心霊写真なのか?少女の後ろに何かが映っている。さらに少女の肩に手らしいものが・・・この写真が本物なら間違いなくちびってしまう。
ペロン一家がこの古い館に引っ越してくる。ところが愛犬セイディーは家の中に入ろうとしない。犬は次の朝、何者かに惨殺されていた。ハトや鳥がガラスにぶつかり死んでしまう。
妻キャロリンの体にはアザが出来て来る、どこもぶつけてないのに。4女シンディが夢遊状態でクローゼットに頭を打ち付けたり。5女のエイプリルは姿の見えないローリーと言う男の子と話をする。扉が自然に開いたり閉まったり。寝ている時に足を何かに引っ張られたりと怪現象やポルターガイストが続く。
建物内は冷気に覆われ暖房しても寒い、そしてポルタ―ガイスト現象が起こる直前に肉が腐ったような強烈な悪臭に襲われる。3女のクリスティーンはドアの陰にいる悪霊を見てしまう。悪霊は「この一家を皆殺しにする」と言う。そしてついにキャロリンも家の地下室で得体の知れない何かに遭遇する。
キャロリンは胸騒ぎを感じてエド(パトリック・ウィルソン)&ロレイン(ヴェラ・ファーミガ)・ウォーレン夫妻に助けを乞う。ウォーレン夫妻さっそく館を訪れ、家族に説明する。
肉が腐ったような強烈な悪臭は「悪魔」が活動するときに出る場合がある。ドアや壁を3回づつ叩くような音は悪魔や悪霊の可能性が考えられる。奴らは三位一体「父と子と聖霊」を侮辱している。
ロレインは地下室の透視で何かがいることを感じ取る。そして5女エイプリルが話をしていたローリーにあってみる。おもちゃのオルゴールが鳴りやむと鏡に青白い顔をした男の子が一瞬、映ったのを確認する。そして彼女は庭の大きな木にぶら下がった魔女の遺体も見てしまう。もちろんペロン夫妻の背後の「黒い影」も見逃さなかった。
ウォーレン夫妻の結論は「この家には邪悪な霊体がとり付いている。悪魔祓いする必要がある。」とのことだ。悪魔祓いは教会のしかるべき人に依頼する。その為にはまず、証拠を集めバチカンを納得させなければならない。
ポルタ―ガイスト現象を記録するために、家の中と外にカメラやビデオ、マイクロホンを設置する。この作業は助手のドルーとハミルトン巡査が手伝う。
ウォーレン夫妻は地下室の扉がひとりでに動いたことから地下を調べてみることにした。ロレインは何かがいると感じ取る。彼女は外で洗濯物を干していたとき、急に冷気が漂い突風が吹く、風に吹き飛ばされたシーツが何かに巻きつく。そしてキャロリンの寝ている二階の部屋に向かってシーツが吹き飛ぶ。
ロレインは慌ててキャロリンのところに駆け付ける。キャロリンは少し吐き気がしただけだと言うがロレインはひょっとしたら何かに憑依されたのではと感じる。ハミルトン巡査がメイドの姿をした亡霊を見る。そしてシンディが夢遊状態で階段を上って行く・・・悪霊に操られているようだ。「僕の隠れ家に来い」とマイクが音を拾う。
シンディが部屋に入ったまま姿を消してしまう。UVライトで足跡を確認するとクローゼットに続いている。クローゼットの奥には秘密の小部屋があり彼女はそこにいた。エイプリルはその場所はローリーの隠れ家だと言う。
クローゼットの奥の隙間に入ったロレインは板が壊れ地下室に落下してしまう。そこで魔女のバスシーバを見る。魔女はキャロリンに巣くっていることが分かった。部屋に置いた十字架が次々と動き床に落ちる。ナンシーの髪が逆立ち何者かによって引っ張られる。異常現象が止めどもなく現われた。ペロン一家は一時モーテルに避難するしか方法がなかった。
ウォーレン夫妻の娘ジュディの姿が池の中で溺れたように見える・・・魔女の警告だ。一連のフィルムや映像をゴードン神父に見せる。神父も驚き悪魔祓いをバチカンに掛け合うと言ってくれた。その真夜中にジュディが呪われた人形アナベルに狙われる。危機一髪ウォーレン夫妻が駆け付け大事には至らなかった。
ところがキャロリンがクリスティーンとエイプリルを連れてどこかに行ってしまったと父親ロジャー連絡が入る。ウォーレン夫妻は駆け付ける。魔女に憑依されたキャロリンは娘を生贄にしてしまうのか・・・時間が無い、果たして夫妻は間に合うのか。
その後のストーリーとネタバレ
キャロリンがクリスティーンを殺そうとしていた。彼女を皆で抑え込み家から出して教会に連れてゆこうとしたところ出口で皮膚が焼けただれる現象が起きる。
このままでは彼女が死んでしまうと、仕方なく家の中で悪魔祓いをしなければならない。エドは正式な悪魔祓いの資格は持っていないがそんなことは言ってられない。彼は悪魔祓いに立ち会った経験を生かして魔女に立ち向かう。
そしてエイプリルが家の中の何処にいるのか探さなければならない。ドルーは必死で探す。かたやキャロリンは凄い力で男たちを投げ飛ばして暴れる。とっさにロレインが彼女にシーツをかぶせ視界を遮る。そして椅子に縛り付け悪魔祓いが始まる。
おびただしい鳥の群れが館を襲う。エドは聖水を撒き儀式を始める。キャロリンは空中に浮遊し始める。そして落下し、エイプリルが隠れているキッチンの床下にハサミを持って走り去る。エイプリルを生贄にするつもりだ。
エドはキャロリンに向かって「バスシーバ」と叫ぶ。魔女が正体を現した。ロジャーはキャロリンに向かって魔女と闘って追い出せと勇気づける。ロジャー、エド、ロレインが彼女を励まし続ける・・・彼女は口から悪霊を吐き出し我に返る。
危機は去った、キャロリンの体からアザも消えた。キャロリンは子供たちを集めて抱きしめる。エドはオルゴールをオカルト博物館に陳列する。次はアミティヴィルで事件(「悪魔が棲む家」として映画化された。)が発生している・・・。
「悪の力は御しがたい」「悪魔と神は存在する、どちらに従うかー」「人間の行く末は我々の選択にかかっている」エド・ウォーレン。
レビュー
監督のジェームズ・ワンはこの事件を映画化するにあたって、ロレインやペロン家の長女アンドレアなどに詳細な話を聞いている。ロレインはこの映画にちらりと映っている・・・探してみてはどうか。
後半はかなり誇張されて描かれているような気がするが前半はひょっとしたら「あったのか」のかもしれないと思う。ポルターガイスト(物体の移動、モノを叩く音の発生、発光、発火などの心霊現象)は1848年の「フォックス姉妹事件」が有名だ。
霊と交流できると告白したことで姉妹の次女マーガレット、三女のキャサリーンが有名になる。彼女たちは霊と音を介して交信出来たと言われている。この事件がきっかけで交霊会や心霊現象研究が活発になった。
この映画では霊が見えるのは三女のクリスティーンと5女のエイプリルだ。残念ながら僕は霊あるいは火の玉・発光などは見たことが無い。目の構造が違うのか生まれながらにそんな感覚を有しているのか。
僕は幽霊が見えると言う知人を何人か知っている。彼らはいつも見えるわけではないらしい。しかし見えるときには昼間でも見えるとのことだ。もの凄い真面目な奴たちだから嘘を言ってるとは考えられない。
ある知人の恐怖体験は会社の残業中に薄暗い廊下を歩く「落ち武者」らしき亡霊を見たことだ。腰を抜かすほど驚いたと言う。そして一人では残業が出来なくなってしまったとのことだ。また、ある知人は人間に霊がくっ付いているのをしばしば見ると言う・・・怖いねえ。
「見える能力」を有しているため人生に悲劇が訪れる映画は多い。有名なところでは「シックス・センス」この映画は大ヒットした。その他「オッド・トーマス死神と奇妙な救世主」「降霊~KOUREI~」がある。「霊魂の存在と死後の世界をテーマにした映画ベストテン」も参考にしてほしい。
ところで、ホラーの撮影前には日本ではお祓いをして撮影にはいるがハリウッドではそんなことをしないようだ。しかし「アナベル死霊館の人形」(ジョン・R・レオネッティ監督)の撮影に於いては色々な怪奇現象が発生している。悪魔は3本指で鋭い爪が3本ある。指の跡が月明かりに照らされていたらしい。このDVDにはそれらの怪奇現象が収められているので必見だ。
ジェームズ・ワン監督はCGではなく俳優を使って怖さを演出する。逆に「IT/イット”それ”が見えたら、終わり。」のアンディ・ムスキエティ監督はCGを使って半端ない恐怖を演出する。やり方はそれぞれ違うけど両監督ともに怖い映画をつくるね・・・くせになりそうだ。
とにかくホラー映画は儲かるから、次々と新作が出て来る、楽しみだ。「死霊館エンフィールド事件」も参考にしてね。あなたは、この映画に描かれている現象を事実と感じるか或いは嘘と思うのか・・・。
「死霊館シリーズ超恐ろしいジェームズ・ワンホラー映画ベストテン」もよろしく。
TATSUTATSU
「死霊館シリーズ恐ろしいジェームズ・ワン ホラー映画ベストテン」
この記事へのコメントはありません。