サマリー
ガキんちょ映画だと思って侮ってはいけない、確かに子供向けアニメだが、大人も結構身につまされる内容に驚かされる。
僕らは毎日あくせくと働いているが、疲れた時にはこのアニメがお薦めだね、何となく心を癒してくれる。
この映画の様に世の中、夢物語のようにはいかないけど、でも結構気になる教訓がいっぱいある。夢だけでは食ってゆけないが、夢の無い生活もつまらないと思うよ。
お薦め映画です、たまには純真な「星の王子様」の世界にどっぷりつかるのもいいもんですよ(ケガレきった心を洗い流し、少しだけ心が豊かになるかも・・・)。
星の王子様(和紙で作られ、素朴な雰囲気が漂う)
星の王子様は誰もが知っているアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの作だが、彼が1935年にリビア砂漠での飛行機墜落事故の経験がもとになっている。
飛行士はサハラ砂漠に不時着する。そこで星の王子様に出会う。王子様は自分の体ほどの大きさの小惑星に住んでいたが、自分が育てた真っ赤なバラとケンカして地球に来たらしい。
王子様は飛行士に、羊の絵を描いてほしいと言ったり、砂漠の井戸を探しに行こうと言ったりする。でもある日王子様はヘビに噛まれて倒れ、いなくなってしまう。
きっと自分の星に戻ったのだろう。
王子様は地球に一年いた。たくさんのバラを見たり、キツネとも仲良しになった。
キツネは王子様に「大切なものは、目に見えない」と言い残して別れてゆく。
このアニメ映画は、飛行士が晩年になって女の子と出会い、星の王子様の話をする。女の子は王子様を飛行機を修理して探しに行こう言う。
女の子は夏休み最後の日、飛行機に乗って星の王子を探しに行き、見つける。王子様は青年になって、ビルの煙突掃除をしていた・・・・果たして本物の王子様なのか?。
2015年フランスのアニメ映画である。監督はマーク・オズボーン(カンフー・パンダ)、アニメはCGとストップモーション(静止している人形なんかを少しずつ動かして撮影し、それを連続させることによって動いているように見せる技法)で作られている。
声優陣が豪華で、ジェフ・ブリッジス(クレイジー・ハート、トゥルー・グリット、ギヴァー)、マッケンジー・フォイ、レイチェル・マクアダムス(誰よりも狙われた男、アバウト・タイム)、ジェームズ・フランコ(スパイダーマンシリーズ、猿の惑星:新世紀)、ベニチオ・デル・トロ(21グラム、チェ)、マリオン・コティヤール(インセプション)、ポール・ジアマッティ(サイドウェイ、コングレス)、ポール・ラッド(アントマン)などである。
第68回カンヌ国際映画祭の招待作品であり、世界中で大ヒットしている。
音楽はハンス・ジマーとリチャード・ハーヴェイの共作だが、日本吹き替え版では松任谷由実の「気づかず過ぎた初恋」が主題歌になっている。
ストーリー
女の子(鈴木梨央)とお母さん(瀬戸朝香)は有名校の面接を受けていた。
女の子は成績優秀、作文も素晴らしく、面接では好印象だ。面接官から「どんな大人になりたいですか」と最後の質問が出た。ところが質問の内容が想定と大ハズレ、彼女は頭が真っ白になって卒倒する。
女の
子は残念ながら不合格になってしまった。お母さんは最後の手段として有名校の学区内に引っ越し、やっとの思いで娘を入学させる。
お母さんは娘の為に人生設計のボードを作り、毎日のスケジュールばかりか毎月、毎年、一生分の緻密な計画を貼り付ける。そしてこのスケジュールをこなしてゆけば、将来りっぱな大人になれるらしい。
お母さんの考え方は「何一つ運任せにしないこと」つまりスケジュールをしっかりやることが幸せな人生への近道だと言うことらしい。
女の子も毎日スケジュール通りに生活し、勉強漬けの日々を過ごす。
ところが家の隣のボロ屋敷にはへんてこな飛行士おじいさん(津川雅彦)が住んでいた。おじいさんは壊れた飛行機の修理中に燃料が爆発しプロペラが女の子の家を直撃する。
それ以来女の子は隣りの家が気になって、時々おじゃまするようになる。
おじいさんの家の庭には修理中のオンボロ飛行機があった。庭は広く多くの草木と鳥たちが住んでいた。
そして家の中には足の踏み場もないほどガラクタがうず高く積まれていた・・・・つまりゴミ屋敷だ。
おじいさんは星の王子様の話をしてくれた。
女の子は王子様の話が気になり、勉強が手につかなくなってくる。
王子は自分と同じくらいの小さな星に住んでいた。毎日バオバブの木の芽を取らないと星が占領されてしまう。
王子はバオバブの芽を食べてくれる羊が欲しかった。
ある日不思議な芽が出ているのを王子は見つける。大事に育てるとそれは成長し真っ赤なバラの花になった。
でもバラ(滝川クリステル)は美しさを鼻にかけて、王子にわがままばっか要求する。王子は嫌になって星から逃げ出した。
王子は近くの小惑星を訪ね歩いた。一人ぼっちで何でも出来ると言う王様、褒めてほしいと訴えかける紳士、星を数え金持ちになりたいと言う大人・・・・・。
王子は地球のサハラ砂漠にやってきた。そこでヘビ(竹之内豊)と会う、ヘビは王子に自分の星に帰りたくなったらいつでも連れて行ってあげるよと約束した。
さらに王子はキツネ(伊勢谷友介)と出会う。キツネは王子に「君とはキズナが出来てないから友達になれない」と言う。でも「お互いになついたら友達になれる」とも言う。
それから王子は毎日キツネと遊び、かけがえのない友達になって行く。王子はふと星に残してきたバラのことを思い出す。
キツネは王子に「バラのところに戻ってあげなよ」と言う。そしてキツネは王子との別れ際に「こころで見た時だけ本当のことが分かる」「大切なものは、目に見えないんだよ」とそっと耳元でささやく。
飛行士は若いころサハラ砂漠に飛行機で不時着し、王子に出会う。
水が無くなりかけたころ王子は「井戸を探そう」と飛行士を連れて砂漠を歩き回る。
王子は言う「夜空の星がきれいなのは見えないところに花が咲いているから」・・・・「砂漠がきれいなのは何処かに井戸が隠れているから」・・・・。
明け方井戸を見つけた。飛行士は王子と一緒に美味しそうに水を飲む。
おじいさんは、星の王子様の最終章の話をする。
砂漠に不時着した飛行士は、飛行機の修理が終わり旅立つことを王子に話す。
王子は最後にいいことを教えてあげる「この空に僕は居ていつも笑ってる」「そう思って空を見ると、全部の星が笑っているように見えるよ」と飛行士に話す。
王子は1人で砂漠を歩きヘビに噛まれて倒れる。次の日王子の体は跡形もなく無くなっていた。彼はきっと自分の星に戻って行ったのだ。
夏休み最後の日、おじいさんが病で倒れてしまう。女の子は雨の中自転車に乗って病院に駆け付ける。
女の子は夜に家をこっそり抜け出し、おじいさんの飛行機に乗って、星の王子様を探しにいく。
飛行機は大人の星に着陸する。さあ女の子は星の王子様を見つけることが出来るのか、是非映画を観てね。
ネタバレ
<ここから先はネタバレするから映画を観てから読んでね>
女の子はビルの最上階で、青年になった星の王子様が一生懸命に煙突そうじをしているのを見つける。
王子はすっかり子供時代の夢を忘れ、忙しく働いている。女の子は王子を元に戻そうと奮闘するがなかなかうまく行かない。
大人の国は夢を追いかけている場所では無い、無駄なものを排除し、効率化重視だ。王子は早く一人前のビジネスマンになろうと自分を見失っていた。
ところが王子は、胸ポケットから一枚のメモ紙を見つける。そこには箱が描かれていた。
王子は思い出す・・・この絵は大昔に飛行士が描いてくれたものだ。ちっちゃな箱の中には欲しかった羊がいる。
そして王子はキラキラ輝く星を見て、昔の記憶がよみがえってくる・・・・僕は星の王子だ。
そこに現れたビジネスマンは、子供の時代は終わったのだ、いつまでも夢を見続けることは出来ない、仕事をしろと王子を責めたてる。
王子はこの会社を辞めるとビジネスマンに宣言し、女の子と飛行機に乗り込む。女の子はビジネスマンが集めた星を解放する。
王子と女の子とキツネのぬいぐるみは飛行機に乗って、星と一緒に大空に舞う。
そして王子の星に着陸する。王子の星はバオバブがはびこり大変な事になっていた。
王子はバラを見つけるがバラは枯れていて王子の手の中で粉々になって風に飛ばされてゆく。
でも王子は心の中に自分だけのバラを見つける・・・絶対に忘れない。
王子は「こころで見た時だけ本当のことが分かる」とキツネの言葉を口に出す。飛行士のおじいさんに「忘れていないよ」と言づけてほしいと女の子に伝える。
女の子は「いつもそばにいるって、そう言う意味なのね」とこたえる。少女は飛行機に乗って地球に帰る。
女の子はお母さんとおじいさんを病院にお見舞いに行く。そしておじいさんに自分で作った星の王子様の絵本を手渡す。
おじいさんは女の子に「きっといい大人になる」と微笑む。
レビュー
この映画に出てくる女の子もお母さんも、黒髪とブラウンの瞳で、東洋系の親子を感じさせる。それに母子家庭だ、どうもお父さんが家を出て行ったらしいね。
でもお父さんは娘を愛していて、誕生日には必ずおもちゃを送ってくる・・・微笑ましいね。
こんな設定はなかなか面白い、それに女の子の表情が豊かで、最近のアニメは人の表情をよく研究しているね。
お母さんはキャリアウーマンらしく、てきぱきと仕事をして、娘を将来立派な大人にするため勉強ヅケにする。女の子も母親の期待に応えるため、母親のスケジュール通りに生活し、勉強する。
お母さんが発注したボードには週間予定、月間予定、年間予定などなど・・・・これって僕らが会社から与えられる、行動計画や収支計画、中期計画なんかと似てない?・・・・ドキッとするね。
お母さんは絶対「運」なんかに頼らない現実主義者だ。娘も母親の言うことをよく聞いて現実路線を実践してゆくが・・・やはり子供だね、好奇心旺盛で隣に住む昔パイロットだったおじいさんと仲良しになる。
そして「星の王子様」のとりこになってしまう、現実より夢の世界が楽しくなってくる。
でも誰もがこの「星の王子様」に夢中になったことがあるんじゃないのかな。
人を疑うことを知らない王子様に僕らは憧れるのかもしれない。それに非常に不思議で魅力あふれる物語だ。
キツネが王子にささやく言葉「こころで見た時だけ本当のことが分かる」「大切なものは、目に見えないんだよ」が何故か心に残るね。
「大切なものは、目に見えないんだよ」とはどんな意味なのか。
友情、愛情、真実、真心のような精神的なものを指しているのかな、金銭欲・物欲に捕らわれやすい現実社会だけど・・・純粋なこころも時には必要だよね。
TATSUTATSU
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