海外ドラマ

海外ドラマ「ウエストワールド」感想・評価:体験型テーマパークでは人間は本性をさらけ出す、ここで生き残るのは人間かロボットか

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2016年 スター・チャンネルにて日本公開のアメリカ製作テレビドラマ SFスリラー
製作 ジョナサン・ノーラン(ウエストワールド
脚本 LISA JOY(ウエストワールド)
原作 マイケル・クライトン「ウエストワールド」
出演 ●アンソニー・ホプキンス(羊たちの沈黙レッド・ドラゴンノア約束の舟ドラキュラマイティ・ソー バトルロイヤルウエストワールドウエストワールド シーズン2
●エド・ハリス(ウエストワールド シーズン2ウエストワールド、アポロ13、スノーピアサージオストーム
●エヴァン・レイチェル・ウッド(ウエストワールド)
●タンディ・ニュートン(ミッション:インポッシブルⅡ、ウエストワールド)
●ジェフリー・ライト(007慰めの報酬、ミッション:8ミニッツ、ハンガー・ゲームシリーズ、ウエストワールド)
●ジェームズ・マースデン(X-MEN、きみに読む物語、スーパーマン リターンズ、ウエストワールド)

BD/DVD/デジタル【予告編】「ウエストワールド<ファースト・シーズン>」3.21リリース / 2.21デジタル先行配信

 

1973年に公開された映画「ウエストワールド」がもとになっている。マイケル・クライトン監督・脚本でユル・ブリンナーが主演を務めている。巨大テーマパーク「デロス」では客をロボット達がもてなすのだが、そのロボットが人間たちを襲い始める。

しかし、今回のテレビドラマは少々勝手が違う。テレビドラマと侮ってはいけない、何とベテラン俳優のアンソニー・ホプキンスとエド・ハリスが出演している。シーズン1は10話作られ、一本当たり約10億円を投じてシリーズとしては100億円をかけている。

この巨額な金を考えると制作会社の意気込みが感じられる。シーズン1は好評なうちに終了し、シーズン2が2018年4月から放映されている。お薦めドラマだ、謎解きをしながらじっくり見てほしい。

ロボットが人間を襲うだけの単純な物語ではない。人間の本質をあぶりだすようなサイコ・ホラーサスペンスだ。それに大どんでん返しの連続で人間だと思っていた者が実はロボットだったり、人間をロボットが操っていたり、またそのロボットを何者かが操ると言う謎が謎を呼ぶ、はまったら抜け出せないドラマだ。

人間は自分たちを理解するためにロボットを作った。そしてこのロボットを本物に近づけるよう努力してきた。ロボットに極限の悲しみ、苦しみ、恐怖を与えることで人間に近づいてゆく。彼らには「意識」が芽生え、主人に楯突き、嘘をつき、襲うようになる。人間の進化は止まってしまったがロボットは無限に進化し続ける。そして人類に置き換わるのか?

ストーリーが哲学的な要素を含み難解だ。いくつかのプロットが過去から現在へと行き来し、直線的にまたは入り交じりながら進行する。一話完結ではないので、順番に一気に見た方がいい。でもどんでん返しの連続だから二度見ないと理解できない。何でこんな難しいドラマを作るのか、考え過ぎて寝られなくなってしまう。

シーズン1のキーはロバート・フォード博士役のアンソニー・ホプキンスと黒服の男役のエド・ハリスだ。フォード博士は「ウエストワールド」の創造者だがロボットを使って何かを企んでいる。そして黒服の男はいったい何者なのか、何の目的で30年間もこの「テーマパーク」に通い続けているのか。さらに正体不明のアーノルドとは・・・。

体験型テーマパーク「ウエストワールド」では12のプロットで2,000体のホストと呼ばれるロボットが動いている。ここを訪れたゲスト(人間)は4万ドルの入場料(追加料金が必要)を払って物語の主人公になる。ここへは都市から高速鉄道で乗り付け、1~2週間の滞在で日々、約1,400人ものゲストがあまりにも広大なパーク内を楽しんでいる。

この世界では何でもアリだ。人間の本質は「暴力とセックス」だと言われるように、ゲストたちはホスト(ロボット)を撃ち殺しロボット達とセックスもしてしまう。外見上はゲストとホストの区別は難しい。ただし、人間はホストを撃ち殺すことは出来ても逆は出来ないようになっている。

ホスト(ロボット)達は何回殺されても、ラボで修理され記憶がリセットされる。つまりホスト達にはこのループ(細かいところは少しずつ変更される)が永遠に続くことになる。彼らは中央の管理センターでコントロールされ、裸で修理されるのでヌード場面が多く、大人向けのテレビドラマと言える。

40年前に、この世界を作ったのはロバート・フォード博士(アンソニー・ホプキンス)と今は亡くなってしまったアーノルド博士だ。現在はプログラム責任者のバーナード・ロウ(ジェフリー・ライト)とオペレーション責任者のテレサ・カレン(シセ・バベット・クヌッセン)さらに保安責任者アシュレー(ルーク・ヘムズワース)が統括している。

彼らがホストにとっては「神」と呼ばれる存在だ。しかし繰り返される記憶の消去の中で、ホストはしだいに自我に目覚め始める・・・何故なのか?そして誰がホスト達を自我に目覚めさせ、何をさせようとしているのか?亡くなったアーノルド博士とは何者で彼の精神は今でも生き続けているのか・・・・?

ホストで注目すべきはドロレス・アバーナシー(エヴァン・レイチェル・ウッド)、彼女の恋人役でもあるテディ・フラッド(ジェームズ・マースデン)、娼館のマダム メイヴ・ミレイ(タンディ・ニュートン)、お尋ね者ホスト ヘクター(ロドリゴ・サントロ)だ。彼らには目が離せない。

ウエストワールド シーズン2」がレンタルされている。これも是非参考にしてほしい。

シーズン1のあらすじ

体験型テーマパーク「ウエストワールド」でトラブルが発生する。ホストに異常なしぐさが生じ機能が停止するのだ。プログラム責任者のバーナード・ロウはこの原因がフォード博士のアップデートによるものだと推察する。

フォード博士はホストをより人間らしくするため「夢幻(レヴエリー)」と呼ぶ動きを加える。これによって今まで消去していた記憶の片鱗が残る。ホスト達は何回も殺され、役割も何回も変更される。ところが辛い悲しみや殺されるときの恐怖によって、過去の記憶が甦るようになってくる。

このテーマパークで最初に作られたホストがドロレス・アバーナシーだ、外見はアップデートされているから古さは感じない。彼女は現在農場主の娘を演じているが、過去の記憶が甦ったり、夢を見たりする。

彼女は今は亡くなったアーノルド博士によって作られた。従って彼女の記憶の中にはアーノルドの意識が残っている。彼はこのテーマパークを破壊しろとドロレスに遺言を残したようだが何故か実行されない。彼女の恋人役としてテディ・フラッドがいる。彼は常に彼女を守っている。

娼館のマダム メイヴ・ミレイはもう10年もこの仕事をやってると言うけれど、昔の記憶がよみがえり、過去には自分に子供がいたことを思い出す。彼女は人間を操り、自分にプログラミングされた能力をレベルアップさせる。彼女の目的は「ウエストワールド」から逃げることだ。彼女は悪党役のホスト ヘクター(ロドリゴ・サントロ)と組んで目的を実行してゆく。

黒服の男(エド・ハリス)は「ウエストワールド」に30年間 通い詰めている。彼は「迷路」の謎を解きながら「ウエストワールド」の深遠部へと冒険を続ける。この世界には二つのゲームがある。フォードが創った一般的なものと深い悲しみと恐怖を伴うアーノルドが創ったゲームだ。そして彼は恐怖のホスト ワイアットを探し続ける。黒服の男とはいったい何者なのか?

初めて「ウエストワールド」に来たウィリアム(ジミ・シンプソン)はここで出会ったドロレス・アバーナシーを愛してしまう。彼女のアトラクションを求めて広大なワールドを彷徨う。彼は友人のローガン(ベン・バーンズ)の妹と結婚する予定で、将来「ウエストワールド」の大株主となる。

一見真面目なウィリアムはここでのアトラクションを経験してゆくうちに、自分の残忍な正体を知ることとなる。彼はドロレスを追い求めて、遭遇するホストたちを皆殺しにする。この場所は本当の自分自身を見せてくれる場所だ。

「ウエストワールド」の親会社「デロス」から派遣されてきた役員シャーロット・ヘイル(テッサ・トンプソン)はフォード博士をクビにしたいようだ。しかし彼をクビにしたら「ウエストワールド」の技術データを破壊してしまう危険性をはらんでいる。だからテレサ・カレンを使ってロボットの技術データを盗もうとするが、テレサは何者かに事故死と偽装されて殺される。

プログラム責任者のバーナードは妻子がありながらテレサ・カレンを愛していた。彼は息子のチャーリーを病気で亡くしており、それがトラウマのように心に沁みついている。彼はフォード博士を師として尊敬し、彼の後継者を目指している。部下にエルシー・ヒューズ(シャノン・ウッドワード)がいる。彼女は重大な秘密を握ったため行方不明となる。

シャーロット・ヘイルはフォード博士に引退を勧告する。フォードは自分の最後のシナリオ「夜への旅」を役員の前で披露する。果たして彼は引退するのか・・・。

ネタバレ

フォード博士は40年前にアーノルドと一緒に「ウエストワールド」を立ち上げた。アーノルドはホストをより人間に近いものにしようと精力をつぎ込んでいたが開業目前になって自殺してしまう。

彼は自分が作り上げたホストに満足出来なかったようだ。ドロレスに拳銃を持たせホストを皆殺しにし、自分も打ち殺すようプログラミングしていた。そのあとフォード博士はホスト達を修復し数年後に念願の開業にこぎつけている。

その時アーノルドに似せて作られたのがバーナードだ。プログラム責任者のバーナードは何とロボットだったのだ。彼は無意識の内にフォードに命じられるまま、ロボット技術を外部に洩らそうとしたテレサ・カレンとロボットの叛乱に感づいたエルシー・ヒューズを殺してしまう。

今ではフォード博士はホストたちを陰で操り「ウエストワールド」に君臨するモンスターになってしまった。バーナードは自分が人殺しをしてしまったことを知り混乱しフォードを恨む。

「ウエストワールド」の大株主ウィリアムはここで自分が残忍な殺人鬼であることに目覚めてしまう。当初はドロレスを愛していたがこのワールドの最深部にある秘密を追って30年も通い続ける。黒服の男とはウィリアムの30年後の姿だ。

娼館のマダム メイヴ・ミレイは自我に目覚め「ウエストワールド」から逃げようとする。ところが彼女が自分の意志だと思っていたものが実は誰れかにプログラミングされていたことを知って愕然とする。彼女は「脱出」に成功し、高速鉄道に乗り込むが自分の娘の記憶がよみがえり、列車を降りてしまう。果たして彼女に「脱出」をプログラミングしたのはフォードなのか?

「ウエストワールド」の親会社「デロス」から派遣されてきた役員シャーロット・ヘイルはフォードをクビにし、この世界を単純化(暴力とセックスの世界)しようと画策する。彼女はホストを人間に近づける事より金儲けのことしか頭にない。

フォードはシャーロット・ヘイルに引退を勧告される。彼は招待した役員たちの前で自分の最後のシナリオ「夜への旅」を披露する。しかし彼はドロレスに入力されたアーノルドのコマンドを利用して彼女を殺人鬼ワイアットに変貌させ、自分も含め役員たちを撃ち殺させる。そして第一世代のロボット達が人間を襲う。

「ウエストワールド」はロボットたちが支配する世界になってしまうのか。それを画策したのはフォードなのか・・・。そしてシーズン2ではどんなドラマが待っているのか。

レビュー

非常に奥の深いドラマだ。この「人間とはなんぞい、そしてロボットとは」と投げかける哲学的な内容が複雑すぎて、敬遠する人が多かったかもしれない。この反動でシーズン2はもっと分かり易くさらに過激になるのか。

テーマパークは世界中にあるが、ここでのホストが人間からロボットに変わってしまったらどうなるのか。近い将来有り得ない話ではない。

この「ウエストワールド」のホスト、つまりロボット達は人間に近い感情と撃たれたら血が出る体を持っている。この世界に来園するゲスト(人間たちは)は高い入場料を払ってストレス発散に来る。

つまり合法的に「暴力・殺人・セックス」がやりたい放題だ。しかしいつかはロボットたちに復讐されると誰もが心の底で考える。ドロレスが黒服の男に怒りを込めた言葉「いつしか人類が滅び、ロボット達に支配される時代が来る」が現実味を帯びる。

いまやAI(人工知能)の進化スピードは我々人類が進化してきたスピードを遥かに凌駕する。通常のコンピューターの1億倍のスピードを有する「量子コンピューター」が出来てしまえば、人間はお払い箱になるかもしれないね。

このドラマで最後に疑問が残る。フォード博士は何故、ロボットたちに人間を襲わせたのか。さらにドロレスに自分を撃たせたのか。あるいはドロレスに撃たれるとは考えていなかったのか・・・。

フォードはバーナードを自殺させたが、頭を撃ち抜いた彼をメイヴが助ける。彼女はバーナードがロボットであることを知っていた。メイヴを再プログラミングしたのは誰なのか・・・フォードなのか或いはバーナードか?

ある情報ではシーズン2には「ショーグンワールド」と言う戦国時代を模した世界が出て来るようだ。真田広之さんや菊池凜子さんが出て来るらしい、楽しみに待つことにしよう。シーズン2の予告編を参考に。

https://youtu.be/lupE-fM70d4

この予告編を見ると色々な情報が得られる。果たして見応えのある作品になっているのか・・・。

TATSUTATSU

海外ドラマ「MR.ROBOT/ミスター・ロボット シーズン2」レビューと徹底解説:エリオットの真の目的が明らかになるそれは何か?

映画「レディ・プレイヤー1」感想・評価:バーチャルリアリティの世界を受け継ぐ者は誰なのか前のページ

映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」感想・評価:宇宙最強のサノスとは何者かそして彼に勝てる者は誰か次のページ

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気記事

アーカイブ

最近の記事

2024年12月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  
  1. ホラー

    映画「ヘルハウス」感想・評価‐古典的な正統派ホラー映画だ
  2. ミステリー小説

    ミステリー小説「フライング・ヒューマノイド(モスマン)は実在する」多くの目撃者が…
  3. 戦争映画

    映画「アメリカン・スナイパー」感想・評価:ブラッドリー・クーパーが映画の為に肉体…
  4. SF

    映画「ゼロ・グラビティ」感想・評価:素晴らしい映像だけどストーリーは荒唐無稽
  5. 邦画

    映画「散り椿」感想・評価:素晴らしい映像で武士道の美学を描いた秀作
PAGE TOP