サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2018年4月日本公開のアメリカ製作バーチャルリアリティSF映画
監督 スティーヴン・スピルバーグ(プライベート・ライアン、ブリッジ・オブ・スバイ、ジュラシック・ワールド、ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書、レディ・プレイヤー1)
原作 アーネスト・クライン「ゲームウォーズ」
出演 ●タイ・シェリダン(レディ・プレイヤー1)
●オリビア・クック(レディ・プレイヤー1)
●リナ・ウェイス(レディ・プレイヤー1)
●森崎ウィン(レディ・プレイヤー1)
●フィリップ・チャオ(レディ・プレイヤー1)
●ベン・メンデルソーン(レディ・プレイヤー1)
●マーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ、ロミオとジュリエット、ダンケルク、レディ・プレイヤー1)
●サイモン・ペッグ(レディ・プレイヤー1)
140分の長い映画なんだけどもの凄く楽しくてあっと言う間に終わっちゃった。映像のクオリティは鮮やかそして音楽もいい、劇場の音響が度迫力で体に響く。お薦め映画だね。是非 映画館で見るべきだ。DVDでは多分面白さが半減すると思う。
71歳になるスティーヴン・スピルバーグが創ったとは思えないほど仮想空間がみずみずしくリアルに描かれている・・・最先端のVFX(視覚効果)がここまで来てしまったのか(凄いじじいだ、彼は天才か?)。「レディ・プレイヤー1」とは「さあ、ゲームが始まる、準備はいいかな」と言う意味だ。
我々視聴者はバーチャルリアリティの世界に引き込まれてゆく。テレゲームオタク(ゲームオタクのバイブルだ、DVDが出たら隅から隅まで何回でも見てみたいね)はもちろんそうでない人も充分楽しめる。子供から大人までファミリーでもカップルでもオーケーだ。
ガンダム、メカゴジラ、トゥームレイダーなど日本のポップカルチャーだけでなくアイアン・ジャイアント、キングコング、デロリアン、インターセプター、スター・ウォーズなど何でも出て来る・・・探してみてはどうか。スピルバーグの大好きな三船敏郎さんも何故か出て来る、はっきり言って何でもアリなんだね。
話のスジを少し紹介すると、舞台は今から27年後の2045年だ。環境汚染や気候変動、食糧危機、政治の機能不全・・・などによって貧富の格差が拡大し、人々は荒廃した世界に暮らしていた。世界中の多くの人々は現実に目をそむけVR(バーチャルリアリティ)の世界に逃げ込む。
VRの世界とはジェームズ・ハリデー(マーク・ライランス)が創りあげた「オアシス」と呼ばれる世界だ。この世界ではどんなアバター(自分の分身)にでもなれる。望めば、男だって・女だって・ロボット・怪獣・ヒーロー・動物・・・・にだってなれる。
ある日、世界中の「オアシス」の利用者にハリデーからのメッセージが流れる。神のように崇められている彼は「このビデオが流れているなら、私は既に死んでいる」「オアシスに3つのカギを隠した」「このカギを使ってイースターエッグを見つけろ」と。
見つけた者には56兆円の資産と「オアシス」の後継者の地位を与えると言うものだった。これによって世界規模の争奪戦が「オアシス」の中で繰り広げられる。
冴えない人生を送っていたウェイド(タイ・シェリダン)は謎めいた女性アルテミス(オリビア・クック)、エイチ(リナ・ウェイス)、トシロウ(森崎ウィン)、ショウ(フィリップ・チャオ)と協力しカギのありかを探って行く。
ところが彼らの前に巨大企業「IOI社」が立ちふさがる。会社のチームを率いるソレント(ベン・メンデルソーン)は「イースターエッグ」を見つけて世界征服をたくらんでいた。
VRの世界と現実世界を行き来し物語は展開される。行ったり来たりが繰り返されれば、夢か現実かの区別があいまいになる。果たして勝者は誰なのか、そして「イースターエッグ」は何処にあるのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
まず、最初の関門は自動車レースだ。これにウェイド、アルテミスなどが挑戦するが、最後にキングコングが出て来て、自動車やバイクが破壊される。何回トライしても誰もゴールを通過出来ない。
ウェイドはハリデーの生い立ちを記録したバーチャル図書館へ通う。図書館の案内人はハリデーが「オアシス」をオグデン・モロー(サイモン・ペッグ)と構築してゆく様子を見せてくれる。ここでハリデーは進むことが難しければ、たまには後ろに下がることも必要だと説く。
ウェイドはこれをヒントと受け取る。そしてカーレースに於いて、前進を止め、自分の車だけバックで逆走する。これが見事に当たった。車をバックで運転することによって障害物も無くキングコングも邪魔できない。
彼は、初めてトップでゲートをくぐることに成功する。そして第一のカギを受け取り、10万コインもゲットする。ウェイドのアバターはパーシヴァルと言う銀髪の青年だ。彼は一躍 世界のヒーローになる。
第一のカギを使って扉を開けた世界はスティーヴン・キング原作のホラー映画「シャイニング」(スタンリー・キューブリック監督)の中だった。ここで次のカギをどのようにゲットするのか途方に暮れる。やはりヒントはハリデーの生い立ちを記録したバーチャル図書館だ。
ハリデーは恋人とキスをためらったため、これがしこりとして心の中に残っている。「シャイニング」の舞台の中でゾンビたちが空中でダンスをしている。その中にハリデーの恋人がいる。パーシヴァルとアルテミスは彼女とダンスをしようとするがゾンビ達に邪魔される。
パーシヴァルは彼女を捕まえキスをしようとする。その時、ハリデーのアバター アノラックが現われ第二のカギを手渡される。そして第三のカギが隠されている場所が特定される。その場所は岩山にそびえる城の中だ。
ところがその状況を監視していたソレントは一匹オオカミのガンター(イースターエッグ・ハンターと言う意味)アイロックを呼び出す。アイロックはレベル99しかゲットできないシールドを使ってその場所を覆い、外部から侵入できないようにする。
パーシヴァルは世界中のアバターに呼びかける。ソレントにイースターエッグが取られたら「オアシス」は終わりだ、一緒に戦おうと。城に向かって膨大な数のアバター押し寄せる。
ソレントも負けてはいないガンター集団シクサーズを戦いに向かわせ、自らもメカゴジラに乗り込んで敵対するアバター達を蹴散らす。トシロウは甲冑の戦国武将(顔は何故か三船敏郎さん)からRX-78-2ガンダムに変身し戦いを挑む。
その隙にパーシヴァルは城へと向かう。城の地下氷の張った池の上で最後のカギを探すべくシクサーズは古いゲームをかたっぱしからクリアしようとする。膨大なレトロゲームの中にカギは必ずあるはずだ。
アイロックのシールドはシールド内部からしか解除できない。アルテミスは現実社会のサマンサに戻り、巨大企業「IOI社」に侵入し、VR装置を使いシクサーズに偽装してシールドを解除する。
シクサーズは最後のカギが隠されているレトロゲームが「アドベンチャー」であることを特定する。ゲームをクリアしてもカギが現われない。そこに現れたパーシヴァルはゲームを乗っ取り、最後のミッションは迷路の中のアイテムを見つけることだと確信する。
そしてその通り、カギが見つかる。そしてアノラックが現われ、契約書を差し出す。これに署名すればイースターエッグは君の物だと言う。しかしパーシヴァルは躊躇する、これはひっかけだと、彼は署名を放棄する。(ヒントはハリデーの生い立ちを記録したバーチャル図書館にあった。)
その時、最後の扉が開き、パーシヴァルはハリデーの昔の子供部屋へと案内される。その子供部屋では少年のハリデーが楽しくゲームをやっていた。そして老人のハリデーもいた。あなたはハリデーのアバターかと尋ねると彼はもう死んでいないと答える。
そして老人のハリデーからイースターエッグを手渡される。現実世界のソレントは銃を持ってウェイドを殺そうと現われるが警察に拘束される。その現実世界にオグデン・モローが契約書を持って現われる。
ウェイドは契約書にサインするが「オアシスの所有者は僕を助けてくれた4人の仲間と共有する」と主張する。そして僕の給料は25セントだ。
実はオグデン・モローのアバター(図書館の案内人)からもらった25セントはライフだったのだ。ウェイドのアバター パーシヴァルが城の近くで命を落とした時にこの25セントコインによって助けられていた。
「オアシス」は火曜と木曜日は休みとすることを決めた。何故なら現実世界も重要だからだ。ウェイドはアルテミスを操っていたサマンサに好意を抱いていた。現実世界ではやっぱり彼女とデートする時間が必要だね。
レビュー
スティーヴン・スピルバーグは同時期に社会派ドラマ「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を撮っている。彼は非常に幅広いジャンルをカバーできる豊かな才能を持っているのに驚かされる。
彼は相変わらず子供の俳優を使うのが上手い。それに映画の中には大人や子供が喜びそうなキャラクターがいっぱい転がっている。映画をしっかり見てても見逃してしまうようなアイテムが結構ある。これはやはり、後でDVDで探すしかないね。
「オアシス」の創造者ハリデーの子供時代の部屋が凄いね。ここにはオタクの好きなものがいっぱい詰まっている。この中で時間を忘れてテレビゲームに没頭出来たら最高だと思う。
アーネスト・クラインが描く「ゲームウォーズ」の世界は将来現実のものになるかもしれない。ここに出て来る世界最大のSNS型オンラインゲーム「オアシス」にはVR装置を装着し、自分の好きなアバターに変身してそこの住人になる。
「オアシス」で買い物すれば、現実の世界に品物が届く、また、お金を払えば高性能な武器や防護スーツがが買える。そしてこの世界の中で友人たちを作ることも可能だ。しかし友人たちは現実世界では果たして女なのか、男なのか、大人なのか、子供なのか分からない。
こんな世界にどっぷり浸かってしまえば、現実と非現実の区別がつかなくなるのが少々怖い。だからウェイドが新しく決めた規則「週2日は休み」は必要だね。
TATSUTATSU
この記事へのコメントはありません。