サスペンス

映画「Search/サーチ」感想・評価:忽然と姿を消した娘の行く先は、あなたは逆転の発想を見抜けるか

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2018年日本公開のアメリカ製作サスペンスドラマ
監督・脚本 アニーシュ・チャガンティ(Search/サーチ
出演 ●ジョン・チョー(スター・トレック、Search/サーチ
●デブラ・メッシング(Search/サーチ
●ミシェル・ラー(Search/サーチ

映画『search/サーチ』予告(10月26日公開)

 

まさに逆転の発想だ。凄い才能を持った新人監督が出てきた。この映画は「100%PC画面の中で展開する」。当初PC画面だけでは迫力不足ではと思っていたがそんなことはない、このドラマにくぎ付けだ。

2018年のサンダンス映画祭観客賞を受賞している。お薦め映画だ。主人公と一緒に誰が犯人かを謎解きしながら見てゆくのだが・・・簡単にダマされてしまう。さてあなたはこのトリックが見破れるか?

過去にPC画面の中で展開する映画はあった。例えば「ブラック・ハッカー」・・・確かに斬新だが画面が平面すぎて迫力不足だった。しかし、この欠点を二転三転するストーリーで充分カバーしている。

今の時代に生まれた子供はPCやネットを当たり前のように使う。友人ともネットでつながっているがリアルは知らない。何にでも成りすますことが出来るし、個人情報を抜き取られる心配もある。ネットにはフェイクニュースが飛び交う。

しかし、ネット抜きにしては一日たりとも過ごすことが出来ない。ネットには闇の部分もある。この暗闇の中に入り込んでしまったら抜け出せない。PCやネットはもの凄く便利だが、その裏側には恐ろしいものが潜んでいることを忘れてはいけない。

デビッド・キム(ジョン・チョー)は愛する妻パメラ(サラ・ソーン)をガンで亡くし娘のマーゴット(ミシェル・ラー)と二人暮らしだ。

ところが、最愛の娘が行方不明になってしまう。警察に捜索願いを出し、ローズマリー刑事(デブラ・メッシング)が担当してくれることになる。

マーゴットは勉強会に参加するために外泊すると連絡があった。デビッドは日々、仕事で忙しく娘とは最近疎遠になっていた。夜中に娘から3回も電話があったが寝ていて気付かなかった。それ以来連絡がつかない。

デビッドは警察に協力する形で、娘の行き先をパソコンで調べる。SNSで娘の交友関係を調べてゆくと、自分でも知らない娘の闇の顔が見えてくる。

デビッドは片っ端しから娘の友達に連絡してみるが親友とみられる友人は一人もいなかった。彼女は学校でいつも一人でランチを食べていた。しかも無断で半年前からピアノ教室をやめていた。そしてピアノ教室の授業料2500ドルの大金を持って消えた。

何か、犯罪に巻き込まれたのか、或いは悪い友人にそそのかされたのか・・・自分が娘のことを何にも知らなかったことに初めて気付く。デビッドは頭を抱える。

ローズマリー刑事からマーゴットの交友関係を問われるが頭に浮かばない。デビッドは娘のパソコンを開きフェイスブックを覗き見る。そして仲間たちに片っ端から電話する。

ローズマリー刑事はマーゴットの偽造されたIDを見つけたと言ってくる。偽造されたIDとお金を結び付ければ、彼女は何処かに逃げたのでは?

デビッドはそんなこと有り得ないと返答する。そしてさらに調べてゆくと娘がハンナと言う子と頻繁にやり取りしていることが分かる。ハンナに聞けば何かわかるのではないかと思うのだが・・・自分の娘が信じられなくなってくる。

その後のストーリーとネタバレ

彼は娘の最後の足取りを調べるとインスタグラムにバルボサ湖が映っている。彼女はここに行ったのだと警察に連絡して急いで駆け付けてみる。そして湖の中から彼女の車が発見される。車の中には彼女の遺体は無く、現金も置かれたままになっていた。

では一体、彼女はどこにいるのか?ボランティアの力を借りて付近を捜索する。崖は危険なので警察が既に調べたのことだった。マーゴットが消えてからもう4日も経つ。そして次の日嵐で捜索が進まない。

ネットでは誹謗中傷が駆けずり回る。こういう問題はもともと家庭にあったのでは?父親が殺害したのでは?税金の無駄遣いでは?親友でも無い同級生が涙のツイートで自分を売り込む。同級生が力になりたいとツイートし、喝さいを浴びる。彼女は今、俺と居る、彼女は「好き者だ」とか・・・・きりがない。これがネットの世界なのだ。

そんな時、葬儀社のサービス紹介のメールが届く。そして5日目マーゴットの死亡が認定される。カートフと言う男の自白映像が送られてきたからだ。そしてその男は自殺した。しかし、デビッドは信じなかった。マーゴットの遺体が見つからない・・・それに不明な点がいくつかみられる。

デビッドは葬儀社ヘマーゴットの生前のメモリアルビデオを送ろうとした。ところが葬儀社のアイコンが何とハンナと同じものだったのだ。ハンナの写真を画像検索にかけてみる。彼女はモデル嬢だった。

彼女に直接電話すると、マーゴットとは話したことも何にも知らないと言う。では娘とチャットをしていたハンナなる人物は誰だろう。デビッドはローズマリー刑事に電話を架けるが留守だった。

ところが受付に出た女性がこのマーゴット失踪事件をローズマリー刑事が自分が担当したいと志願したと言うのだ・・・。話が違う、彼女は上から任命されたと言っていた・・・おかしい。さらにネットで彼女を調べるとカートフとつながりもある。

デビッドは保安官代理に事情を説明する。しばらくして、マーゴットの葬儀に出席していたローズマリー刑事が警察に拘束される。驚くことにローズマリー刑事が犯人だった。

彼女は息子ロバートの罪を隠ぺいしようとしたのだ。ロバートはバルボサ湖近辺の渓谷でマーゴットを崖から突き落としたと言うのだ。そこに駆け付けたローズマリー刑事は車を湖に沈め証拠隠滅を図る。

半年前ロバートは「ハンナと装って」ネットでマーゴットと接触する。彼は小さい時からマーゴットが好きだった。ハンナ(ロバート)は自分の母がガンで治療費が必要なためバイトをしていると嘘をつく・・・マーゴットの気持ちを自分にひきつけたかったからだ。

マーゴットは優しい女の子で2500ドルを送ってきた。お金を返そうとロバートは車で出かけるマーゴットのあとを追いかける。マーゴットはバルボサ湖でマリファナを吸っていた。ところがロバートがここに来ているのを見てびっくりし助けを呼びに走った。

そしてあとを追いかけたロバートが誤って彼女を崖から突き落とした・・・・これが真相であった。その後、捜査をかく乱させるため、遺体のある場所を捜索スミとしたり偽のIDをつくったり、最終的にはカートフの自白映像をでっちあげ彼を自殺に見せかけて殺害する。

デビッドはひょっとしたらマーゴットはまだ渓谷の底で生きているかもしれないと急いで救助隊の捜索をお願いする。そして彼女は瀕死の状態で見つかる。5日間も経過しているが雨が降ったため彼女はそれを飲んで生き延びたようだ。

デビッドの執念が最愛の娘を救った。父と娘の絆は一層強くなる・・・。

レビュー

正義の味方であるはずの刑事が犯人だったとはまさに逆転の発想だ。ドラマを見返してみると、いくつもの伏線が散りばめられている。残念ながら「刑事=正義の味方」が頭に刷り込まれていてどんでん返しに気付かない。

そしてローズマリー刑事のおかしな言動もよく見るとわかるのだが・・・監督にいっぱい食わされたね。次から次へと怪しい奴が出てきたり、疑惑がどんどん湧いてきたりとストーリーの練り方が素晴らしい。

最期はハッピイエンドである点も好感が持てる。低予算映画だが視聴者を引き付けるコツを監督は持っている。次回作に期待したいね。

TATSUTATSU

みごとにはまるどんでん返し映画ベストテン!結末はないしょだよ

映画「ブラック・ハッカー」感想‐トリックにこり過ぎて今一良く分からない映画だ

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