サマリー
2004年公開の劇場用アニメ映画で、押井守監督、原作は士郎正宗である。
1995年公開のアニメ「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の続編として作られているが、独立した物語としても観ることが出来る。
2004年、第25回日本SF大賞を受賞、また第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にて日本のアニメが初めて上映された。
抜群の映像美とアニメ技術の最高峰と言えるが、物語は難解で興行収入的にはヒットしたとは言い難い。前回のアニメで草薙素子は失踪してしまったため、中心人物はバトーとトグサになっている。
物語の最後の方で草薙素子が出てくるが、いつもの義体とは別の者にのりうつっている。多くのファンはやはり草薙素子がいつもの義体で戦う様を見たかったに違いないと思う。・・・こんなところもヒットを逃した原因の一つになるのかもしれない。
監督の意向とファンの意向とはなかなか一致しないものである。僕としては結構好きな作品である。
この作品の質は非常に高いので、もう少し分かり易く、かつ草薙素子をいつもの義体でところどころに出演させるリニューアルバージョンを作ればヒットする可能性があると思う。
タイヘン「もったいない」作品である。
登場人物については、このブログの「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」で説明しているので参考にしてほしい。
バトーとトグサについては下記を参考に、
バトー・・・・・・男性型高出力義体を持つパワー型サイボーグ、義眼レンズも装着している。武器の扱いに詳しくバセットハウンドのガブリエルを飼っている。素子に対しては好意以上の感情を持っている。(声:大塚明夫)
トグサ・・・・・・9課の中では唯一の妻帯者、警視庁捜査一課の刑事であったのを、素子に引き抜かれる形でチームに参加している。格闘戦や電脳戦にはやや劣るため、バトーと組んで行動することが多い。(声:山寺宏一)
追伸、ハリウッド版「ゴースト・イン・ザ・シェル」を4月7日に見てきましたよ・・・まあまあかな。
ストーリー
ストーリーを少し紹介すると、前作から4年後の2032年の出来事である。
少女型愛玩用人造人間「ロクス・ソルス社製 Type2052 ハダリ」が原因不明の暴走を起こし、所有者を惨殺する事件が連続して発生する。
被害者の中には政治家や元公安関係者がいたことから公安9課で捜査を担当することとなった。(つまりテロの可能性が考えられる)バトーとトグサは直ぐに現場に直行する。
現場では、人間3名(内警官2名)を殺害したガイノイド(女性型ロボット)を警察の機動隊が包囲していた。バトーは単身、ガイノイドが潜んでいる路地に入って行く。
ガイノイドは突然彼を襲うが、ダブルオーバック(強化グローブ)の一撃をくらう。壁に叩きつけられたガイノイドは「助けて」と囁きながら自殺する。
ガイノイドの検視結果をハラウェイ検視官から聞いたところ・・・・・ガイノイドは電脳に細工され、自ら自殺するように仕向けられていた。
しかもこれらの事件を起こしたガイノイドはセクサロイドと呼ばれる慰安用のロボットであった。一般的にガイノイドやロボットは人間を攻撃出来ないように電脳が制御されている。
つまりガイノイドは自ら自殺することによって、人間を攻撃するする能力を得ることが出来るのである。
さらに彼らはロクス・ソルス社の検査部長が惨殺された現場にも急行する。
内臓をほとんど摘出され、それを冷蔵庫のビンに丁寧に保管すると言う猟奇殺人である。(殺人現場から少女の立体写真が見つかる・・・・・これはいったい何を意味するのか)
さらにドアノブが異常に変形していることから、カニバサミと呼ばれる義手を持ったサイボーグが関わっているようである。
これを手がかりにあるヤクザ事務所におもむくが、激しい銃撃戦の末新組長から情報を引き出す。旧組長はガイノイドに殺されていた・・・・そしてロクス・ソルス社の検査部長が報復された模様である。
次々と糸がつながって行く・・・そんな時バトーは自らの電脳をハッキングされ完全に自分を失う。
拳銃を乱射し暴れるバトーを密かに監視していたイシカワ(公安9課のメンバー)に助けられる。(こんな場面に草薙素子が守護天使として出てきたらいいのにね!)
バトーとトグサはキムと言われるハッカーを捜索しに北端の択捉(エトロフ)経済特区に向かう。バトーをハッキングしたのはこのキムなのか・・・・・。しかも、この経済特区の海岸沖にはロクス・ソルス社のガイノイド製造工場がある。
果たして、ガイノイド殺人事件の真相を暴くことが出来るのか、是非観て頂きたい。
レビュー
この映画は前作から比較して映像が格段に進歩している。こんな凄い映像をどのようにしたら作り出せるのか・・日本のアニメ技術の高さを見せつけられる思いである。
また映像表現の切り取り方も素晴らしく、バトーやトグサが映画の中で動き回るシーンが躍動感と臨場感で溢れ生き生きとして見える。
映像表現の美しさは、択捉経済特区のお祭りと思われるシーンで頂点に達する。このシーンを作るのに苦労しただろうな・・・・なんてため息が漏れる。
これらのシーンはアニメだから出来るのではないだろうか、実写だったらとっても無理だし、CGのみでもこんな輝きは困難を極めると思う。絵コンテ、アニメ、CGが合体して初めて実現可能ではなかろうか?
ただこの物語を僕は何回もみているが難解である。次から次へと孔子、釈迦、プラトン、ダビデ、ミルトンなどの有名なフレーズが会話の中に流れてきて、話の内容が理解できていない。
押井監督は可能であれば会話の100%をこれらのフレーズで埋め尽くしてもよいと言っている。これは視聴者泣かせである。辞書を片手に映画を見ろと言うことか・・・・・・・・。
「ロバが旅にでたところで馬になって帰ってくるわけではない」・・・・・は何となく意味が分かるが・・・。
ネタバレ
<ここから先は映画を観てから読んでね>
<まあ何回観ても良く分からないから、ネタバレしようがないけどね>
ロクス・ソルス社のガイノイド製造工場兼戦艦にバトーは忍び込むが。ガイノイドの群れに囲まれ攻撃される。
この場面でネットを経由し草薙素子が現れる。ガイノイド一体をハッキングし体を乗っ取るとバトーと力を合わせてガイノイドの群れを撃退する。
そして工場全体のネットに侵入し、ウィルスをまき散らし工場の機能を停止させる。工場ではヤクザに誘拐された子供達のゴーストをガイノイドにダビングしていることが暴露される。
また殺されたロクス・ソルス社の検査部長がガイノイドの電脳に細工をしていたことも判明する。(彼は子供達を助けたかったのか?)そして魂を吹き込まれた人形(ガイノイド)が人を殺す。
助けられた立体写真の子供は「人形になんかなりたくなかった」と泣き叫ぶばかりであった。
草薙素子はバトーを何回か救っている。彼女はバトーに「あなたがネットにアクセスする時あなたのそばにいつもいる」と言い残してネットの海に戻って行く。
最後にこの映画では犬のバセットハウンドが良く出てきて可愛い。僕も犬が大好きなので我が家の愛犬にこんな友達犬が欲しいなって思っちゃう。
TATSUTATSU
「攻殻機動隊のすべてが分かる映画・テレビドラマベスト6」も見てね。
「攻殻機動隊S.A.C.Individual Eleven」も見てね
関連記事:GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 「攻殻機動隊 新劇場版 」もよろしく。
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