アニメ

アニメ映画「天気の子」感想・評価:天候を操る少女は何を犠牲にして狂った世界を正そうとしたのか?

サマリー


★★★★☆(見るべき名作)

2019年7月公開のファンタジーアニメ映画
原作・脚本・監督:新海誠(ほしのこえ、雲のむこう、約束の場所秒速5センチメートル星を追う子ども言の葉の庭君の名は。天気の子
声の出演 ●醍醐虎汰朗(役柄:森嶋帆高)
●森七菜(役柄:天野陽菜)
●小栗旬(役柄:須賀圭介)
●本田翼(役柄:夏美)
●倍賞千恵子(役柄:冨美)
●吉柳咲良(役柄:天野凪)
●平泉成(役柄:安井)
●梶裕貴(役柄:高井)

映画『天気の子』スペシャル予報

RADWIMPS主題歌「愛にできることはまだあるかい」

愛にできることはまだあるかい RADWIMPS MV

 

君の名は。」を超える大ヒットを予想させる新海誠監督の最新作だ。「君の名は。」から3年、ストーリーの組み立てに相当苦労したことが伺われる。前作の正反対の結末をどうして監督は選んだのか?

狂い始めた天候と世界、若者たちの孤独と貧困、先行きの見えない現代を上手く切り取った名作だ。世界の誰も知らない森嶋帆高と天野陽菜の二人だけの世界。

二人だけの世界は夢の中なのか、いや現実の世界だ。二人は世界を変えようとしたが何のために世界を変えようとするのか。自分を犠牲にしてまで守る世界がそこにはあるのか・・・。新海誠監督の強烈なメッセージだ。

少女は何故「晴れ女」になったのか。彼女が祈れば100%晴れる。人々は大喜びだ。でもその代償は彼女に覆いかぶさる。雲の映像が素晴らしい、そこから漏れる光の束は心を奪われるほど美しい。RADWIMPSの主題歌が淡い恋を切なく歌い上げる。さあハンカチを持って劇場に駆け付けましょう。

ストーリーを少し紹介すると。家出をして東京に出てきた森嶋帆高(醍醐虎汰朗)は高校1年生だ。彼は東京に来たものの就職先が見つからず、フェリーで知り合ったオカルト作家、須賀圭介(小栗旬)の世話になる。

そして須賀、須賀の姪の夏美(本田翼)、ノラ猫アメとの奇妙な生活が始まる。須賀はオカルト雑誌「ムー」への寄稿を生業にするがほとんど売れない。また、夏美はこんな虚業から足を洗って正社員になるべく就活中だ。

そんな時に不思議な少女、天野陽菜(森七菜)と知り合う。彼女は自称18歳の女子学生で母親を亡くしてからは、弟の凪(吉柳咲良)と二人暮らしだ。日々のアルバイトで生計を立てているが生活は苦しい。

毎日雨が降り続く異常気象だ。人間の環境破壊が原因なのか天候は狂ったままで元に戻る気配さえ感じられない。陽菜は不思議な力を持っている。彼女が祈るとその地域だけが晴れるのだ。

帆高は陽菜と「晴れ女」業を始める。イベントなどで晴れてほしい主催者が面白半分で雇ってくれる。価格は一回3,000円から5,000円くらいだ。ところが彼女が祈ると100%晴れ間が出る。この噂は口コミで広がりアルバイトは大盛況だ。

実は陽菜は廃ビル屋上にある鳥居を空が晴れるように強く念じて、くぐったことにより不思議な能力を身に着けていた。彼女はいうなれば「天気」と言う神様に仕える巫女なのだ。

しかし、その能力の代償は大きく、彼女の体を蝕んでいた。帆高はゴミ箱で拾った拳銃を誤って使用したことで警察に目をつけられる。それに陽菜も未成年でありながら凪と貧乏暮らし続けている。心配した児童福祉関係者から家庭訪問を受ける。陽菜は18歳ではなく14才だった。

帆高は陽菜、凪と逃避行を続けざるをえなくなる。帆高にとってはそんな幸せのさ中、陽菜の体に異常が出始める。彼女は天候の回復と引き換えに天に昇って行ってしまう。世の中は不純な天候から解放され、人々は喜びまた日常の生活に戻って行く。陽菜のことは誰も知らない。

帆高はおかしいと思う。何故、陽菜が天候を回復させるために「人柱」として犠牲にならなければならないのか。そもそも天候を悪化させたのは人間たちだ。陽菜だけの責任ではない。帆高は決心する、その決心とは、そして彼は狂ったように行動を起こす。

その後のストーリーとネタバレ

帆高は彼女が教えてくれた不思議な場所へと急ぐ。屋上に鳥居のある廃ビルだ。階段を上った先に須賀がいた。彼は警察に追われる帆高を心配して来ていたのだ。

しかし、そこに刑事たちが駆け付けて来る。帆高を取り押さえようとするが彼は気が狂ったように抵抗する。それを見ていた須賀は加勢し帆高を逃がす。

帆高は階段を上り、屋上の鳥居を彼女のことを強く念じて、くぐる。不思議なことに帆高の体は宙を舞い雲の上へと運ばれる。雲の上の緑の平原に陽菜は横たわっていた。

帆高は大声で陽菜を呼ぶ。気が付いた陽菜は腕を伸ばす。その腕をしっかりつかんだ帆高は宙を舞う。気が付いたら二人とも鳥居のところに横たわっていた。

それ以来、また雨が降り出し、元の悪天候に戻ってしまう。雨は3年降り続き、東京は部分的に水没する。大昔、東京はもともと海だった。昔に戻っただけだと冨実(倍賞千恵子)は言う。彼女は「晴れ女」業の客だった。

帆高は保護観察処分となり島に戻って高校を卒業する。彼は久しぶりに東京へと戻ってくる。須賀を訪ねると懐かしんでくれる。事務所も大きくなったみたいだ。

そして陽菜を訪ねる。彼女は坂の上にいた。帆高を見つけると大喜びで走ってきて手を握ってくれる。帆高はこの上ない幸せを感じる。

レビュー

君の名は。」と同じように思春期の淡い恋を描いている。結末が心にジーンとくる。本来なら、陽菜のおかげで天気が回復しめでたしとなるはずだ。ところが新海監督は正反対の結末を用意していた。

自然は変えられない。陽菜も犠牲になる必要はない・・・これが監督の答えだ。この結末が吉となるか、視聴者の反応を見たいようだ。僕はこの結末でいいと思う。

お金のない若者たちがジャンクフードで飢えをしのぐシーンが多く出て来る。確実に日本は貧しくなっている。特に少年少女の貧困は深刻だ。

今年の夏、低温・長雨でこの映画と上手くリンクする。異常気象は人類が引き起こしたとするなら我々はこれを受け入れなければならない。ドラマを単なる恋愛映画としないところが新海監督の魅力か。

現在の日本の姿が上手く投影されている。果たして大ヒットとなるか・・・楽しみだ。

TATSUTATSU

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