サマリー
これら一連の映画は「着せ替え人形系アメコミスーパーヒーロー映画」と呼んでいる・・・・勝手に僕が呼んでるだけなんだけど。
このジャンルのあまり詳しくない人に「この映画はX-MENだよ」と言ったって気づかない。(登場人物の衣装を着せ替えるだけで同じような物語になってしまう。)
本作は4人のメンバーの成り立ちを描いたリブート版(シリーズ物の続編をやめ、一から構築し直す手法:初期シリーズの内容を知らない初心者でも充分楽しめる映画となる。)である。
彼ら4人は超人だが、その超能力がどのような理由で備わったのかをこの映画で見せてくれる。最初からのスタートだから、見やすいし分かり易い。それに俳優が一新され新鮮味も感じるね。
アメリカでの評判はあまりかんばしくないが、僕はそんなに悪い映画でもないと思う。家族で楽しく観たらどうかな。
4人のリーダーかつブレイン的存在のリード(Mr.ファンタスティック)を「セッション」のマイルズ・テラーが演じており、演技の幅の広さを感じさせる・・・・これから大物俳優にのし上がって行く作品となるのか?。
リード(Mr.ファンタスティック)のマイルズ・テラー
リードはガレージで親友ベンと一緒に物質転送装置を作り完成させるが、まだ生物を送ることは出来ない。
彼はたまたま装置の見学に来た、バクスター財団のフランクリン博士にスカウトされる。豊富な財団の資金によって物質転送装置は、チンパンジーの実験を終了し、人間を異次元の世界に送れるレベルになる。
リードはベンとフランクリン博士の息子ジョニー、天才科学者ヴィクターの4人で物質転送装置に乗り込み異次元の世界にトライする。
実験は成功し彼らは異次元の世界に転送される。ところがこの世界はエネルギーに満ち溢れ、危険な場所だった。
彼らはもと来た場所に戻ろうとしたところ、ヴィクターが異次元の世界に飲み込まれてしまう。そして3人も強力なエネルギー放射を浴び地球に戻って来る、さらに物質転送装置をコントロールしていたスーも強力なエネルギーを浴びてしまう。
異次元のエネルギーは4人を超人へと変貌させてしまった。
リード(Mr.ファンタスティック)は手足や体が自由に伸びるゴム人間。
ベン(ザ・シング)は体に岩石が付着した岩石人間。
ジョニー(ヒューマン・トーチ)は体中が燃える火の玉人間。
スー(インビジブル・ウーマン)は自分を透明にしたり、バリヤーを張ることの出来る人間に。
彼ら4人は自分達の体をコントロールできるようになって行く。
そして異次元の世界から救出されたヴィクターは長い間強力なエネルギーにさらされたため、体ばかりか精神にまでも異常をきたしていた。しかも4人にも勝るパワーを身につけていた。
ヴィクターは地球の物質を異次元に転送しようとしてしまう。地球の大地が削り取られ異次元空間に転送されてゆく。
果たしてリードをリーダーとする4人はヴィクターを倒すことが出来るのか、是非映画を観てほしい。
2015年日本公開のアメリカ製作スーパーヒーロー映画、監督はジョシュ・トランク(クロニクル)、主な俳優はマイルズ・テラー(ダイバージェント、セッション)、マイケル・B・ジョーダン(クロニクル)、ケイト・マーラ(トランセンデンス、オデッセイ)、ジェイミー・ベル(スノーピアサー)、トビー・ケベル(猿の惑星:新世紀)である。
原作はマーベルコミックスの同名のマンガである。現在はディズニーに買収されている。2017年には続編が公開されるもようである。
ジェイミー・ベル、マイケル・B・ジョーダン、ケイト・マーラ、トビー・ケベル、マイルズ・テラー
ストーリー
2007年 ニューヨーク オイスターベイが舞台だ。リード少年は人類で最初にテレポートされる人間になりたいと夢を述べる。
学校の先生や同級生たちは、彼をバカにする。ところが彼は今ガレージで転送装置を作っている。装置の名前はバイオマスターシャトルだ。
彼はガレージの装置を同級生のベンに見せる。そしてミニチュアカーの転送実験に成功する。そしてミニチュアカーの代わりに黄色の砂が転送されてきた・・・・・どこから来た砂なのか謎を呼ぶ。
それから7年後、リード(マイルズ・テラー)はベン(ジェイミー・ベル)と装置をほぼ完成させていた。今はサイマティック物質シャトルと呼んでいた・・・つまりテレポーターのことだ。
彼とベンは紙飛行機をテレポートさせまた戻す事を関係者に見せるが、相変わらず信じてもらえない。
ところがそこに現れたのはバクスター財団のフランクリン博士(レグ・E・キャシー)と娘のスー(ケイト・マーラ)であった。彼はリードを財団にスカウトする。
スー(ケイト・マーラ)
リードはバクスター財団の研究施設を見る。そこには巨大な転送装置が建設中であった。彼はこの装置の更なる改良を研究する。
スーはリードの才能を目の当たりにして、嫉妬に近いものを感じる。
この研究(量子ゲート計画)の創案者ビクター(トビー・ケベル)が研究施設に現れる。彼はリードに悪態をつくが、リードの才能には高い評価をせざるを得ないようであった。
カメラを搭載したドローンを異次元に送り、異次元からの映像が届く・・・新しい世界はエネルギーに満ち溢れたすごい場所だった、このエネルギーを利用することによって将来地球のエネルギー問題を解決出来るかもしれない。
量子ゲート計画の創案者ビクター(トビー・ケベル)
ビクター、リード、フランクリン博士の息子ジョニー(マイケル・B・ジョーダン)そしてスーは力を合わせて、巨大な転送装置を完成させる。
まず、動物実験だ・・・チンパンジーを異次元に転送する。異次元の世界は地球が誕生したときのような風景をモニター越しに見ることが出来る。そしてチンパンジーをもと来た世界に戻す・・・・大成功だ。
この巨大研究施設の総責任者ハーヴェイ博士(ティム・ブレイク・ネルソン)は、次の段階としてNASAと組み、人間を異次元に送る計画を提案してきた。
リードは我々がNASAよりも先に行ってしまおうと提案する。そしてリード、ビクター、ジョニー、ベンは真夜中に転送装置に乗る・・・・世界で初めての人間転送実験の開始だ。
転送実験は上手くいった、彼らは異次元の世界に到達する。ところが異次元の世界は非常に不安定な場所だった。
彼らはエネルギーのたまった場所に降りてゆく、突然エネルギーが暴走し彼らに襲い掛かる。ビクターはエネルギーの塊の中に呑みこまれてゆく・・・もう手遅れだ。
残り3名はエネルギーの強力な照射を受けながら転送装置に乗り込み、地球に辛くも帰還する。
転送基地ではスーが気づき、彼らの帰還を手動で行うが、彼女も戻ってきた彼らの様に強力なエネルギーを浴びてしまう。
彼らは元の次元に戻ってきたものの、体が強力なエネルギーを受け、超人に変貌してしまった。
●リードは手足や体が自由に伸びるゴム人間。
●ベンは体に岩石が付着した岩石人間。
●ジョニーは体中が燃える火の玉人間。
●スーは自分を透明にしたり、バリヤーを張ることの出来る人間に。
彼らはエリア57秘密軍事基地に運ばれる。そして変貌した体が調査される。
彼らは変化した体を次第にコントロール出来るようになってくる。そして政府・・・特に軍事関係者は彼らの超人的能力に関心を持ち始める。そして軍事に利用され始めた。
彼らは戦争の最前線に送られ、軍にとっては強力な兵器として働かされた。
転送装置を修理し、ビクターの救出に向かう。多数の隊員が異次元に向かい、彼を見つけて回収に成功する。
ところがビクターは長い間異次元・・・・今ではプラネットゼロと呼んでいる・・・にさらされたため、体の変貌がどころか精神も病んでいた。
プラネットゼロを存続させるために地球を滅亡させると宣言する。そしてその行動に移す。
彼の強力なパワーを止められる者は誰もいない。フランクリン博士もハーヴェイ博士も彼に殺されてしまう。
果たして4人はビクターを倒し、地球を救うことが出来るのか、後は是非映画を観て頂きたい。
ネタバレ
<ここから先はネタバレするから映画を観てから読んでね>
変貌したビクターは転送装置に乗り込み、自分の故郷であるプラネットゼロに戻る。そして彼は異次元のゲートをブラックホールに変え、地球の物質をプラネットゼロに吸い込もうとする。
地球がどんどん削られ、プラネットゼロに転送される。
リード、ジョニー、ベンはスーのバリアーに守られブラックホールの中に吸い込まれプラネットゼロに転送されてゆく。
彼らはプラネットゼロでビクターと戦う決心をする。1人1人ではビクターにとても太刀打ち出来ない。彼らは4人で力を合わせビクターと対峙する。
彼ら4人は苦戦しつつも連携しビクターをブラックホールの中に押し込める・・・・・彼は量子レベルに分解され消えてゆく。同時にブラックホールも消滅してゆく・・・・彼らは地球を救ったのだ。
彼ら4人は自分達の運命を悟り、これからは地球を守って行く使命に全力を傾けると誓う・・・・。
レビュー
この映画を観ているとファンタスティック・フォーの物語と言うよりも、主役のマイルズ・テラー扮するリードの物語と言っていいかもしれない。
ただオタク青年のリードが直ぐにスーパーヒーローになってしまうあたり、少し違和感を感じるね。それに彼だけ仲間から逃げて逃避行を続ける、しかしすぐに捕まってしまう・・・・このストーリーに何の意味があったのかな。
この映画がアメリカで評判が悪かった点は、原作からかい離している点かなー、僕は原作をよく知らないから、あんまりひどい映画とは思わないけど、昔からのコミックファンにとっては許せないことがあったんだろーね。
リブート版は分かり易いけど、昔からのファンを満足させるのは難しいのかな。「ターミネーター:新起動/ジェネシス」もリブート版で、アメリカでの評判が今一だったね。
ところで監督のジョシュ・トランクは27才の時に、超能力者の悲劇を描いた低予算映画「クロニクル」で大ブレイクした。凄い才能を持った監督だが、今回の大作には苦労したみたいだね。
噂では主演のマイルズ・テラーと殴り合いのけんかをしたとか20世紀フォックスの首脳陣と上手くいかなかったとか・・・・色々な醜聞が出ているようだね。彼はまだ若いから人間として成長段階なのかな。
結局かなり首脳陣たちに、編集のし直しされてしまったらしい。よく観るとストーリーがちぐはぐな点があるね。
4人の若者たちの苦悩を描いているらしいけど、ファンは明るいアメコミヒーローを期待したのかな。彼らが軍事利用される点についてはアメリカ映画らしいが、軍人達を悪者扱いしてない点はどう考えたらいいのかな。
「セッション」で世界的に注目されたマイルズ・テラーだけど、そううまく運は続かないね・・・・。
辰々
追伸:この映画は第36回ゴールデンラズベリー賞(通称ラジー賞:最低映画賞)のワースト作品賞を受賞してしまった。お祝いを言っていいやら、喜んでいいやら複雑な心境だね。
ファンタスティック・フォー 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray] [Blu-ray]
この記事へのコメントはありません。