サマリー
2014年公開のイギリス・中国・アメリカ合作SF映画で、監督はウォーリー・フィスター、主演はジョニー・デップである。
テーマは面白いし、主役はジョニーだし、映像も素晴らしいが、もひとつインパクト欠ける出来栄えであったと感じる。人間の頭脳が量子コンピューターに、もしアップロード出来たら世界はどのように変わるのか?
人類がネットの世界で永遠に生き続けるとしたら、人間の進化は加速度的に進むのか?そしてその進化は自然の摂理に反しているのか?その為、人類そのものがいらなくなってしまうのか・・・考えさせるテーマだ。
この映画は批評家から酷評されている。ジョニーも年を取ってきたし、持ち味が生かされていない。まだ老ける年でもないので、次回復活を期待する。
ストーリー
ストーリーを少し紹介すると、ウィル・キャスター(ジョニー・デップ)は天才的な人工知能の科学者で妻のエヴリン(レベッカ・ホール)と一緒に人工知能PINN(ピン)の開発を行っていた。
ところが、ウィルは過激派テロ組織RIFT(リフト)の凶弾に倒れてしまう。妻のエヴリンは余命の少なくなったウィルの頭脳を周りの反対を押し切り「ピン」にアップロードして姿を隠してしまう。
ウィルの意識はピンの中で生き続け、どんどん進化してゆく。エヴリンは小さな田舎町の地下に巨大な研究施設を二年の間に作ってしまう。その間にもウィルの意識は進化し続け、人間を超越(トランセンデンス)して行く。
そして強大になったウィルは社会に影響をあたえてゆく、自ら作ったナノマシンによって病気の人間を治療しながら次々に仲間にしてゆく。ついには自分までも人間として複製してしまう。そして世界を支配しようとする。
エヴリンはウィルを愛しているものの、進化し続ける彼を不気味に感じ、心が揺れ動く。ウィルの共同研究者マックス(ポール・ベタニー)、人工知能の権威ジョセフ(モーガン・フリーマン)、FBIのドナルド(キリアン・マーフィー)達は協力してウィルの進化を阻止しよとする。
果たしてウィルによるコンピューターネットワークの支配を阻止することが出来るのか観てのお楽しみである。
レビュー
何故これだけテーマが面白く、映像の美しい作品が今一なのか分析してみる。
ジョニーの出番は始めだけで、死んだあとは人工知能にアップロードされたモニターだけの存在になってしまっている。無表情でロボットのようなジョニーでは魅力がない。
ジョニーはかえって共同研究者マックス(ポール・ベタニー)の役の方が良かったのではないか。
ウィル(ジョニー・デップ)は人工知能となって進化してゆくが、人間を一人も殺害していない・・・・・果たして社会の脅威となっていたのか。マックスたちの思い過ごしのように見えてしまう。
かえってウィルを社会の脅威にして、どんどん人を殺戮していった方が物語として説得力がある。ウィルと軍隊との戦いもチャチである。・・・・・・予算不足なのかB級映画を思い起こされる。
ジョニーの出演料が製作費100億の中の20億とも言われている。見栄えのする映画とするためにはあと50億ぐらいは必要ではないか。
せっかくモーガン・フリーマンやキリアン・マーフィーが出ているのに、今一彼らの魅力を引き出させていない。
もう少し脇役の演出も考えてほしかった。等々、ケチをつけたらきりがないが、テーマの面白さと映像の美しさは目を見張るものがある。
ジョニーファンにとってはひいき目に見て及第点の作品か・・・・・僕の意見はちょっと厳しすぎるかも?テーマは今後の量子コンピューターの有り方を示唆しているので一回観ておいても損はない。
ネタバレ
結局、ウィルが創り上げたネットの世界はコンピューター・ウイルスを注入されたことによって崩壊してゆく。しばらくはコンピューターやネットの無い世界が続く・・・人類は再度昔にもどろうとするのか?
TATSUTATSU
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