サマリー
2018年3月日本公開のアメリカ製作 冒険ファンタジー映画
監督 ローアル・ユートハウグ(トゥームレイダー ファースト・ミッション)
原作 スクウェア・エニックス「トゥームレイダー」
出演 ●アリシア・ヴィキャンデル(エクス・マキナ、コードネーム U.N.C.L.E、リリーのすべて、二ツ星の料理人、ジェイソン・ボーン、トゥームレイダー ファースト・ミッション)
●ドミニク・ウェスト(フォーガットン、ハンニバル・ライジング、ジョン・カーター、トゥームレイダー ファースト・ミッション)
●ウォルトン・ゴギンズ(プレデターズ、ヘイトフル・エイト、メイズ・ランナー:最後の迷宮、トゥームレイダー ファースト・ミッション)
●ダニエル・ウー(ジオストーム、トゥームレイダー ファースト・ミッション)
親子連れと子供たちの群衆をかき分け見に行ってまいりました。この映画は残念ながら少数派で、ごった返してたのは「ボス・ベイビー」と「ドラえもん」でした。
このドラマは頑張って作ってはいるが、可も無く不可もなくと言うところだ。ファースト・ミッションと言うことでシリーズ化を目論んでいるようだが、本当にファースト・ミッションがファイナル・ミッションで終わっちゃいそうな感じだ。
「トゥームレイダー」とは墓荒らしと言う意味で、意訳すれば「宝探し屋」のことだ。皆さんご存知「スクウェア・エニックス」のアクション・アドベンチャーゲームの映画化だ。
2001年にアンジェリーナ・ジョリー主演で映画化され世界中で大ヒットした。2003年には続編トゥームレイダー2が同じ主演で作られそこそこヒットした。今回は3度目のドジョウを狙ったようだ。
一作目は時を支配できる「光のトライアングル」、二作目は人類が抗体を持たない細菌が入った「パンドラの箱」、そして今回は、日本の神話に出て来る女王「卑弥呼の墓」だ、この墓の中には世界を滅ぼす恐ろしいものがある、それは何なのか・・・。日本が舞台だが日本人は出て来ないし、日本らしさが何処にもない無国籍ドラマだ。
今回の主演は、「エクス・マキナ」「リリーのすべて」「ジェイソン・ボーン」のアリシア・ヴィキャンデルだ。彼女は細身の体を鍛えに鍛えあげ、今作品に臨んでいる。
彼女は機関銃相手に弓矢で攻撃する・・・まるで女ランボーのようだ。でも普通弓矢じゃあ機関銃に勝てないよね。それに彼女はクロフト財団の一人娘だけど、何故かバイク便のアルバイトをしながら貧乏暮らしをしている・・・亡き父の財産が腐るほどあるのにおかしいよね。
それはいいにしても、宝探しが「インディ・ジョーンズ」や「ハムナプトラ」なんかのようにパターン化して新鮮味がない。それにララ・クロフトが魅力的に描かれていない。痩せ細った筋肉ウーマンだけでは観客の心をつかむのは難しい。アンジェリーナ・ジョリーのように上から目線の嫌な女を演じてほしかったね。
スジを少し紹介すると、父親のリチャード・クロフト(ドミニク・ウェスト)はクロフト財団の社長であるが「宝探し屋」でもある。ある宝を探しに行ったまま7年も戻らない。
ララ・クロフト(アリシア・ヴィキャンデル)は父親の財産を受け継ぐ書類にサインをしようとした。そのとき、父からのからくり箱を受け取る。そのからくり箱からカギが見つかり。そのカギを使ってクロフト家の大邸宅にある父の書斎を開ける。
その書斎の中には父が長年研究していた「卑弥呼(ヒミコ)の墓」の膨大な資料があった。そして父のビデオレターを見つける。父はビデオの中で「卑弥呼(ヒミコ)の墓」の資料を全て焼却しろと、さもないと秘密組織トリニティに奪われ世界が滅ぶと結んでいた。
しかし、ララはこの資料を焼却せずに引き継ぐ決心をする。まず、父の協力者ルー・レンを探しに香港に行く。そこにはルー・レンと同名の息子ルー・レン(ダニエル・ウー)がいた。
ララはルー・レンの所有する船をチャーターし、日本のヤマタイ島に向かう、果たしてそこには何が待っているのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
ヤマタイ島の近くは岩礁が多く、これにぶつかり難破する船が後を絶たない。ララとルー・レンが乗った船も嵐に見舞われ、岩礁によって大破する。
ララは何とか島に打ち上げられたが、砂浜で何者かに頭を強打され気を失う。ララが気が付いた時にはヴォーゲル(ウォルトン・ゴギンズ)と言う男に捕まっていた。
この男は「トリニティ」と呼ばれる秘密の組織のメンバーで、長年この島で「卑弥呼の墓」の発掘を行っていた。やはりルー・レンも捕えられ、発掘現場にいた。彼の他にも多くの男たちが武装した兵隊たちに監視され重労働を強いられていた。
ヴォーゲルはララから奪い取ったノートを見て、「卑弥呼の墓」の場所を特定したようだ。その場所に皆を向かわせる。スキを見てララは逃亡する。彼女はジャングルの中を走り回り、追手から逃れる為、川に飛び込む。
ところがその先には巨大な滝が待っていた、飛行機の残骸に捕まり、中のパラシュートを使い無事に逃げおおせる。そこに見覚えのある男を見つける。なんとそれは亡くなったと思っていた父リチャードだった。
父はここで生き残っていた。そして「卑弥呼の墓」が暴かれるのを何よりも心配していた。ララはもう一度発掘現場に戻ると、既に「卑弥呼の墓」の入り口が発見されていた。
さらにタイミングが悪いことに、父が墓の入り口にいるところをヴォーゲルに見つかってしまう。ララは仕方なく父を助ける代わりに扉のパズルを解いて巨大な扉を開けることを約束する。
扉につけられた回転するからくりをうまく操作し、扉を開けることに成功する。扉の先は垂直の穴が地下に向かっていた。ロープを使って発掘隊の一群(ララ、リチャード、ヴォーゲルそして機関銃を装備した数名の兵隊)は地下に降りる。そしてそこから長く続く地下の道を進むことになる。
「卑弥呼」の伝説では彼女が触れた人間は魂を奪われるとの言い伝えがある。彼女はその力で何千何万の人々を死に追いやってきた。そしてその力を恐れた人たちによって地下深くの「卑弥呼の墓」に彼女の体を封印してしまったとのことであった。その「卑弥呼」の力とは何なのか、その力を明らかにしそれを使って世界征服をたくらむ者たちがいる。
「卑弥呼の墓」に続く長い道には、色々な仕掛けが備えられ、侵入者を阻む。途中、何名かの犠牲者を出したが、墓に着く。「卑弥呼の墓」の周りには何千と言う殉教者たちの遺骸があった。来世で卑弥呼にお仕えする為だろうか。
「卑弥呼の墓」の石棺を開けると中には卑弥呼の遺体があった。ヴォーゲルはこれを持ち出そうと部下に指示する。ところが遺体に触れた兵士は何かの病気に感染したのか体が腐り始める。卑弥呼は未知の感染症を患っていたのだ、そのため自分から進んで墓に入ったと考えた方がよそさそうだ。
この未知の病原菌が世界に蔓延すれば大変なことになるとララとリチャードは考えるのだが。ヴォーゲルは注意深く遺体からサンプルをビニールの袋に詰める・・・持ち帰るつもりだ。
ララとリチャードはスキを見てヴォーゲルとその部下に飛びかかる。ヴォーゲルは慌てて出口に向かって逃げる。リチャードは感染した兵士に振れたため手が腐り始めていた。彼は「卑弥呼の墓」に爆薬を仕掛けるとララに早くヴォーゲルを追えと娘を突き放す。
ララは泣きながらヴォーゲルを追う。暫くして「卑弥呼の墓」は爆薬によって破壊される。ララはヴォーゲルを捉え格闘の末、底の見えない地下に突き落とす。その時、爆発の影響でトンネルが崩れ始める。ララは切り立った崖を飛び越えやっとの思いで生還する。
地上ではルー・レンが組織した反乱軍によって敵の兵士たちを制圧していた。そして迎えに来たヘリコプターを乗っ取ると国への帰途に就く。
イギリスに戻ったララは父の財産移管書類にサインし、クロフト財団の社長となる。会社の運営は引き続きアナ・ミラー(クリスティン・スコット・トーマス)に任せる。ララがクロフト社の財産目録を確認している時に、何とそのなかには「トリニティ」の名前が見つかる。
果たして誰がこの秘密組織を動かしていたのか・・・アナなのか。
レビュー
この映画は2013年に発売され1,100万本を超えるヒットを記録したゲーム「トゥームレイダー」リブート版がもとになっている。だからこのゲームのファンが押し寄せることを見込んでいる。やはり「邪馬台国」の遺跡が舞台だ。
「卑弥呼」とは中国の「魏志倭人伝」などに記されている、倭国(日本列島にあった国家)の女王だ。247年ごろに邪馬台国に都をおいたとされる。邪馬台国は今の九州か近畿など色々な説があって結論は出ていない。
「卑弥呼」は鬼道で衆を惑わしたとの説がある。鬼道とは中国道教(漢民族の宗教のひとつ)とも考えられている。この映画では「卑弥呼」を冥王のように解釈し、彼女の魔力によって多くの人間が亡くなっている。しかし、伝説はそうであっても実際の彼女は自分から進んで墓に入った賢人だと解釈を変えている。
「卑弥呼」が出て来ることから、日本が舞台になるかと思ったが日本人も誰一人出て来ないし、日本でのロケも行われていない。撮影はイギリスと南アフリカ共和国のケープタウンで行われている。
今回の「お宝」は二作目と同じように「人類が抗体を持たない未知の感染症」だ。しかしこの菌が千何百年も生き続けているとは思われない。しかも爆発させてしまえば粉々になった菌が空中に飛散してしまう。あまりにも非現実的な設定に首をかしげてしまうが、まあ映画だからとムキになる必要もない。
そして最後のオチとして敵対してきた秘密組織「トリニティ」がクロフト財団の子会社であったとは・・・。つまり自分の会社の中にリチャード・クロフトに敵対する勢力が隠れていたことになる。
物語は意表を突くストーリー展開になっていない。もう一ひねり欲しかったね。次回があれば期待しよう。
TATSUTATSU
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