サマリー
★★☆☆☆(そこそこ面白い)
2020年7月日本公開のアメリカ・ポルトガル・マレーシア合作ホラー映画
監督・脚本 リチャード・スタンリー(アウト・オブ・スペース-遭遇-)
原作 H・P・ラヴクラフト「宇宙からの色」
出演 ●ニコラス・ケイジ(リービング・ラスベガス、ワールド・トレード・センター、スノーデン、キック・アス、アウト・オブ・スペース-遭遇-)
●ジョエリー・リチャードソン(レッド・ライト、スノーデン、レッド・スパロー、アウト・オブ・スペース-遭遇-)
僕はけっこうニコラス・ケイジが好きなんだけど、最近の彼は劣化が激しい。この映画もハチャメチャなのだ。まるで「遊星からの物体X」と「シャイニング」「アナイアレイション-全滅領域-」を掛け合わせたような訳の分からないSFホラーになってしまっている。
このホラーは光と音の饗宴と言える。冒頭部分はなかなかいいのだがニコラス・ケイジが狂い始めてから急におかしくなる。宇宙からの隕石は何のために落下してきたのか。そして隕石の中には何がいるのか。その何かは家族をどうしようとするのか・・・。
話のスジを少し紹介すると。静かな森の中に居を構えた5人の家族に悲劇が起こる。それは彼らの家の前にピンク色の光とともに落ちてきた巨大な隕石から始まる。その隕石はピンクともパープルとも表現できない不思議な光で輝く。そして異臭を漂わす。
保安官や市長がこの隕石を確かめに来るが数日で忽然と消えてしまう。ネイサン・ガードナー(ニコラス・ケイジ)は妻のテレサ(ジョエリー・リチャードソン)、長男ベニー(ブレンダン・マイヤー)、長女ラヴィニア(マデリン・アーサー)、次男ジャック(ジュリアン・ヒリアード)とこの地で暮らしている。
落下した隕石に雷が落ち、激しい光を放つ。ジャックは隕石が落ちた近くにある井戸には何かがいると言う。そしてそいつは何かをこちらに話し始めると・・・。
そんな時にウォード・フィリップ(エリオット・ナイト)と言う若い水文学者が現れる。彼は水が汚染されているから飲むなと忠告しに来る。この地は何年か先にはダムの底になる。彼はダム工事を行う企業の社員だ。
井戸は激しい光を放つ、この光によってネイサンやテレサはおかしくなってゆく。井戸の周りから生態系が変わったように植物や木や昆虫が突然変異を起こしたように変貌してゆく。トマトは奇形化し、食用にならない。
激しい光が発生する。この光からジャックを守ろうとしたテレサはとっさに彼を抱きかかえるがその結果二人は合体し得体の知れない物体となってしまう。異常な物体を屋根裏部屋に運ぶ。合体した2人は空腹を訴える。
そして家畜として飼っていたアルパカたちも光によって合体し不思議な生き物となって吠え続ける。ネイサンはシャワーを浴びたがその水によって体に異変が起こる。彼も狂い始め猟銃を持ち出して異常な生物を撃ち殺す。そして残された家族はどうなってしまうのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
ネイサンは狂い始める。妻のテレサと次男ジャックが合体した怪物に長女ラヴィニアを食わそうとする。何とか危機を脱したラヴィニアは長男ベニーと馬で逃走しようと考えるがその馬にも逃げられてしまう。
2人で走って逃げようとしたところベニーが井戸に愛犬がいるとのぞき込む。ところがベニーも光にやられてしまう。そして最後に残ったラヴィニアまでもが強烈な色に捕らえられる。
暫くしてウォードがネイサン宅に現れると家族は全員紫の光に捕らわれ今にも何処かに行こうとしていた。ウォードは慌てて地下室に逃げ込むが家族は光とともに宇宙に向かって旅立ったようだ。
何年か後、この地域はダムの底に沈んだ。ウォードはダムに立って空を見上げる。
レビュー
何とも不思議な物語だ。ネイサン一家はガス状に変異しピンクやパープルの光とともに宇宙に飛び出す。これから旅を続けて宇宙を彷徨うのか?
原作では隕石の中に閉じ込められていたものは宇宙生物「カラー」となっている。この生物の幼生はゼラチン状の物質であるが成長すると実態を持たないガス状の生命体になる。
この宇宙生物「カラー」は他の生物の生命力をエサとして成長する。この「カラー」に影響を受けた人間は発狂する。そして生命力と色彩を失い灰色になって崩れてゆく。この「カラー」を倒す方法は不明だ。
残念ながら世界であまりヒットしなかったようだ。しかし、ニコラス・ケイジの怪演を見れるのがこの映画の救いかもしれない。彼の狂った演技に絶賛だ。
TATSUTATSU
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