サマリー
明けましておめでとうござます。今年もよろしくね。コメント待ってます。
今回の「攻殻」も難解だなー、早い話「分るまで繰り返し見ろ」と言うことかな。攻殻機動隊が公安9課に所属するまでが舞台になっている。
義体(サイボーグ化)、電脳(電子知能)、ネット(電脳化された脳がネットによって世界中に繋がる)社会においては、犯罪が高度化している。
遠隔操作義体を使った犯罪がこの映画のキモになっているわけだが、知らないうちに自分の脳がウイルス(ファイア・スターター)によってハッキングされ犯罪を犯してしまう恐怖も出て来る。
国内における一部の軍将校による人質立て籠もり事件(似たような事件が大昔、実際にあったね)や総理大臣の暗殺事件が発生してしまう。
首謀者はいったい誰なのか、また何の目的なのか釈然としない。
映画全体としては、一応合格点はあげられると思うが、やや盛り上がりに欠けるような気がする。特にアクションシーンにおける躍動感と画面の切り取り方を工夫してほしかった。
もっと色彩を鮮やかに、そしてアニメがやや平面的過ぎる・・・・・立体的でなめらかな質感を出して欲しかった。
さらに映画音楽をもっと効果的に使って欲しかった・・・・・・この点は押井監督(GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊、イノセンス)は実にうまい。
草薙素子も少女で色気が無いもっと早く大人用義体にすべきと思う、この辺はジジイファンに気を使ってほしかったなー。
この物語は義体の「デッドエンド」がテーマになっている。「デッドエンド」とは何なのか、さらに第3世界とは・・・・・。
2015年6月公開の劇場用アニメ映画、監督は黄瀬和哉(キセ カズチカ)、原作は士郎正宗のコミック「攻殻機動隊」、脚本は冲方 丁(ウブカタ トウ)、音楽はコーネリアスだ。
声の主な出演者は
草薙素子 ⇒ 坂本真綾 ⇒ 昔、軍隊にいたことから「少佐」と愛称で呼ばれる、グループのリーダー。
バトー ⇒ 松田健一郎 ⇒ 全身義体のパワータイプサイボーグ
トグサ ⇒ 新垣樽助 ⇒ グループ唯一の所帯持ち、体はあまり義体化されていない。
イシカワ ⇒ 咲野俊介 ⇒ 情報収集のプロ、電脳戦のエキスパート
サイトー ⇒ 中國卓郎 ⇒ 狙撃のプロ
パズ ⇒ 上田燿司 ⇒ 聞き込みや内偵のプロ
ボーマ ⇒ 中井和哉 ⇒ 電脳戦と爆破のプロ
荒巻大輔 ⇒ 塾 一久 ⇒ 公安9課のボス「サル親父」と愛称で呼ばれるが、切れ者である。
クルツ ⇒ 浅野まゆみ ⇒ 少佐の昔の上司、陸軍特科501機関の責任者 中佐。
藤本 修 ⇒ NAOTO(EXILE 三代目J Soul Brothers) ⇒ 内閣総理大臣補佐官
さあ是非「攻殻」の世界にどっぷり浸かるのも、たまにはいいですよ。
「攻殻機動隊のすべてが分かる映画・テレビドラマベスト6」も見てね。
「攻殻機動隊S.A.C.Individual Eleven」も見てね
「攻殻機動隊SAC_2045」も見てね。
ハリウッド版「ゴースト・イン・ザ・シェル」を4月7日に見てきましたよ・・・まあまあかな。
ストーリー
2029年3月ニューポート・シティにおいて東亜連合経済体の大使館が国防省を庁に降格させることに不満を抱いた軍の将校11名によって占拠される。人質は42名で、そのうち幹部6名はパニックルームに逃げ込んだらしい。
彼らの要求は国防省の維持と軍事裁判の中止の二つである。
公安9課の荒巻部長以下200名の警察官が建物を包囲するが、手出しできない。そこに少佐(草薙素子)たち7名のメンバーの招集がかかる。
少佐(草薙素子)は荒巻部長にうちで対処するから手を引けと通達する。彼女のバックには内閣総理大臣補佐官の藤本修(藤本総理大臣の長男)が付いて、既に出動の了解ももらっている。
彼女達は直ぐに行動に移す。機動隊としての最高のチームワークで難なく10名を捕え、人質を無事解放しミッションが終了したと思われたとき、人質の内3名が電脳をハッキングされ、銃を持って捕えた将校を全員撃ち殺してしまう・・・・・いったい誰の仕業か。
また、将校の内1名が遠隔操作義体で、ゴーストロックが効かない・・・・・・義体を壊すしかない。
さらに少佐と全く同じ義体を持った者(12名目)が建物の外にいた。彼女が全てをコントロールしていたのか、残念ながら逃げられてしまった。
そんな時に突然、内閣総理大臣藤本彰が暗殺(爆死)されたとの最重要情報が入ってくる。少佐のかつての上司クルツ中佐も巻き添えをくって死んでいた。
総理は死ぬ前に命令書を発行しようとしていた・・・・・その中身は不明である。
情報船にのり込むトグサ
爆発したものは、アタッシュケースだ、しかしこれを開けることが出来るのは、総理と側近のみである。ケースに爆弾を仕込むことが出来るのは限られる。
調査の結果、総理の暗殺には陸軍のナダ大佐、国防省の北原副大臣がかかわり、彼らが何者かに操られていたことが判明した。
そしてファイア・スターターウイルス(電脳をハッキング出来るウイルス)の発信元は新居浜沖に浮かぶ情報艦船らしい。この国籍不明の情報艦船を制圧し、総理の暗殺の首謀者を捕まえなければならない。
果たして総理大臣を暗殺した者は誰であろうか、そして少佐の同型義体を操っている者は誰であろうか、是非映画を観て頂きたい。
ネタバレ
<ここから先はネタバレするから映画を観てから読んでね>
船に乗り込んだところ、二機の戦車と7名の敵に遭遇したが、これを撃破、船に乗っていたナダ大佐を確保した。しかし彼も遠隔操作義体であった・・・・・・いったい黒幕は誰であろうか謎が謎をよんで行く。
さらにこの船籍不明の情報船は国内の諜報活動に使われており、米国が絡んでいるようだ、しかも国の幹部の一部が容認しているらしい・・・・・これが知れたら大スキャンダルに発展する。
少佐は情報船の中で大変な秘密を掴んだらしい、彼女はメンバー6名を解散させ、単独で事件の捜査を継続してゆく。残された6名は取りあえず公安9課に所属することとなる。
北原副大臣が殺害された、そしてナダ大佐は未だに行方不明だ。ところがナダ大佐は偽の情報を植え付けられ別人なっていたことが判明する。
藤本補佐官
少佐は藤本補佐官に会う、そして彼が敵にハッキングされ、爆発物の入ったケースを総理大臣に渡していたことが判明する。
補佐官は自分の手で総理である父親を殺すことになる。事実を知って彼は泣き崩れる。
そして彼女は総理と一緒に亡くなったクルツ中佐の遺体を調べたところ、やはりこれも遠隔操作義体であった。
少佐は自分のかつての出身部署501機関が怪しいとにらむ(「デッドエンド」回避策が記録されているらしい)。しかもこの機関は国からハリマダラ社に民営移管されていた。
少佐は501機関にのり込む、そしてサーバーに侵入し、黒幕を探ろうとしたがイバチ、サイゾーなどの501機関のメンバーに行く手をさえぎられ瀕死の重傷を負う。
そして驚くことに、少佐の同型義体がここにいた、彼女に殺されそうになった少佐を、突如として現れたバトー達とデジコマに助けられる。
少佐は自分の同型義体を捕え、彼女経由でクルツの本体と場所を発見する。
その場所とは少佐が育った孤児院であり、クルツ本体はクリスと言う名の少女であった。カプセルに入っていた彼女は成長不全でいつまでも子供の姿をしている。
クリスがクルツ中佐や少佐の同型義体、その他多くの遠隔操作義体を操ってきたのだ。そしてファイア・スターターも彼女が作り出していた。彼女は今にも水葬にされつつあった、自分の意志で。彼女は第3世界に行こうとしているのか・・・・・。
この孤児院の責任者がこの一連の事件に絡んでいた(金儲けの為か)、彼は公安9課に逮捕される。彼がクリスを操っていたようである。彼は最後に「死者の名前を探すのはやめた方がいい」と少佐に言い残す・・・・どう言う意味か。
少佐は最後の仕事として、総理大臣を暗殺した黒幕、極東通商代表ロバート・リーを窓の外から射殺する。
レビュー
この映画のテーマ「デッドエンド」とは、拡張機能を持たない義体は、その規格が新しくバージョンアップされた場合、適応出来ない。そのうち古い規格の義体部品が生産されなくなり、部品の劣化とともに義体が死に絶えてゆくことである。
この「デッドエンド」回避策として、総理、クルツ中佐、東亜連合経済体のリチャード大使は、義体の技術開発を遅らせ、新規格の作成を先延ばししようとしていた。その為、極東通商代表ロバート・リーに暗殺される。
極東通商代表ロバート・リーは義体の規格をバージョンアップし、新規格で作られる義体の市場シェアを独占して膨大な利益を上げようとしていた。少佐の同型義体はこの極悪非道のロバート・リーと組んでいた。
クリスはクルツ中佐と少佐の同型義体を同時に操っていた、つまり「デッドエンド」回避策がどちらに転んでも利益が出るように画策していたようだ。
クリスの精神は遠隔操作義体を操ることによって、徐々に精神分裂しかかっていたのではないかと思う。つまり善は⇒クルツ中佐、悪は⇒少佐の同型義体に、そして精神的暴走に歯止めをかけるため自殺したのではないかと・・・・。
あるいは、クリスは「第3世界」(人でも物でもない、自分自身をデーターに置き換えネットサーバーの世界で永遠に生きること)に逃げようとしたのか・・・・・。この物語では、この技術は都市伝説と言われるレベルで、まだ実現されていないようだ。
「攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL」ではこの「第3世界」らしきものが存在しており、少佐の魂もインターネットの海の中に消えてしまっている。
「第3世界」の考え方は、「LUCY/ルーシー」や「トランセンデンス」にも出て来るので参考にしてね。
しかし、孤児院の院長らしき男が少佐に向かって「死者の名を探すのはやめた方がいい」と言っている。これは水葬にされたクリスのことなのか?クリスは結局「第3世界」に行く方法を見つけてしまったのか・・・。
「攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL」で少佐がネットの海で生まれたらしい生命体と合体する場面がある、あれはクリスのなれの果てなのか・・・・・もしそうであれば、この映画と押井「攻殻」は繋がっている。
さらに、この映画は押井「攻殻」と神山「攻殻」のオマージュ(尊敬する作品に影響を受け、似たような作品を作る事)満載である。僕は出来れば押井監督「イノセンス」のその後が見てみたい。
少佐(草薙素子)の生い立ちが出てくる。彼女は化学兵器に汚染された母親の遺体から取り出された0才児の脳と脊髄の一部を全身義体に組み込み生かされてきたらしい。
この研究は501機関(陸軍特科501機関:戦争義体の開発と育成のために設けられた機関)で行われ、義体研究のもとになっていたらしい。ちなみに少佐の義体は拡張機能付きの最新式のものであるらしい。
この時代では国や民族よりも企業集合体が大きな力を持っている。政府は時代遅れと言っている。ネットの海が全ての垣根(国、民族、地域、言語)を取り除いてしまっている。
確かにアップル(映画「スティーブ・ジョブズ」)なんかは売上20兆円、時価総額80兆円を難なく超える、この金額は小国のGDPをはるかに超えている。将来、多国籍企業が国よりも強大な権力を握るかもしれない。
メンバーは少佐の事を「怖い雌ゴリラ」と愛着を込めて呼んでいる。また少佐はメンバーの事を「最高のパーツ」だと最上級の褒め言葉でたたえている。少女が屈強な大男達をアゴでこき使っている逆転現象が受けている。
辰々
わかりやすい解説ありがとうございます。
こちらの映画、面白かったのですが、少し難しいなあと思っていたところ、記事を拝読して理解が深まりました。
攻殻機動隊は昔から好きでした。今回、ネットフリックスで新たな攻殻がスタートしました。楽しみですね。
その影響もあってまさに攻殻機動隊シリーズを色々と観ています笑。
非常に考えさせられる作品で、とても楽しいです。
攻殻機動隊はけっこう複雑なドラマです。誰が敵やら味方か分からない場合があります。でもそんなところに魅力を感じますね。
また、遊びに来てください。