歴史映画

映画「観相師」感想・評価:恐ろしい未来を観てしまう天才的観相師、彼が見た未来とは

サマリー


映画『観相師-かんそうし-』予告編

2013年公開の韓国映画でハン・ジェリム監督、ソン・ガンホ主演である。韓国のアカデミー賞と言われる「大鐘賞」6部門受賞、観客動員数913万人を突破した大作である。

15世中期に国家を揺るがせた実在のクーデター「ケユジョンナン」を題材に、朝鮮王朝史上最も凄惨な覇権争いを映画化したものである。

観相師(カンソウシ)とは人相を見ることによって、その人の過去から未来までの人生を言い当てる達人のことである。

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王の弟、首陽大君(イ・ジョンジェ)

天才的観相師をソン・ガンホ(代表作:殺人の追憶スノーピアサー)が演じる、彼が見た王の弟の人相は天下を転覆させる、逆賊の悪相であった・・・・・彼は激しく動揺する。

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観相師キム・ギョン(ソン・ガンホ)と義理の弟ペンホン(チョ・ジョンソク)

平和な世の中がふたたび動乱の世になる未来を見てしまう。彼は何とかしてこれを回避すべく策略を練る、しかしうまく行きかけた策略が足元からほころび最も恐れた結果となってしまう。

観相師が見た未来は、どんなことをしても変えることが出来ないのか、それとも未来を占うことは幻想なのか。

前半はコミカルなスローテンポの展開で心配したが、後半はどんでん返しの連続で、観る者を飽きさせない、是非自分の目で確かめて頂きたい、お薦め映画です。

ストーリー

ストーリーを少し紹介すると、観相師キム・ギョン(ソン・ガンホ)と義理の弟ペンホン(チョ・ジョンソク:王の涙)そしてキムの息子ジニョン(イ・ジョンソク)は寂れた漁村に住んでいた。

ある日、天才観相師キム・ギョンのうわさを聞いた芸妓ヨノン(キム・ヘス)が現れる。是非都に来て私のところで働いてみないかと。

息子のジニョンが名を偽って科挙の試験を受けに都に行くことから、キムも芸妓ヨノンの申し入れを受けることとした。

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息子ジニョン(イ・ジョンソク)

さっそく都で観相師の仕事をすることになったキムは次々と才能を現す、その天下一の評判は王の耳にまで届くようになる。

ある日暗闇を忍んで来た王から、重臣の人相を見て逆賊がいないか判断してほしいと依頼される。(王は重い病に罹っていた。)キムの見立では危険人物はいないとのことであった。

王は安心してあの世に行く、後に残された皇子は幼くして王位に付く。

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ところが王の弟、首陽大君(イ・ジョンジェ)は影武者をキムに見せていたことが分かる。首陽大君の人相を見てキムは驚き、激しく動揺する、まぎれもない逆賊の悪相であった。(喉元に食らいついたら離れない狼のごとき残忍な性格を見抜いてしまう。)

キムは虎と呼ばれる左議政キム・ジョンソ(ペク・ユンシク)にこのことを相談する。左議政(現代の副首相)は首陽大君を失脚させるよう若い王に進言するが、叔父がそんなことをするはずがないと話を退ける。

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新しい王

キムは一計を案じ、医者を装い首陽大君の寝室に忍び込む。そして眠り薬を嗅がせ額に三つのほくろを皮膚の下に描く。・・・・・このほくろの相は過去の歴史の中で逆賊といわれたものの象徴である。

王は首陽大君の額のほくろを見て恐れおののく・・・・・・そして彼の暗殺計画を承諾する。

果たして左議政キム・ジョンソによる、首陽大君の暗殺はうまく運ぶのか見てのお楽しみである。

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左議政キム・ジョンソ(ペク・ユンシク)

ネタバレ

キムの息子ジニョンは科挙の試験を首席で通り、官吏に採用されていた。ところが左議政キム・ジョンソが官職に推挙した人物をジニョンは王に直訴し採用を取り下げさせる。(その男が悪人であることをジニョンは知っていた。)

怒った左議政キム・ジョンソは刺客を使い、ジニョンの目を失明させる。(ジニョンの目を失明させたのは首陽大君が首曲がりの男に命じたようです。

これを知ったキムの弟ペンホンは逆上して、暗殺計画を首陽大君にバラしてしまう。

首陽大君の動きは素早かった、次から次へと王の重臣を暗殺し、左議政キム・ジョンソまでもが殺されてしまう。そして政権を完全に掌握し王になる。

さらにキムの息子ジニョンも殺されてしまう。

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しばらくたってから、首曲りと言われた男がキムを訪ねてくる。彼はキムに付きまとい、キムの動静を首陽大君に逐一報告してきた影の策士であった。しかし今では高官になっていた。

キムは昔を語る「私は波を見ていただけだった、波を起こすのは風である、その風を見誤っていた」そして「首陽大君が天下を取るのは必然であった」と。

首曲りの男に対しキムは「あなたは高い波に乗っただけ、その波も今に落ちる」と、そして「あなたは首をはねられる相だ」とも言った。

首曲りの男はキムの言葉を信じ、敵を作らず慎重に生き、大出世を遂げ天寿を全うした。

ところが後年、謀反に加担したことが暴かれる・・・・墓を掘り起こされ死体の首をはねられたとのことである。

観相師キム・ギョンは、他人の未来を見ることは出来たが、自分の未来を見通すことは出来なかった。そして彼が見た未来は、決して変えられないものであることを悟ったようである。

まあ、現代においては自分の未来は自分で切り拓くものだと思うけどね・・・・・・・・。

TATSUTATSU

ミステリー小説「人相の謎」人相は自分の人生が映る鏡のようなもの

ミステリー小説「死相が顔に現れる」その人は死んでしまうのか、死を回避できるのか

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コメント

    • 和泉
    • 2019年 9月 18日 2:38am

    観相師を観て、こちらのページに辿り着きました。
    ジニョンを失明させたのは、キムジョンソではなく、首陽大君だと思います。首陽大君(または首曲がり?)が観相師キムの息子がジニョンと言うことを知り、キムジョンソがジニョンに対して怒った事を利用して、犯行に及んだと思います。観相師キムとジニョンが仲良くしている姿が写り、(暗くてわからなかったですが)首曲がり?たちが笑いながら話してるシーンがあるからです。

    個人的には、観相師キムが、首陽大君のホクロを作ったことが、首陽大君を貶める為であったにも関わらず、逆に、本当の逆賊になる相を作り出した…というところが鳥肌が立ちました。

      • tatsutatsu
      • 2019年 9月 18日 9:00pm

      和泉 様

      コメントありがとうございます。ジニョンを失明させたのはご指摘の通り、首曲がりの男だと思います。再度見返してみます。この映画のポイントは最後に書きましたが「観相師キムは未来を見ることのできる天才でありながら未来は変えることが出来なかった」点だと思います。そして自分自身だけでなく弟と息子の未来も見ることが出来なかった。自分の未来は既に決まっていて変えられないと投げやりになっています。しかし、現実には未来は努力次第で変えられるものだと思います。TATSTTATSU

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