ストーリー
日々、暮らしにくくなっている昨今、何によりどころを求めればよいのか。何もしなければ時間だけが過ぎてゆく。かといって、自分にノルマを与えすぎるとメンタルに来てしまう。そんな時の箸休めに「寝る前の5分間で読むチョイ恐ミステリー」でものぞいてみて。
よく人生の岐路には魔物が住むという。自分がどちらの道に行くべきか悩み眠れない。じっくり考えて選択した道が間違っていたら。あなたは引き返すことは出来るのか。引き返すと言うことは自分の周りにいる多くの人々を傷つけることになる。
そもそも、自分の人生なんか自分で決められるのか・・・。多くの場合自分の未来を他人にゆだねている。僕は長いサラリーマン時代、自分の希望が通ったことがほとんどない。
上司は部下を客観的に見ることが出来る。部下だって上司を勝手に評価している。しかし、自分自身の評価となるとどうしても主観が入ってゆるくなりがちだ。そこに魔物が付け入る。
話は変わるが、僕の新入社員時代、同期が10人いた。入社して本社で集合教育が1年続く。ここで僕らは憧れの女性に出会うことになる。美人で明るく気立てがいい、仮にA子さんと呼ぶ。
同期10人の内、彼女のいる奴もいたから、全員がA子さんにのぼせ上がることは無い。でもやっぱりみんな気になる。僕らの誰がA子さんにアプローチするかが話題の中心だ。
ところが2年先輩にあっという間にかっさわられてしまった。僕らはため息をつくしかなかった。5年くらいたっただろうか、A子さんが突如亡くなった。脳腫瘍だった。先輩の落ち込みようは見てられないほどだった。A子さんは魔物に連れていかれたのか・・・。
人生には転機がある。高校受験、大学受験、就職、結婚、転勤、昇進、転職・・・・永遠と続く。幸運が続くことはない、逆に悪いことも続かない。振り返ってみると人生プラスマイナス0かも知れない。
同期トップのエリートコースを歩む男がいた。海外支社長に抜擢され、ある国に家族と一緒に転勤した。ところが子供たちが環境になじめず、精神的に追い詰められ、早々と帰国してしまった。
ある友人から聞いた話だが部長に昇進した男がいた。会社の重要会議に出席し、夕方、会食となった。彼は精神が高揚し舞い上がってしまった。タクシーを拾って家に帰ったが、重要書類を置き忘れてしまったことに気が付く。
慌ててタクシー会社に問い合わせ、書類があることに安心した。夜中ではあったが書類を取りに行く羽目になった。日頃、こんなミスをする男ではないが部長昇進の喜びにスキが出来てしまった。そんな時、魔物がそのすきを突くのだ。
誰からも一目置かれて優秀な男がいた。彼は同期トップで重要な部署の責任者に抜擢される・・・将来の重役候補だ。ところが部下が大きな不祥事を起こす。せっかく昇進したのに降格させられた。
数年先、彼は2度目のチャンスをもらう。そして順調に出世の階段を駆け上がっていった。敗者復活の精神はどこの会社でもある。人生においても、やり直しがきくのがこの世界のいいとこだ。魔物は2回も追ってこないようだ。
僕は不思議な夢を見た。東京都心の昼、半地下の食堂街をさまよっている。色々なお店があったが何を食べたいのかなかなか決まらない。僕はレストランを見まわす。何人かの知った顔が僕に微笑む。ほとんどの人は僕に無関心だ。
ところがよく見ると群衆に混じって何人かの灰色の人々がいた。彼らは僕を険しい目で見る。果たして人間なのか魔物なのか・・・僕は怖くなって食事もとらないでその場を後にする・・・そして目が覚める。
人生は長い、幸運が続くと不安になる。大きな落とし穴がこの先待っている気がする。逆に不運が続くと次は幸運が来るような気がする。
過去や未来を思い浮かべるのは人間だけだそうだ。動物は現在のみを生きている。そして「死」と言うものを知らない。こちらの方が気が楽だ。年を取ってくると毎日。歯を食いしばって生きている。何事をするにも食いしばらないと力が出ないからだ。歯は知らず知らずのうちすり減ってゆく。
いっそのこと、人生の転機に現れる魔物と仲良くしてはどうかとも思う。実は「魔導書」と呼ばれる悪魔、天使、霊を操る方法が書かれた書物がある。
これらの概念は新石器時代からある。大昔の人類は得体の知れない何かが存在するのを感じていた。そして人々はその「何か」をコントロールする方法を試行錯誤を繰り返しながら確立していった。
例えば、悪魔祓い、占星術、風水学、精霊召喚・・・・非常に多くの儀式がある。僕は残念ながらこれらのことに懐疑的だ。でも「大吉」のおみくじ、家内安全の御札、魔よけの置物なんかは活用している。知らず知らずのうちに神にすがっているのだ。
よく「あいつは何かを持っている」とか「彼女は運がいい」とか「あの人といると幸運がめぐってくる」など世の中には「運」を味方につけている人たちがいる。これは事実だ。
彼らがどうやって「運」を引き寄せているのか、こそっと教えてもらうのもいいかもしれない。「魔導書」を研究しろとは言わないが、魔物をうまく味方につけるか、魔物に遭遇しない生き方もアリだと思うネ。
TATSUTATSU
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