サマリー
★★☆☆☆(そこそこ面白い)
2019年6月日本公開のアメリカ製作ブラック・コメディ
監督 ハンス・ペテル・モランド(スノー・ロワイヤル)
原作 ハンス・ペテル・モランド「ファイティング・ダディ怒りの除雪車」
出演 ●リーアム・ニーソン(シンドラーのリスト、スター・ウォーズシリーズ、キングダム・オブ・ヘブン、96時間シリーズ、フライト・ゲーム、誘拐の掟、スノー・ロワイヤル)
●ローラ・ダーン(スター・ウォーズ/最後のジェダイ、スノー・ロワイヤル)
●エミー・ロッサム(スノー・ロワイヤル)
「96時間」を想像しない方がいい・・・リーアムがあまりカッコよくないからだ。些細な勘違いから最終的に敵対するマフィアの抗争にまで発展する。賛否の別れるドラマだ。シリアスとコメディの間を行ったり来たりのドラマ展開は果たして万人受けするのか?
とにかく、勘違いばかりの起こるストーリーで、この「ズレ」が微妙な面白さを誘う。残酷な映画なんだけど「ズレ」のおかげでこっけいで、不思議な魅力を放つ。ほとんどの登場人物が主人公とは関係のない場面で命を落として行く・・・こんなことアリなの?
主人公のネルズ(リーアム・ニーソン)は真っ当な除雪作業員。長い間、都会とリゾートを結ぶ道路の除雪を行ってきた。そして模範市民賞までもらっている。ところが息子がマフィアに間違って殺される。
ネルズはキレる。彼は誰が息子を殺したのか調べ上げてゆくが何しろ真面目な男だから手際が悪いし経験が無い。しかし、犯罪小説をマニアルがわりに行動する。まず、息子の同僚を問い詰める。こいつがマフィアの麻薬をかすめたために間違って息子が殺された。
ネルズは息子の同僚を痛めつけ口を割らせて殺害する。手がかりは「スピード」と言う男だ。こいつも痛めつけ口を割らせて殺害する。さらに「リンボー」と言う男に行き着く。3人の死体は金網を撒いて川に投げ込む。息子を殺したのは麻薬王「バイキング」(トム・ベイトマン)であることを付きとめる。
ところが、3人の仲間は敵対するネイティブ・アメリカン系マフィア「ホワイトブル」(トム・ジャクソン)にやられたと勘違いした麻薬王「バイキング」は彼の息子を殺害する。息子を失った「ホワイトブル」は「バイキング」に戦いを挑む。
ネルズは麻薬王バイキングを殺そうとするが警備が厳しく近寄れない。彼は兄の「ウイングマン」(ウィリアム・フォーサイス)に相談する。兄はヒットマンを雇えと弟に「エスキモー」を紹介してくれた。
ところが「エスキモー」は金をもらっておきながらネルズをバイキングにちくる。バイキングは不義理したエスキモーを殺害する。そしてこともあろうか、ネルズと間違え同じ苗字の兄ウイングマンを殺害する。
ネルズは最後の手段としてバイキングの息子ライアンを誘拐する。果たして彼の復讐劇は完遂するのか・・・・。
その後のストーリーとネタバレ
ネルズはバイキングの息子ライアンを自宅に監禁する。ところがライアンは寝る前に本を読んで欲しいと要求する。ネルズは適当な本が無いので除雪車の取り扱い説明書を読んでやる。
次の日、この場所に来るバイキングたちを迎え撃つ。ところがネルズは彼らに簡単に捕まってしまう。その時、突如現れた「ホワイトブル」達によって銃撃戦が始まる。
この戦いの中で両者はほとんど相撃ちになり次々と死んでゆく。バイキングも殺される。ネルズは大型の除雪車を動かし応戦する。しかし、運転席に「ホワイトブル」が銃を持って乗り込んでくる。
ネルズは動じない。黙々といつもの通り除雪を始める。隣に乗り込んだ「ホワイトブル」はうつらうつらするがネルズはいつまでも除雪を続ける。空から舞い降りてきた飛ぶために生まれてきた男「アバランチ」が除雪車に吸い込まれ粉々になる。それでもネルズは除雪を続ける・・・。
レビュー
結末が実にあっけない。隣にネイティブアメリカンの「ホワイトブル」を乗せたままネルズは除雪を続けてゆく。何ともシュールな終わり方だ。それに付け加えるように「ホワイトブル」の手下「アバランチ」が除雪車に吸い込まれ細切れになって行く・・・このシーン必要なのかな?
監督のハンス・ペテル・モランドはノルウェーの鬼才と呼ばれており、ノルウェー版も彼が監督をしている(主演はステラン・スカルスガルド)。今回、セルフリメイクだ。
何とも人を食ったストーリーに唖然としてしまうがこれがハンス・ペテル・モランド流なのか。コメディともサスペンスとも言い難い、この中途半端さがこの映画の魅力かも知れない。
TATSUTATSU
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