サマリー
★★☆☆☆(そこそこ面白い)
2018年12月公開のホラー映画
監督・脚本 中島哲也(告白、渇き。、来る)
原作 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
出演 ●岡田准一(海賊と呼ばれた男、関ケ原、散り椿、来る)
●黒木華(母と暮せば、散り椿、日日是好日、来る)
●小松菜奈(来る)
●妻夫木聡(来る)
●松たか子(告白、来る)
●柴田理恵(来る)
https://youtu.be/oHK9zj8cNd0
来る、来ると言いながらたいしたモノは来なかった・・・と言うのが僕の感想だ。それに、ホラーもここまでくるとコメディかと思ってしまうほど滑稽な演出だ。
「クワイエット・プレイス」や「死霊館のシスター」と比較すると、恐怖度は1ランクから2ランクほど落ちる。この程度のホラーでは夏に勝負した方が良かったのでは。賛否両論をまき散らす映画だと思う。でもコメディだと思って見ればけっこういけるかもしれない。
三重県に伝わる架空の怪物「ぼぎわん」が自分を暗闇に引きづり込もうとやってくる。大昔には子供が鬼にさらわれたとか天狗にさらわれたとか言われるのは大人の嘘だ。本当は口減らしの為親が子供を殺して埋めたのを失踪として取り繕っているだけ。それらの子供たちの怨念が巨大な「何か」になって襲ってくるのか。
この作品はホラーと言うより、人間の醜い裏の顔を暴くサイコドラマと言う方がぴったり。一見、幸せいっぱいの夫婦に見える田原秀樹(妻夫木聡)と田原香奈(黒木華)。裏の顔は口先だけのお調子者 秀樹、腹の中では何を考えているのか分からない毒女 香奈。黒木華さんの毒婦がしびれるほど怖い。
二人の間に女の子、知紗が生まれるが、香奈は育児ノイローゼで本性を現しキレる。秀樹は「幸せ家族のブログ」を毎日更新するだけで子育てを手伝おうともしない。
香奈は秀樹の親友(本当は親友ではない、秀樹を心の底で軽蔑している)津田大吾(青木崇高)と不倫する。そして知紗を含めた彼らに「あれ」が「来る」。
最初に知紗が狙われる。秀樹は民族学者大吾に救いを求める。彼の紹介でオカルト、政治、風俗ライターの野崎(岡田准一)、その同棲相手のキャバ嬢 真琴(小松菜奈)と会う。真琴は霊能力を持っている。
しかし、真琴の姉 琴子(松たか子)は妹では力不足とタレント霊媒師の逢坂セツ子(柴田理恵)を彼らに合わせる。ところが「あれ」はセツ子を襲い、右腕をもぎ取る。
イモムシがいっぱい出て来る。残念ながら僕はこれが大好きだから怖いどころか、イモムシが可愛い。この映画で僕が一番感心したのは柴田理恵さんの演技だ。「あれ」より柴田さんの方が怖くてちびりそうになる。
そして大トリは松たか子さん扮する琴子の怪演だ。これには演技派の岡田准一さんも真っ青だ。とにかく、柴田理恵と松たか子が見たい人にはお薦めする。
その後のストーリーとネタバレ
琴子の予告通りその「何か」は秀樹のマンションに「来る」。琴子は魔除けとして家の鏡を全て割り、包丁類を仕舞い、廊下に水を入れた茶碗を並べろと指示する。
ところがこれらは全く効力を果たせず、秀樹は胴体を切断され遺体となって転がる。次に香奈と知紗が狙われる。香奈は知紗を連れて逃げ回り、公衆トイレに隠れるが、知紗は連れ去られ、香奈は血だらけの遺体で発見される。
そして香奈の不倫相手 津田にも襲いかかる、彼は考えられないような傷だらけの遺体で見つかる。琴子は「何か」と対決する決心をする。
琴子は警察やさらに上層部の政治家たちとの人脈を駆使し、秀樹のマンションの住民を全て退去させる。理由はガス漏れとか適当に考える。そしてそのマンションの秀樹の部屋に「何か」を迎え入れようと大がかりな儀式を催す。
マンションの入り口に向け白い玉砂利の道を作りそしてそこに祭壇をもうける。祭壇では巫女が舞い、あらゆる宗教家が集まりお祓いを続ける。そして逢坂セツ子も自分の神通力をかけてお祓いを続ける。
「何か」はやってくる。祭壇やお経を唱える坊主どもをなぎ倒し、逢坂セツ子でさえも「何か」の犠牲になる。マンションの部屋では琴子と野崎、真琴が対峙する。「何か」が乗り移った知紗が現われる。琴子は知紗を捕まえ銅鏡の光を顔に当てる・・・白目をむいて知紗は苦しむ。
このままでは知紗が死ぬと思った野崎は琴子から知紗を奪い取って抱きかかえる。琴子は野崎に「何があってもその子を離すな」と言ったとたん、彼はマンションから下へ転落する。運よく植木がクッションになって二人とも助かる。
側に寄ってきた真琴に対し、琴子は「ここは私に任せて逃げなさい」と出口ドアへ彼女を促す。琴子と「何か」の対決だ。マンションのベランダ側のガラス戸を突き破って多量の血しぶきが外部に吹き出る。果たして琴子の運命は・・・。
レビュー
琴子と「何か」の対決はどうなったのか最後まで描かれていない。尻切れトンボで終わった感じがしてどうもしっくりこない。映画のヒット状況によっては続編が作られるのかと勘繰りたくなる。
「何か」の実体がないから、やや迫力不足は否めない・・・小説ならともかく映画では実態を描くことが必要だと思う。そして原作ホラーの「得体の知れない恐怖」が残念ながらあまり感じられなかった。
しかし、黒木華の毒女が見れたし、柴田理恵と松たか子の怪演の凄さを考えるとホラーと言うよりやはりダークコメディだね、そしてこれが味わえただけでも料金の価値がある。
TATSUTATSU
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