邦画

映画「ある男」感想・評価:事故で亡くなった愛していた男の正体とは

サマリー

 


★★★☆☆(お薦め)

2022年11月公開の邦画 亡くなった夫が戸籍とは別人、夫の過去を調べてゆくサスペンス映画
監督 石川(蜜蜂と遠雷
原作 平野刑一郎 長編小説「ある男」
出演 ●妻夫木聡
●安藤サクラ
●窪田正孝

映画『ある男』本予告

 

誰しも過去を消したいと思ったことはあるだろう。実際に戸籍を売買する闇のブローカーが存在する。目の前で知り合った男の本当の正体なんて分かるはずがない。そこは最終的には自分で判断し、間違っていれば自分で責任を取るだけだ。

緻密に作られた映画であるが全編にわたり重苦しくて暗い。人間の持っている闇を暴いてゆく。闇は誰しも持っている。しかし、その闇を暴いてもいい人間と、いけない人間がある。主演は、妻夫木聡だが、この映画の印象では影が薄く、窪田正孝と安藤サクラが強烈な印象を残し映画を乗っ取っている。

ストーリーを少し紹介すると、3年9か月、一緒に暮らした男が別人だった。里枝(安藤サクラ)は実家の文房具店に画材を買いに来た谷口大祐(窪田正孝)と知り合い再婚する。

里枝は前夫と離婚、長男を引き取って実家でつつましく暮らしていた。そんな時に知り合った谷口大祐とは結婚し、幸せな日々を過ごす。大祐は林業を生業にしていた。ところが、山の事故で突然、彼は亡くなる。

一周忌が終わった頃に、大祐の実家に連絡し、兄 谷口恭一がやってくる。遺影を見たところこれは弟ではないとおかしなことを言う。里枝は狐につままれたような不思議な感覚にとらわれる。

自分の愛した男はいったい誰なのだろう。里枝は離婚調停でお世話になった弁護士 城戸(妻夫木聡)に自分と暮らしていた夫・Xのの身元調査を依頼する。

城戸は夫・Xの身元を調査してゆく、そして彼の壮絶な人生を知ることとなる・・・。いったいXとはどんな男なのか。どんな人生を歩んできたのか・・・。

映画の最後にルネ・マグリットの絵「複製禁止」が出てくる。鏡に映る自分の姿だけが後ろを向いている。この絵が映画全体を現している。戸籍を変えたところで自分を別の人間として複製することは出来ない。自分は生まれて死んでゆくまで自分なのだ。

僕は原作を読んでいないが、物語の展開を城戸(妻夫木聡)の視点でサスペンス要素を強く盛り込んで描いた方が良かったと思う。城戸(妻夫木聡)、谷口大祐(窪田正孝)、里枝(安藤サクラ)の三人の視点で描かれているのでストーリーが散漫になってしまった感はぬぐえない。

これは前作の蜜蜂と遠雷でも感じたことだ。いい作品を作るのだが感情移入が出来ない点はもう一つ工夫してほしい。でも料金の価値はある。

 

TATSUTATSU

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