サマリー
2015年日本公開のイギリス・アメリカ映画
監督 サイモン・カーティス(マリリン 7日間の恋)
出演 ヘレン・ミレン(マダム・マロリーと魔法のスパイス)
ライアン・レイノズル(デンジャラス・ラン)
ダニエル・ブリュール(ボーン・アルティメイタム)
ケイティ・ホームズ(ギヴァー 記憶を注ぐ者)
この映画は実に勇気のもらえる映画だ、しかも実話をベースにしている。
正しいと思ったことを着実にやり遂げてゆけば、必ず夢は叶うものだと言うことを教えてくれる。またその志に対して味方になってくれる人々が必ずたくさん出て来てくれることも知る。
クライマックスの裁判のシーンでは胸が締め付けられる。彼女と弁護士は法廷の人々に正当な要求を心から訴えかける。
お薦め映画だ、戦後50年以上も経ってこんなに心を打つ出来事があったなんて・・・・。
82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)はオーストリアの宝と言われたグスタフ・クリムトの名画「アデーレ・ブロッホバウアーの肖像Ⅰ」をオーストリア政府から取り戻そうとする。
彼女はオーストリア人であるが、ナチスの迫害によってアメリカに逃れてきた。この肖像画は今では100億円以上の価値がある。
この絵を描かせたのは彼女の叔父であり、モデルとなったのは叔母のアデーレであった。子供のいなかった叔父は遺産を甥や姪たちに引き継がせる遺言状を残す。
ところがこれらの資産のほとんどはナチスによって奪い取られていた。そして戦後この絵はオーストリアの美術館に展示されていた。
今ではこの絵の正当な相続人はマリア・アルトマンだけになってしまっている。彼女は亡き姉がこの絵を取り戻そうとしていたことを知り、その意思を引き継ぐ。
彼女は親戚の新米弁護士ランディ(ライアン・レイノズル)を頼る。彼は当初 金目当てで協力するが、ナチスに迫害され、全てを奪い取られたマリアと接するうちに、自分が借金してでもこの仕事をやり遂げることを決意する。
実は彼の先祖もオーストリア出身のユダヤ人であった。
その後のストーリーとネタバレ
オーストリア政府との交渉は難航を極め、相手は持久戦を仕掛けてくる。マリアの寿命がもうそう長くないことを見越した戦術だ。
ランディ弁護士は法律を丹念に調べ上げ、アメリカで裁判が出来ることを知る。彼は過去の判例を調べ上げ万全な準備をして裁判に臨んでゆく・・・・・。
マリア・アルトマンを演じるヘレン・ミレンが芯が強くエレガントでユーモアを兼ね備えた女性をうまく演じる。
また新米弁護士ランディをライアン・レイノズルが演じていて好感が持てる。彼は当初頼りない男であったが経験を積むことによってたくましく変貌してゆく。
そしてマリア・アルトマンの娘時代をタチアナ・マズラニー(オーファン・ブラック)がその夫フリッツをマックス・アイアンズ(赤ずきん)が弁護士ランディの妻をケイティ・ホームズが演じている。
現在のこの絵画は、2006年にロナルド・ローダーに156億円で買い取られ、ニューヨークのノイエ・ガレリエ美術館に展示されている。
マリア・アルトマンは2011年に94歳で永眠している。
この映画は事実をベースにしているが、かなり脚色されているとも批判されている。オーストリア政府を悪者扱いしているが、事実と違う個所がいくつかあるらしい。
世界各地で大ヒットとしているが、オーストリア内では人気が低い。映画の影響力は非常に大きいから、この映画はノンフィクションではなく、フィクションも含まれることを考えておかないといけない。
実際のマリアとランディ
でも、実現不可能な目標に向かって「正論を戦わせ」「信念を貫く」ことの重要さはひしひしと伝わってくる。何事にも挑戦する熱意を失ってはいけないね。たとえどんなに歳を取ったとしても・・・。
TATSUTATSU
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