サマリー
オスカー・アイザック「ハング・ミー、オー・ハング・ミー」
2014年公開のアメリカンコメディ映画(僕にはとてもコメディには見えなかった)、監督・脚本・編集はコーエン兄弟、主演はオスカー・アイザックである。
第66回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリ獲得、第86回アカデミー賞には2部門ノミネートされている1961年のニューヨークが舞台になっており、フォーク歌手デイヴ・ヴァン・ロンクの自伝をベースに物語が作られている。
僕たちおじさんには垂涎の映画で、かつてのフォークソング大ブームを懐かしく思い起こさせる。映画の中ではボブ・ディラン、ピーター・ポール&マリー、ブラザース・フォーなどを彷彿とさせるシーンが随所に出てくる。
ボブ・ディラン
ピーター・ポール&マリー
ルーウィン・デイヴィス(オスカー・アイザック:スター・ウォーズ/フォースの覚醒、エクス・マキナ)は冴えないフォークシンガーである、凄い音楽の才能を持っているにもかかわらず、全く売れない。そしてなすことすべてが裏目に出る、不運な一週間の出来事である。
映画の中で彼らが歌うフォークソングは心にしみわたる、自分の人生や恋人の事、ちょっとした社会情景、殺人者の歌、反戦・・・・なんでも歌にしてしまう。
ギター一本での切ない歌声を是非堪能してほしい、20~30人ぐらいの聴衆の前でしかも目と鼻の先で響く歌声・・・・・その場の雰囲気にひたれるのは最高である。
ストーリー
ストーリーを少し紹介すると、ルーウィン・デイヴィス(オスカー・アイザック)はお金も住むところもなく、知り合いの家を転々とする日々である。
ある日彼は宿泊させてもらった大学教授のソファーで猫に起こされる、そして猫は一人前にエサをせがむ。部屋から出ようとしたところ、ドアの隙間から猫が飛び出し、オートロックドアが閉まってしまう。
仕方がなく猫を捕まえ(後でこの猫が別の猫であることが判明する。)地下鉄に乗って出かける、潰れかけのレコード会社に寄って印税を要求するも、レコードが全く売れていない。
今度は女友達ジーン(キャリー・マリガン)の家に寄ったところ、彼女から妊娠したと告げられ「クソ男」どうしてくれるのと、ののしられる。彼女には何とかすると言い逃れをする。
また、自宅は姉家族が占領していて、姉からも「ダメ男」と言われる、そしてもう二度と来ないでとクギをさされる。さらにおやじを養老院に見舞うが、恍惚状態で話にならない、おやじの好きな曲を歌ってその場を後にする。
そして最後頼みのオーディションを受けにヒッチハイクで遠出する。オーナーには歌を気に入ってもらったが、髭をそってグループ演奏してくれるなら雇うと言われた。・・・・・ルーウィンは自尊心を傷付けられニューヨークに舞い戻る。
そしていつも世話になっているフォークカフェで悪態をつき追い出される。何をやってもついてない一週間である彼はこのまま売れないフォークシンガーを続けるのか、それとも諦め漁船の船員になるのか・・・・・。
レビュー
全体を通して暗い映画だが、要所要所に生歌演奏が入り不思議と引き付けられる。・・・・
もっと明るくハッピイエンドにしてもよかったのではないかと感じる。
世の中には、実力があるのに認められない人がいるかと思えば、実力も無いのに脚光を浴びる人もいる、それを「運」と言って片づけるにはあまりにも寂しい。
実力を持った人間は、いつかは花開くと信じて生きないと世の中やりきれないね。
辰々
2012-03-15
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