サマリー
★★☆☆☆(そこそこ面白い)
2018年日本公開のアメリカFOX放映メディカルサスペンスドラマ
製作・脚本 エイミー・ホルデン・ジョーンズ
出演 ●マット・ズークリー(コンラッド・ホーキンス⇒シニアレジデント)
●エミリー・ヴァンキャンプ(ニコレット・”ニック”・ネヴィン⇒看護師)
●マニシュ・ダヤル(デヴォン・プラヴェシュ⇒インターン)
●ブルース・グリーンウッド(ランドルフ・ベル⇒外科部長)
●シャウネット・レニー・ウィルソン(ミーナ・オカフォー⇒2年目のレジデント)
このドラマを見ていると背筋が寒くなる。アメリカの死亡原因の第3位が医療ミスだ。一般的に医療ドラマは天才医師や凄腕医師を出してきて、手術や処置が成功し患者が助かるヒーローストーリーだ。
有名どころでは「ベン・ケーシー」「ドクター・キルデア」「ER緊急救命室」「ドクターハウス」「コード・ブラック」などがある。ところがこのドラマはヒーローものだけではない。医療現場での医療ミスの隠ぺいや上層部の腐敗などダークな部分も描かれる。
日本でも群馬医大の「腹腔鏡手術患者8名死亡」の問題が大きく取り上げられた。しかしよく調べるとこの医師による死亡事故はこれだけでなく開腹手術を含めると30名も亡くなっているらしい。これは氷山の一角だと言うジャーナリストもいる・・・医療の闇は深いのかもしれない。
このドラマの主役は天才シニアレジデントのコンラッド(マット・ズークリー)だ。シニアレジデントとは後期臨床研修医のことだ。医学の免許を取ったばかりの実習生は1年間インターンとして医療に従事する。その後、それぞれの分野に分かれてレジデントとして3年以上の研修したのちに一般内科医、一般外科医、専門医になる。
コンラッドの下にハーバードを首席で卒業したインターン デヴォン(マニシュ・ダヤル)が付く。つまりコンラッドはデヴォンの教育係だ。彼はデヴォンに「口答えせず、俺の言われたとおりに動け」と教育方針を告げる。デヴォンは頭に来るがコンラッドと触れ合ううちに、彼の現場での知識の豊富さ誠実な人柄に惹かれてゆく。
天才的な知識を持つコンラッドでも頭の上がらない女性がいる。看護師のニコレット(エミリー・ヴァンキャンプ)通称「ニック」だ。彼女はもの凄く冷静だ、コンラッドを陰で支えるが表面上は冷たい態度を取る。
舞台はジョージア州アトランタにある「高所得者向け最先端医療施設ジャスティンパーク記念病院」だ。冒頭、外科部長のランドルフ(ブルース・グリーンウッド)が簡単な虫垂炎の手術をミスり患者を死亡させてしまう。手が震えて動脈を傷つけたようだ。
周りのチームはランドルフの権力を怖がり、適当な理由をつけて医療ミスを隠ぺいしてしまう。この病院ではランドルフがやぶ医者であることを誰でも知っている。しかし彼の逆鱗に触れれば最悪、この病院から追い出される。
製作・脚本のエイミー・ホルデン・ジョーンズは「このドラマではアメリカの病院の実情に近いストーリーを描きたかった」と言っている。そして「アメリカの死亡原因の3位が医療ミスであることを知らしめたかった」とも述べている。
この隠ぺい体質、上層部の腐敗に対し戦う若きレジデントたちの活躍が描かれる。医療ドラマはもう飽きたと言う人でもこの一風変わった医療ドラマを見ることをお薦めする。
患者を26分間も心臓マッサージをして心臓を甦らせたデヴォンにコンラッドは厳しい言葉を投げつける。「彼女の脳は既に死んでいる。人工呼吸器をつけた彼女を両親が何時まで見守らなければならないのか」「かえってそれは医者としてすべきことなのか、よく考えてみろ」と・・・。
彼女を死なせた方が残された肉親にとって幸せであると考えたコンラッドは人工呼吸器をこっそり止めようとするのだが・・・。あなたはどう考えるか。延命処置はすべきなのかそれとも自然に任せるべきなのか?
最前線の現場では救えない人も多い。医療はサービスではなくてビジネスだとこのドラマは明言している。アメリカと日本の医療の考え方の違いが顕著に出て来る。しかし、湯水のように医療費を使っていれば国の財政は傾いてゆく。どちらがいいのか考えさせる問題だ。
TATSUTATSU
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