サマリー
★★★☆☆(お薦め)
2020年9月日本公開のアメリカ・イギリス合作タイムパラドックスSFドラマ
監督・脚本・製作 クリストファー・ノーラン(バットマン ビギンズ、ダンケルク、インターステラー、インセプション、TENETテネット)
出演 ●ジョン・デヴィッド・ワシントン(ブラック・クランズマン、TENETテネット)
●ロバート・パティンソン(TENETテネット)
●エリザベス・デビッキ(TENETテネット)
●ケネス・ブラナー(ヘンリー五世、ハムレット、TENETテネット、マリリン7日間の恋、ダンケルク)
クリストファー・ノーラン監督は「TENET」で一体何を見せてくれるのだろうか。この映画は本来3時間にしたかったようだが凝縮されて2時間半になっている。一言でいえば「インターステラー」や「インセプション」のSFテイストを盛り込んだスパイ映画と言える。そしてベトナム、ノルウェー、インド、イタリア、エストニアなど美しい都市をまるで自分が旅しているような映像で見せてくれる。
しかし、彼の作品の中で最も難解なドラマと言って良い、海外では評判がよさそうだが。2回は見ないと分からない(2回見ても分からないかもしれない)。その理由は物理学の法則に則って映画が作られているからだ。そして少々の予備知識をもってドラマを鑑賞した方が理解しやすいと思う。
時間と空間の概念を映像化しているが残念ながら最後まで見てもよく分からない。例えば時間は一方向しか流れない。50歳のあなたが過去に10年さかのぼっても歳は60才だ。若返ることはない、過去に戻っても歳をとるのだ。
また、過去に戻って自分の祖父母を殺害すれば、自分は消えてしまうのか。そんなことは無い、存在するものは存在し続けるのだ。そして自分が過去に戻り、過去の自分と接触すれば消滅する。だから過去の自分と接触するには特殊なスーツを着なければならない。
もし、あなたが時間が逆行する世界に放り込まれたら自分で呼吸することさえも出来ない。つまり肺から空気が逃げ出してしまう。従って酸素吸入器を体に装備してこの世界を乗り切る。また、火災は発熱反応ではなくて吸熱反応となる。火災によって自分の体が凍傷になるのだ。熱力学も関係する厄介なドラマだ。
この時間の順行(普通の世界)と逆行が未来人が作った「特殊な回転ドア」によって実現できる。両者がひとつのフィールドの中で起こるから、余計にこんがらがってしまう。監督は僕らにわかり易いように順行は赤、逆行は青と分けているがそれでも分かりにくい。
「TENET」とは回文だ。どちらから読んでも同じ。さらにNを中心に後先TEN(10或いは10分)だ。「TENET」の意味は「信条」「主義」「原則」を意味する単語だが、実は「SATOR式」と呼ばれるラテン語の回文の一部だ。
Sから始まる文章は「農夫のアレポ氏は馬鋤きをひいて仕事する」と訳されている。この何処から読んでも同じ意味になる回文が物語のキーとなる。上から横に読んでゆくと「SATOR=セイター:ロシアの武器商人」「AREPO=アレポ:ゴヤの贋作画家」・・・などなど。
話のスジを少し紹介すると。主人公「名もなき男」(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は米海軍特殊部隊の出身だが「TENET」と呼ばれる謎の組織にスカウトされる。
「TENET」の目的は第三次世界大戦を事前に阻止することだ。「アルゴリズム」と呼ばれる9コの部品が組み合わされば生き物は瞬時に消滅してしまう。そして未来では「時間の逆行」と呼ばれる特殊な回転ドアが開発され、これによって未来から敵が現れる。
「名もなき男」は未来と過去を行き来するロシア人の武器商人セイター(ケネス・ブラナー)と接触する。彼は妻キャット(エリザベス・デビッキ)から息子マックスを取り上げようとしている。セイターとキャットの仲は最悪だ。
「名もなき男」はキャットを仲間に取り込もうとする。彼は補佐してくれるニール(ロバート・パティンソン)とミッションを遂行してゆく。果たして作戦は成功するのか、それとも失敗か。
このドラマの行き着く未来は、地球温暖化などの気候変動でとても人間の住める環境ではなくなっている。こんな破滅的未来であっても残そうと命をなげうってミッションを遂行しようとする。「TENET」の役割こそ真の人間の使命だ。これがクリストファー・ノーラン監督の言いたかったことなのか。
「名もなき男」とはいったい誰なのか、また主人公を補佐し命の危険から救うニールの正体は・・・そして「TENET」の黒幕は誰なのか・・・。最後まで見ればこの謎が解ける。さあ、あなたも謎解きに出発だ。
その後のストーリーとネタバレ
「作成中」
TATSUTATSU
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