サマリー
2013年11月公開、「竹取物語」を原作とした高畑勲監督スタジオジブリ制作のアニメ映画である。2013年7月には宮崎駿監督による「風立ちぬ」が公開されており、この年には二作品が連続公開されている。
高畑監督としは14年ぶりの新作で、8年の歳月と50億円を超える製作費がかかっている。
この作品が「風立ちぬ」と連続してアカデミー賞候補にノミネートされている。「風立ちぬ」は惜しくも受賞を逃したが、この作品が受賞することを祈っている。
作画技法として、アニメーターの描いた線を生かした手書き風スタイルで、淡い水彩画を見てるようで心地よい。映画はまさに「竹取物語」の原作に沿った形で作られており、この中にオリジナルな出来事を盛り込んでいる。
全編を通して素晴らしい作品であるが、若干長いように感じた。120分以上の長編を90分くらいに凝縮された方が良かったのではないかと思う。
冒頭のかぐや姫が赤ちゃんから子供に育つ場面が素晴らしい、そして自然の中で村の子供達と遊ぶシーンはアニメとは思えないほど生き生きと描かれている。
また物語の最後の方でかぐや姫が自分の意思に反し月に戻らざるを得ない場面では胸に熱いものがジーンと来る。
「姫の犯した罪と罰」とはいったい何だったのか・・・・。
地上では虫や動物、草木は皆生きている、人も悩み苦しみながら生きている、でも「苦しむからこそ生きることに価値がある」・・そんなことを教えてくれる物語である。
血の通ったかぐや姫を作り出した高畑勲監督に敬服したい、是非観て頂きたい作品である。
ストーリー
ストーリーを少し紹介すると、昔山里に竹を取って暮らす老夫婦がいた。ある日おじいさんが早春の山に竹を取りに出かけたところ、光り輝く竹の中から小人の様な姫を見つける。
この姫様はあっと言う間に人間の赤子に変身する。赤子を授かった老夫婦は天からの授かりものとして大事に育てる。
赤子の成長は早く、みるみる大きくなっていく。近くに住む木地師(良質な木材を求め山を旅する人々、木でおわんなどの生活用品を作って生計を立てている。)の少年捨丸や小さな子供たちと遊ぶ。
特に捨丸には淡い恋心を抱く。
少女はタケノコと呼ばれていた、何故か子供たちが歌う童謡を知っていたばかりか、もう一つの歌も知っていた。歌を歌っている時には自然に涙が溢れる・・・何故か。
しばらくして、おじいさんは竹の中から黄金や、高価な着物を見つける。これは姫を何不自由なく育てよと天からの命だと悟った。
老夫婦は都に大邸宅を構え、家族で移り暮らし始める。姫にとって都での生活は息が詰まる思いであったが、老夫婦のために従った。
そのうち姫は「かぐや姫」と名付けられ、その美貌と琴の音色、歌声は都中に広まる。5名の高貴な公家達から求婚されるが、断り続ける。ついに御門(ミカド)からも求婚される。
密かに忍んで来た御門に抱きしめられ、びっくりしたかぐや姫は心の奥底で月に帰りたいと念じてしまう。
そして8月15日に月から迎えが来る。かぐや姫は一旦は月に帰りたいと念じたが、その本心はおじいさんやおばあさんとここで末永く暮らすことであった。
ある日姫は生まれ故郷の山に出かける。そこで偶然にも捨丸に会う、時間をさかのぼることが出来るならば一緒に彼と暮らしたかった。捨丸は既に結婚し子供もいた、もう元には戻れない。
8月15日が来た、かぐや姫はどうしても月に戻らなければいけないのか。
レビュー
かぐや姫の犯した罪とはいったい何だったんだろうか。姫は天から地上降ろされた罪人だったのだろうかそれとも天からの使者なのだろうか。
姫は天から下界を見下ろしていた天女なのか・・・そして天の意思に反して地上の魅力に取りつかれ落とされてきたのか。
おじいさん、おばあさんはかぐや姫を幸せにする為に精一杯の努力をしてきた、しかしかぐや姫は素朴な山の生活を愛していた。あのまま、山で暮らしてゆけば、貧しいが幸せな生活が送れたのかもしれない。
色々考えさせられる映画である。
かぐや姫は天女の衣を着せられることによって、地上の記憶を無くしてしまう。しかし地上から聞こえる子供達が歌う童謡を聞いて何故か自然に涙がこぼれる。
また、長い年月が経てば「かぐや姫」とよばれた天女は地上への郷愁を感じ、過去の記憶が無いまま地上に降りてくるのかも知れない。その時は地上で幸せに暮らせることを祈るしかないね。
追伸 アカデミー賞残念だったね。
ジブリ関連作品:「風立ちぬ」「思い出のマーニー」もよろしく。
TATSUTATSU
初めまして!
本当に、アカデミー賞、取れるといいですね!
正統派なレビューですね。
僕は、割と邪道な見方をしてしまうので。
また来ますね。
それでわ。
コメントどうもありがとう。
試行錯誤しながら記事を書いてる段階なので、意見を頂けるとありがたいね。
また懲りずに、来てくださいね。
待っています。