サマリー
★★☆☆☆(そこそこ面白い)
2018年6月日本公開のアメリカ製作SFアクション映画第三弾
監督 ウェス・ボール(メイズ・ランナー、メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、メイズ・ランナー:最期の迷宮)
原作 ジェームズ・ダシュナー「The Death Cure」
出演 ●ディラン・オブライエン(バーニング・オーシャン、メイズ・ランナー、メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、メイズ・ランナー:最期の迷宮)
●カヤ・スコデラリオ(メイズ・ランナー、メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊、メイズ・ランナー:最期の迷宮)
●トーマス・ブロディ=サングスター(メイズ・ランナー、メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、メイズ・ランナー:最期の迷宮)
●エイダン・ギレン(メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、メイズ・ランナー:最期の迷宮、ゲーム・オブ・スローンズ)
●キー・ホン・リー(メイズ・ランナー、メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、メイズ・ランナー:最期の迷宮)
●ローサ・サラザール(メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮、メイズ・ランナー:最期の迷宮、アリータ:バトル・エンジェル)
●ウィル・ポールター(メイズ・ランナー、メイズ・ランナー:最期の迷宮、レヴェナント:蘇えりし者、デトロイト)
「メイズ・ランナー」三部作の第三弾だ。三部作は大体結末がポシャッてしまう。この映画も残念ながらその法則通りになってしまった。第一作目があまりに良すぎた、ミステリーとアクションを兼ね備えたSFドラマの秀作だ。
第二作目は割愛してもいいかもしれない。クランクと呼ばれるゾンビが出てきて、なんだこれもゾンビ映画かと大きく株を落とした。ではこの第三作目はと言うと、金をかけたアクション映画に成り下がってしまった。
第一作目の先の読めないミステリー性をもっと盛り込んで欲しかった。出来れば誰も予想できない「大ドンデン返し」が見たかったね。でも誰しも結末は観たいので、劇場に駆け付けざるを得ない点では作戦勝ちかもしれない。
第一作目「メイズ・ランナー」の概要
予告編だ。
まず、第一作目「メイズ・ランナー」を解説しておく。記憶を無くした若者が月に一度食糧と一緒に地下から巨大な迷路の中心に運ばれてくる。巨大迷路は昼間は開いており、「メイズ・ランナー」と呼ばれる調査隊が迷路の中を走り回って出口を探す。
夜になると迷路の入り口は閉じ、戻ってこれない場合は「グリーバー」と呼ばれるクモのような巨大モンスターに殺されてしまう。迷路の形は毎日変化するため、3年かかっても出口が見つからない。
迷路にトーマス(ディラン・オブライエン)が送り込まれてきてから状況が一変する。彼は迷路の中で「グリーバー」を倒す。この怪物は生物と機械のハイブリットで体内からWCKD(ウィキッド)と書かれた電子部品が見つかる。
迷路に初めての女性テレサ(カヤ・スコデラリオ)が現われる。そして迷路に残るものと一か八か出口を探して迷路から脱出しようと考えるグループに分かれる。
トーマスは脱出しようと考えるグループを率いて、脱出に成功する。しかし、そこで待っていたものとは・・・・詳細は「メイズ・ランナー」を参考に。若者たちが敵対したり協力し合ったりと現状打破に悩む姿に共感出来る。
第二作目「メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮」の概要
予告編だ。
トーマスは迷路からの脱出に成功する。そしてWCKDに敵対する組織に助けられたと思っていた。ここで彼はエリスと言う若者と知り合う。
エリスはかなり前からこの組織の施設に収容されていた。彼に連れられ換気口を伝わって各部屋を調べてゆくととんでもないものを見てしまう。
仮死状態の若者がチューブに繋がれ、体液を採取されている部屋やグリーバーの幼生が培養されている秘密の部屋まであるのだ。トーマスは「僕らはまだWCKD内に囚われている」ととっさにこの施設から逃げる計画を立てる。
トーマスは仲間を集め施設から逃走を企てる。しかし施設の外は「迷路」より厳しい「砂漠」だった。世界は太陽によって焼き尽くされ多くの人間が死んでいる。しかも「フレア」と言うウィルスが蔓延し、それに感染した人間は「クランク」と呼ばれるゾンビになってしまう。
果たして、砂漠に脱出したトーマス達は生き残ることが出来るのか・・・詳細は「メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮」をご参考に。
メイズ・ランナー:最期の迷宮
トーマスはWCKDに敵対する組織RA(ライト・アーム)に助けられる。しかしテレサの裏切りでRAのアジトは攻撃されミンホ(キー・ホン・リー)が捕まってしまう。
トーマスはミンホ達が乗せられた列車を急襲し、車両の連結器を爆破して車両を戦闘機(WCKDから奪った)で持ち上げ回収に成功するがそこにはミンホはいなかった。
ミンホを助ける為にRA組織を危険にさらすことはできない。トーマスはニュート(トーマス・ブロディ=サングスター)、フライパン(デクスター・ダーデン)、ブレンダ(ローサ・サラザール)、ホルヘ(ジャンカルロ・エスポジート)に協力を仰ぎWCKDの本部「ラスト・シティ」へと向かう。
「ラスト・シティ」の周りには無数の「クランク」がたむろする。そしてRAとは別のレジスタンス勢力が「ラスト・シティ」に入り込もうと攻防を繰り広げる。
「ラスト・シティ」の周りは巨大な壁で外界と隔てられ侵入するのは並大抵ではない。トーマスはここで死んだはずのギャリー(ウィル・ポールター)に出会う、何と彼は生きていたのだ。
ギャリーはウィルスの感染者たちで構成された反乱軍のリーダー ローレンス(ウォルトン・ゴギンズ)に引き合わせてくれた。ローレンスはトーマス達に「ラスト・シティ」につながるトンネルを教える。
その頃テレサはミンホの体液から抗体を分離し「クランク」を普通の人間に戻す実験をしていた。実験は上手く行きかけた思われたが失敗に終わった。病気の進行を抑えることはできても治癒することは出来なかったのだ。
トーマスは「ラスト・シティ」の中枢部に入り込みミンホを救うためにはテレサの協力が必要だと考えていた。WCKDの最高責任者エヴァ(パトリシア・クラークソン)とその部下ジャンソン(エイダン・ギレン)は都市の警備をさらに厳重にするが、ウィルスの感染はこの都市の中心部まで浸食し始めていた。
果たして、トーマスはミンホを救うことが出来るのか、そして「フレア」ウィルスのワクチン製造は人類滅亡までに間に合うのか・・・。
その後のストーリーとネタバレ
ギャリーは警備兵に化けてトーマスとニュートを秘密のトンネルに案内する。彼らはトンネルを抜けて「ラスト・シティ」への侵入に成功する。
トーマスはテレサを探し出し、彼女と一緒にミンホが拘束されているビルの高層階へと案内させる。そしてやっとのおもいでミンホと再会する。しかし、警備兵に見つかりビルの一室に追い詰められる。彼らは部屋のガラスを割り地上のプールへとダイビングし逃げることに成功する。
ローレンスをリーダーとする反乱軍は「ラスト・シティ」の壁に向かって車を走らせ自爆してシティへの入り口をこじ開ける。本来なら高い壁に設置してある砲台から発射される弾丸によって近づくことは出来ないがこの時、砲台は故障したかのように動かなかった。あらかじめ侵入した仲間が壊したのか・・・。
反乱軍は壁の穴から「ラスト・シティ」になだれ込む。こうなっては街が陥落するのも時間の問題だあちこちで火柱が上がる。トーマスはやっと戻ってこれたのにテレサを救いにビルに向かう。ところがニュートが既にウィルスにおかされクランクとなってトーマスに襲いかかる。
トーマスはニュートの胸に泣きながらナイフを突き立てる。これしか方法が無かった、ニュートは静かに息を引き取って行く。そして彼はビルの中に消えてゆく。
その頃テレサはトーマスのケガを治療したガーゼから血液を採取し、ウィルスに効果があるか調べていた。彼女はブレンダがクランクに噛まれ、発病したときトーマスの輸血によって完全治癒出来たのを知っていたのだ。やはりトーマスの抗体はウィルスを破壊する力を持っていた。WCKDの最高責任者エヴァにもこの事実を連絡する。
トーマスはビルの中を探し回る。その時偶然にもエヴァと鉢合わせする。彼女はトーマスに「あなたは希望だ、ウィルスに効くのはあなたの抗体だけなのだ」と真実を告げる。ところが彼女は後ろからジャンソンに撃ち殺される。
トーマスはジャンソンに拘束され、テレサのところに連れて行かれる。実はジャンソンは既にウイルスにおかされトーマスの抗体を欲していた。トーマスは台に縛り付けられ抗体をテレサによって抽出される。
ところがテレサはスキを見て抗体を持ったままジャンソンから逃げる。トーマスは拘束を解くとジャンソンと闘うが、奴は実験用のクランクに襲われ身動きが取れない。もうその時、ビルは火災によって逃げ場がない、仕方なく二人は屋上へと逃げ延びるが火の手はもうそこまで来ていた。
その時、ホルヘ達の運転する戦闘機が近づいてくる。そしてハッチを開け、二人を収納しようとするがテレサは拒絶しビルの崩壊とともに火の中に消えてゆく。
トーマスは助かったが銃で撃たれた傷から出血し気を失う。彼が気づいた時には島にいた。RAのメンバーたちは船を使って安全な島を目指したのだ。そしてこの場所から新しい未来が始まる・・・。
レビュー
僕は第一作目の巨大な施設観・ミステリー性・世界観が大好きだった。例えば「迷路」、巨大すぎて3年間調査しても出口が見つからないスケールのデカさ。しかもこの迷路、一つだけでは無く各地に幾つも点在する、しかも女性だけの迷路もあるらしい。
次にミステリー性、何のために記憶をなくした若者達を迷路に閉じ込め実験をしていたのか、しかも幼少期から・・・この謎解きはよく分からない。迷路を突破した若者には「フレア」ウィルスの抗体を持った者が多いのか?
もともとWCKDの職員だったトーマスとテレサが何故裏切ったのか、「フレア」ウィルスの抗体を見つけることが正論だと思う。彼らは敵対するRAに味方するが圧倒的な軍事力を持つWCKDに勝てるはずがない。
最後に世界観、地球は太陽に焼かれ、しかも「フレア」ウィルスが蔓延している究極のディストピアが実にいい。しかし「クランク」と呼ばれるゾンビには少しがっかりした。ストーリーに行き詰まったら「ゾンビ」的な感じがするからだ。
「メイズ・ランナー:最期の迷宮」では、色々な疑問点に答えていない。アクション大作に姿を変えてしまったことは残念だ。大ドンデン返しも無くWCKDと反乱軍の戦いでは寂しい結末だ。
三作目の撮影で主演のディラン・オブライエンが重傷を負って映画の公開が遅れた。2015年に第一作目が日本で公開されたが、完結篇は3年後になってしまった。この3年の間に若者たちの風貌が大きく変わった。
しかもこの間に売れたのは、ギャリー役のウィル・ポーターとテレサ役のカヤ・スコデラリオだ。彼らのギャラは跳ね上がったのか?トーマスの敵役としていじめっ子のギャリーが一転、トーマスの味方になるとは、これが小ドンデン返しかな。
TATSUTATSU
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