サマリー
2017年4月から放映されたテレビドラマ 神々の戦いの物語
製作総指揮・原作 ニール・ゲイマン
ショーランナー(現場責任者)ブライアン・フラーとマイケル・グリーン
出演 ●リッキー・ホゥイットル(アメリカン・ゴッズ)
●エミリー・ブラウニング(エンジェルウォーズ、ポンペイ)
●イアン・マクシェーン(ドーバー海峡殺人事件、ヘラクレス、ジョン・ウィック、ジョン・ウィック:チャプター2)
●パブロ・シュレイバー(オレンジ・イズ・ニュー・ブラック、アメリカン・ゴッズ)
けっこうエロ・グロでつかみどころのないドラマだ、次に何が出て来るかさっぱり分からない。予想を裏切る理解不能なストーリーに魅了される。正統派ドラマやファミリードラマに飽きてきた人にはお薦めだ。
血がしぶきのように吹き飛ぶシーンが冒頭にある。西暦813年にバイキングがアメリカ大陸に上陸するが先住民の脅威にさらされ船に乗って立ち去ろうとする。
ところが風が吹かない、彼らは自分たちの神オーディンに片目を捧げるが、それでも弱い風しか吹かない。彼らは互いに殺し合い多くの死者(生贄)を出す。それらの死者をオーディンに捧げることによってやっと風が吹く。彼らは帆を上げて大海原へとのりだす・・・最初から度肝を抜く残酷なシーンだ。
アメリカには人間に紛れて、ギリシャ神話、北欧神話、スラブ神話、アフリカ神話の神々が住んでいる。ところがこれらの古い神に対して新しい神が生まれてくる。
新しい神々は古い神々に戦いを挑む。刑務所から出てきた普通の人間シャドウ・ムーン(リッキー・ホゥイットル)は不思議な男ミスター・ウェンズデイ(イアン・マクシェーン)の用心棒として雇われる。
実はウェンズデイの正体は北欧神話の古き主神オーディン(戦争と死の神)である。彼はシャドウ・ムーンを引き連れ旅をしながら古い神たちを組織化し、新興勢力の新しい神々と闘おうとしていた。
シャドウ・ムーンは刑務所を出る直前に妻のローラ・ムーン(エミリー・ブラウニング)が交通事故で死んだことを知る。しかも他の男と不倫の最中だった。シャドウは妻の葬儀に出席する。
帰り道、シャドウはなんともやりきれない思いだが、マッド・スウィーニー(パブロ・シュレイバー)からもらった金貨を妻の墓に投げる。マッド・スウィーニーはウェンズデイのために働くレプラコーン(アイルランドの妖精)だったのだ。
暫くして死んだはずの妻ローラが生き返る。でも体は腐りかけている。彼女は許しを乞おうとシャドウの後を追う。彼女は特殊な金貨によって生かされ、この金貨が体外に出てしまうと死体に戻る。
新しい神はミスター・ワールド(クリスピン・グローヴァー)をリーダーに、テクノロジーをつかさどるテクニカル・ボーイ(ブルース・ラングレー)、メディアをつかさどるメディア(ジリアン・アンダーソン)がいる。
彼らはオーディンを中心とする古い神を上書き保存のような形で融合させようとする。最新式の電子機器を駆使した彼らに古い神は勝てるのであろうか?
レビュー
原作者のニール・ゲイマンはイギリスのSF作家だ。2000年に発表した「アメリカン・ゴッズ」でヒューゴ賞を受賞している。彼はアイスランド旅行中にこの小説のプロットを思いついたようだ。
神々が人間社会と共存しているとは面白い発想だ。でも彼らはしばしば人間を餌食にする。古き愛の女神ビルキス(シバの女王)はセックスした男をヴァギナの巨大空間に吸い込んでしまう。そして生気を吸い取り若さを保つ。
また、イスラム教における堕天使イフリートはセールスマン サリムと男同士なのにセックスまでしてしまう。彼は炎の魔人と呼ばれ火をうまく使いこなす。神でありながらニューヨークでタクシーの運転手をしている。
新しい神は古い神を手なずけ仲間にしようとする。ギリシャ神話の火と鍛冶の神ヴァルカンはウェンズデイを裏切ったことから、彼に殺される。(神も死んでしまうのか?)
第一シーズンの最後の章で新旧の神々が対峙し、ウェンズデイが北欧神話の古き主神オーディンであると正体をバラす。彼は雷を発生させミスター・ワールドを倒す(本当に倒したかどうかは不明)。
普通の人間シャドウ・ムーンの存在がどうも引っ掛かる。ウェンズデイのボディーガードをやっているのだが、何故彼は神に付き添うのか?彼は本当は自分でも知らない神なのか、或いは神になろうとする男なのか・・・。
第二シーズンも待ちどおしい、果たしてどんな展開になるのかまったくもって予想がつかない。このテレビドラマは、はまったら抜け出せないことを覚悟しておこう。
最後に「X-ファイル」のスカリー捜査官役で有名なジリアン・アンダーソンが少し変わった役で出ているから、彼女のファンも必見だ。ただ沈着冷静なスカリーに対し、やや軽薄な新しい神メディアを演じているのでイメージダウンかな。
TATSUTATSU
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