SF

「隠された時間」映画の感想と評価:カン・ドンウォン主演タイムスリップ ファンタジードラマ


サマリー

監督・脚本 オム・テファ(隠された時間
出演 ●カン・ドンウォン(隠された時間、デュエリスト、超能力者、群盗、プリースト 悪魔を葬る者
●シン・ウンス(隠された時間)
●キム・ヒウォン(隠された時間)
●クォン・ヘヒョ(隠された時間)
●イ・ヒョジェ(隠された時間)

カン・ドンウォン主演!映画『隠された時間』予告編

 

使い古されたタイムスリップ物だけど、これをカン・ドンウォンが演じると鮮やかによみがえる。瑞々しい映像と心地よい音楽(ダル・パラン)に包まれ、ラストが胸にジーンと沁みいる大人のSFファンタジーだ。

新人監督のオム・テファは脚本も担当していて、斬新なストーリーで子供時代の「淡い恋」をうまくドラマに昇華している。体は大人でありながら少年のようなピュアな心を持つソンミンをカン・ドンウォンが演じる。そして300人の中から選ばれた少女スリン役のシン・ウンスもなかなかいい。

カン・ドンウォンのファンはもちろん、タイムスリップ物の好きな人にはお薦めだ。またハリウッド映画や金をかけた大作に飽きてきた人にも一見の価値があると思う。あまりお金のかかっていないアナログ的(CGが少ない)なドラマだけど素朴な感じが結末のシーンを大いに盛り上げる。

スジを少し紹介すると、父の転勤で島に引っ越してきた13才の少女スリン(シン・ウンス)は周りとなかなかなじめないが、同じ学校のソンミン(イ・ヒョジェ)だけには心を許す仲となる。ソンミンには身寄りがいなかった。

スリンも両親を亡くしていて、今の父は母の再婚相手だ。交通事故で実母を事故死させた義理の父を憎んでいる。同じ境遇だから二人は気が合った。スリンはソンミンに「私のこと好き」と聞く、彼は「うん」と答える。彼女はソンミンにキスをして「ずうっとよ」と念を押す。

満月の日に山に探検に出かけたソンミンと二人の友人ジェウク、テシクそしてスリン。ところが3人の少年が突如姿を消してしまう。ただ一人スリンのみが家に帰ってくる。

島は大騒ぎになり、夜を徹して子供たちの捜索が始まるが3人を見つけ出すことが出来なかった。暫くしてジェウクの遺体が発見されるがあとの二人は永遠にみつからなかった。

数日後スリンの前にソンミンと名乗る20代の青年が現われる。スリンはびっくりして目を見開き大声を上げて逃げる。彼は日記を落としたまま何処かに消えてしまう。

その場所は警察によって誘拐犯ではないかと、犯人の捜索が行われる。その時分厚い日記は警官によってスリンに届けられる。開けてみるとそこにはソンミンとスリンしか知らない「暗号文字」がびっしり並んでいた。

スリンはその日記から信じられない出来事があったことを知る。そしてその青年が間違いなくソンミンであることを確信する。

どんな出来事が彼らの身に起こり、ソンミンだけが現われたのか・・・。そして大人になったソンミンと少女のままのスリンはどうなって行くのか。ヒントを一つ、ソンミンは異世界に16年間も閉じこめられていた。そんな世界あるのか?

その後のストーリー

ソンミンと二人の友人ジェウク、テシクそしてスリンは満月の日に山に探検に出かけた。テシクは亡くなったおじいちゃんから不思議な話を聞いていた。

満月の日に洞窟が現われると言う。そしてその洞窟の中には光る隕石のようなものがある・・・宇宙人か?そして光る物体は時間を食べる妖怪の卵だと・・・。

良く見ると木の根元に子供が通れるくらいの穴が開いていた。4人は伝説を確かめるためにその穴から奥へと進む。穴の奥には広い洞窟があり、足元には水のたまった深いくぼみがあった。くぼみの底には黄色に光る卵状の物体があった。

スリンはそれが何か見てみたいと言う。ソンミンは服を脱いで深い水の底に潜る、そして黄色に光る物体を持って戻ってくる。もと来た穴から地上に戻ると卵状の物体は発光しなくなった。

スリンは髪の毛のピン止めを穴の中に落としたとまた、穴に入って行く。地上に残された三人は卵の中には何か入っているようだと割ってみようとした。

スリンが穴から這い出てみると、卵状の物体が割られたかけらが残っていたが3人は消えていた。島はパニックになって4人の捜索を始めたが、見つかったのはスリンだけだった。しばらくしてジェウクの遺体が見つかる。死因はぜんそくの悪化らしい・・・彼は持病を持っていた。

数日後スリンの前にソンミンと名乗る30才近い若者が現われる。スリンは信じなかったが彼が落とした分厚い日記をよみ始める。そこには驚くべきことが書かれてあった。

彼ら三人は島にいた、しかし周りの時間は止まっていた。卵を割ったことによって、どうも異世界に紛れ込んでしまったようだ。人々や車や建物はすべて今までと同じだ、ただ一つ違う点は、ピクリとも動くものが無いとゆうことだ。海でさえも氷ったように波が空中で静止していた。

そのうちジェウクが持病のぜんそくで亡くなってしまう。そして二人だけの気の遠くなるような時間が過ぎてゆく。もうどれぐらい経っただろうか、日記をつけていたから、数えると1974日が過ぎたことになっている。

ソンミンとテシクは大人になっていた。街をくまなく歩き、欲しいものは何でも手に入った。お金だって静止した通行人の財布から失敬できる。なんの不自由もない。

自分の家に帰ってもみんな止まったままで誰も動いてくれない、洞窟に行ってみたけどスリンがそこで突っ立っているだけだった。そのうちテシクがおかしくなってくる。一人で黙りこくっている時間が多くなった。しかしソンミンは必ず帰れると色々なことに没頭する。

それからまた、長い時間が過ぎてゆく、ソンミンは気が狂ったように叫び続ける。もう、もとの世界に戻れないのか。ある日月の形が変わっていた。テシクを探すが見つからない。何年もテシクを探し続けた。

テシクは岩場から海に飛び込んで自殺してしまったようだ。岩場に服が置いてあるし、海には飛び込んだ跡が残っていた。空を見上げると月は満月になっていた・・・本当は何も変わっていなかったのではないかと不安になる。

ソンミンも絶望に襲われ、衝動的に海に飛び込む。海の中でテシクは亡くなっていた。自分もこれで楽になると思われたその時、「時」が動き始める。彼は波打ち際に打ち上げられ意識を取り戻す。もとの世界に戻ってきたのだ。

もとの世界では数日程度しか過ぎていないがソンミンは16年間も異世界に閉じ込められていた。スリンは山の中の彼がいると思われる廃屋にゆく、そこには大人のソンミンがいた。

何とかしてこの若者がソンミンであると証明しようとしたが誰一人、こんな話を信じる者はいなかった。そのうちソンミンは誘拐犯として追い詰められてゆく。

ネタバレ

スリンは洞窟にもう一つ卵があったと言う。その卵を使って目の前の青年がソンミンであることを証明したいと言うが、彼は了解しない。16年間の孤独に耐えられなくてみんな死んだからだ。

ソンミンが誘拐犯として手配され包囲網がどんどん狭められてゆく。スリンは洞窟に行って卵を取ってくる。そこにはソンミンがいた。彼はスリンから卵を奪い取る。

「僕が誘拐犯になれば丸く収まる」とソンミンは無実の罪をかぶるつもりだ。警察の山狩りが始まりソンミンは崖に追い詰められる。崖から転落すれば命が無い。

スリンはソンミンをかばって崖から足を滑らせる。慌てて、刑事が彼女の手をつかむが今にも落ちそうだ。崖にとり付いたソンミンは手を伸ばしてスリンを捕まえようとするが間に合わず、崖から転落する。

ところがスリンも刑事も砂浜に横たわり無傷だ、不思議なことにソンミンは消えていた。そしてこの一件はスリンが誘拐犯に強要されて従ったことにして事件は終了となった。

スリンはソンミンが卵を割って時間を操作し助けてくれたと考えている。この事件はある作家が本にまとめ「隠された時間」として出版された。巻末には彼女のソンミンしか読めない「暗号文」が載せられている。

スリンはミッションスクールに通うことになり父と車でフェリーにのりこもうとしたとき、見覚えのある男を垣間見る。その男を追いかけフェリーの中を探すと、髪の毛が少し白くなりかけたソンミンが待っていてくれた。

本の暗号文は・・・白い月「目を閉じて歩いた、暗くて怖いけど目を開けられなかった」「でも、いつしか怖さは消えていた」「目を開けると君が手を握っていた」「二人が一緒に白い月を見る夢を見た」。

レビュー

このドラマは「究極の愛」の物語だ。結末ではソンミンが自分を犠牲にしてスリンの命を救うのが感動的だね。今の世界の数日間は異世界にいるソンミンの16年間に相当する。

実に32年間もスリンを思い続けて孤独に過ごしてきたことになる。13才のスリンに対してソンミンは45才になってしまっている。

現実には有り得ない世界だけど、もし光速宇宙船が開発されて恒星間旅行をして地球に戻ってきたら恋人がおばあちゃんになってたなんて理論的には有り得る。

「愛は時間と空間を超越する」と言うテーマを監督は描きたかったような気がする。まあ、しかし3組に1組離婚すると言われている現状を考えると、ファンタジー映画の中だけの世界として楽しめればいいのかな。

それにしてもカン・ドンウォンはどんな役にも成り切れる凄い才能を持ってる。日本ではこのタイプの俳優は少ないように思う、これからも期待したいね。

TATSUTATSU

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