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アニメ映画「時をかける少女」感想・評価‐大ヒットの秘密を分析してみる

サマリー


時をかける少女(劇場予告)

 

2006年公開のアニメ映画、監督は細田守(サマーウォーズ、おおかみこどもの雨と雪)、原作は筒井康隆の同名小説である。

1983年に大林宣彦監督、原田知世主演で大ヒットした実写映画のアニメ版だが内容は若干異なる。当時、松任谷由実が作った主題歌を原田が歌って、これも大ヒットしている。

時をかける少女

さらに、1997年には角川春樹監督、中本奈奈主演の白黒映画が作られている。この時ナレーションを原田知世が行っており、主題歌は新たに作曲した曲を松任谷由実が自ら歌っている。

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そして、2010年には谷口正晃監督、アニメ版主人公の声を務めた仲里依紗主演で4回目の映画化がされている。同じ原作で4回も映画化されているとは・・・・・魅力的なテーマなのかも知れない。

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タイムリープ、タイムスリップ、タイムワープものと呼ばれる時空を超える物語は実に多い、最近の映画では過去に戻る事の出来る男を描いた「アバウト・タイム」がイギリスで大ヒットしている。

また、少し前の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は死ぬたびごとに二日前に戻ってしまう、そして「インターステラー」では、宇宙飛行士の10才の娘が、地球に戻ってみると高齢で死ぬ間際になっていた物語などきりがない。

人生やり直すことが出来たら面白いとか、過去や未来から現代に来て現代人と恋愛するとか・・・タイムリープ系ストーリーはネタが尽きない。

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話を元に戻すとアニメ版「時をかける少女」は、大林監督の作品から20年後を舞台にしており、主人公の紺野真琴は芳山和子の姪の設定である。

芳山和子は大林監督版のヒロインで、アニメ版にも「魔女おばさん」の愛称で出てくるのが面白い。彼女は美術品の修復家で、過去に書かれた作者不明の絵画を修復している。この絵がこの物語のポイントとなる。

当初はミニシアター並みの少ない上映であったが、インターネットによる口コミ効果によって、立ち見が出るほどの人気を博した。その結果長期間の上映となり、興行的に成功するとともに、国内外の多くの賞も受賞している。

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大林宣彦監督の映画から23年ほどたっており、観客の世代交代によって、昔のテーマが新鮮に感じられたり、男女の友情から恋愛へのちょうど中間を描いた「青春」時代が共感を呼んだものと思われる。

ストーリー

ストーリーを紹介すると、17才のお転婆娘、紺野真琴(声:仲里依紗)は高校二年生、放課後はいつも男友達の間宮千昭(声:石田卓也)と津田功介(声:板倉光隆)の三人で野球をやっている。

千昭(ちあき)も功介(こうすけ)もイケメンで秀才である、でも真琴(まこと)は彼らに恋愛感情は持っていない。千昭はとても優秀なのに何故か漢字が読めない、また功介も頭が良く、家業の医者を目指している。

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ある日真琴は学校の理科室で不思議な体験をする、部屋に隠れている誰かにびっくりして転んだ拍子に鈴のようなクルミのような物体に肘が触れ、一瞬体にショックを感じる。

帰り道、真琴は猛スピードで自転車をこぐ、ところが下り坂でブレーキが利かない、踏切には電車が差し掛かっていた。

踏切に突っ込み、電車にはねられたかと思った瞬間、ほんの少し過去に戻り、電車は目の前を通過していった。

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「魔女おばさん」にさっきの出来事を説明したら、おばさんは全く驚かないどころか、「それはタイムリープだよ」と答えてくれた。そして年頃の女の子にはよくある出来事だとはぐらかされた。

しかも、私も昔あったわと、冗談とも真実ともつかないことを言う。

真琴は諦めきれず、河原で再現実験をする、どてから猛スピードで川に向かって飛び込んだ拍子に体は時空をワープし、自宅の障子を蹴散らし、何と少し前の家に戻っていた。

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それ以来真琴は、その能力をつまらないことばかりに使う、一日前に戻りテストで100点とったり、カラオケの時間を延長させたり、美味しいおやつを何回も食べたり、学校の遅刻を回避したり・・・・・。

ある日功介が真琴の後輩から付き合ってほしいと「コクラレタ」らしい、功介はまんざらでもなかったが断ったようだ。真琴はそれはあまりにも冷たいと怒る。

ところが真琴は千昭と二人での帰り道、「オレと付き合えば」と千昭からコクラレル。慌てふためいた真琴は特殊能力を使って、過去にワープし、コクラレル機会を何故だか回避する。

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そんな千秋は真琴の同級生の友梨と仲良くなり、真琴は気分が落ち込む。

気分転換に「魔女おばさん」に会う、おばさんは作者も分らない不思議な絵を紹介してくれた。何百年も前の歴史的大戦争と飢饉の時代に書かれた絵らしい、世界が終ろうとしていた時に何故こんなにも心を打つ絵が描けたのだろうか・・・。

真琴は今度は功介と果穂との仲を特殊能力を使って、取り持つ・・・。ふと気づくと、ひじの裏にある数字が1になっていた。真琴はタイムリープ能力を使い果たし、あと一回しか使えないことを悟る。

ネタバレ

<ここからネタバレするから映画を観てから読んでね>

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タイムリープ能力が身に付いたスタートの場所、理科室に戻ってみた、ところが残念ながら何の手がかりもつかめなかった。

そんな時に功介は真琴の自転車を借りて、果穂を家まで送ろうとする・・・「自転車を借りるよ」と真琴の携帯にメールが入る。

真琴は自分が電車にはねられそうになった時間帯であり、胸騒ぎがして功介を追いかける。踏切に駆け付けたが特に事故は起きて無いようだった。

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そんなところに突然、千昭から電話がはいる、千昭は真琴に「お前タイムリープしてないか」と尋ねる。真琴は驚き、とっさにタイムリープし、千昭の電話を回避する。

ところが時間を戻したことによって、功介が果穂を自転車に乗せて真琴の横を通り過ぎる。真琴は必死に追いかけるが追いつけない、電車が来て遮断機が下りる・・・・もう間に合わない。

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ところが真琴が目を開けると、時間が止まり、目の前に千昭がいた、千昭が時間を止めたようだ。

千昭は「オレは未来から来た」・・・「オレの時代では時間を行き来、出来る装置がある」そして「これを体にチャージして使う」とクルミに似た装置を見せてくれた。

でも、理科室で千昭が落とした装置は残念ながら既に使用済みだった。

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この時代に来たのは、どうしても見たい絵があったからだ。「白梅二椿菊図」この絵を見るためにこの時代に来た、未来では焼失してしまったらしい。

でも、もう元の時代に戻れない、功介が乗る自転車をかっぱらうのに最後の1つを使ってしまった。功介と果穂が死んで真琴が泣き叫ぶのを見て、どうしても使わざるをえなかった。

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そして千昭はルールを犯した(真琴にタイムループのことが知られてしまった)、ここを去らなきゃならないと、どこかに行ってしまう。

真琴は千昭が時間を戻したことから、あと一回タイムリープが使えることを思い出す。そして真琴はあの時の理科室に戻る、そして床に転がっている装置を見つける。

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装置を千昭に渡し、事情を説明すると千昭は少し驚いた様子だが、彼の手首にはあと一回タイムリープが残っていた。そして千昭は「未来で待ってる」と、泣き叫ぶ真琴を残して、この時代から去って行く。

レビュー

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千昭は未来から来たようだが、彼が住む未来は文明は進んでいるが決してバラ色ではないようだ、川が無い、空も狭い、そして人が極端に少ない。

そして現代の素晴らしさに見とれ、かけがえのない友情や青春にも出会うことが出来た、その為目的を果たしたら直ぐに、未来に帰る予定が長居をしてしまった。

「魔女おばさん」芳山和子も青春時代に、真琴と同様な経験をしている、恋人の深町一夫は2660年の未来から「ラベンダー」を探しに来た植物学者である。そう考えると千昭は美術品を研究する学者なのかも知れない。

結局、芳山和子は彼を今でも待ち続けている、そして真琴も千昭に会える未来に向かって生きていくのだろうか。

僕らは、過去や未来にとらわれたり、あこがれたりして生きているけれども、やっぱり現代・・・・今が一番いいのかな。

辰々

 

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