邦画

映画「こんな夜更けにバナナかよ」感想・評価:普通の人間として生きた筋ジス鹿野靖明の壮絶で愉快な人生

サマリー


★★★☆☆(お薦め)

2018年12月公開のヒューマンドラマ
監督 前田哲(ブタがいた教室、こんな夜更けにバナナかよ
原作 渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」
出演 ●大泉洋(探偵はBARにいる、晴天の霹靂、アイアムヒーロー、こんな夜更けにバナナかよ
●高畑充希(怒り、DESTINY鎌倉ものがたり、こんな夜更けにバナナかよ
●三浦春馬(永遠の0、進撃の巨人、こんな夜更けにバナナかよ

映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』予告

主題歌のポルノグラフィティ「フラワー」

ポルノグラフィティが歌う主題歌「フラワー」ロングver./映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』PV

 

障害者の常識を遥かに覆した鹿野靖明(大泉洋)。彼の壮絶で楽しく、最高の人生の映画化だ。彼は筋ジストロフィー(筋ジス)で動かせるのは首と指だけ。そんな状態だが普通の人のように「人生を精一杯楽しむ」。

鹿野は1959年12月26日に札幌に生まれる。12才の時に筋ジスと診断される。20才まで生きられないと言われるが24才の時にリハビリ施設や病院から出てアパートで自立を始める。

27才の時に結婚するも32才の時、離婚も経験している。彼は死ぬまで静かに施設で余生を送ることの出来ない男だ。

彼はとにかく「わがままし放題」。真夜中なのに「バナナが食べたい」と無理を言う。ボランティアの安堂美咲(高畑充希)は街を駆けずり回ってバナナを探す。

美咲の恋人、田中久(三浦春馬)はそんな鹿野を「あの人のわがままは命がけ」と擁護する。鹿野は「おれは一日、一日が勝負なんだ」と我を通す。

とにかく障害者らしくない障害者なのだ。彼はアメリカに行く夢を持っている。そのためには英検二級を取らないとと必死だ。それに旅行したい、焼肉喰いたい、カラオケ行きたい、恋愛したい、結婚したいと・・・欲望は留まることを知らない。

彼は自分が普通に生きるためにボランティア(ボラ)を募集する。彼に係ったボラは実に累計500名だ。これだけわがままを言っても憎まれない男なのだ(とは言っても彼とケンカし去って行くボラもいた)。

障害者の映画なのにもの凄く明るく、楽しく、感動させてくれる。お薦め映画だ、是非映画館に駆け付けてほしい。鹿野は42才で既に亡くなっているがボラを家族と思って接している。映画を観た後の何と清々しいこと。

ネチネチ悩んでいる五体満足の我々の方が鹿野に負けている。返って鹿野から勇気をもらう感じだ・・・そんな映画を堪能してほしい。

大泉洋、高畑充希、三浦春馬の自然な演技が素晴らしい。主題歌のポルノグラフィティ「フラワー」が胸にジーンとくる。

ストーリー

田中久は北大の医学生だ。彼は鹿野のボラをやっている。恋人の美咲を連れて行ったところ、鹿野のわがままにキレた彼女は家に帰ってしまう。

しかし、鹿野は美咲に一目ぼれする。彼は久に彼女へのラブレターを代筆させる。久は美咲が自分の彼女であることを言い出せない。

しぶしぶ戻ってきた美咲は鹿野や久、ボラ仲間とジンギスカン焼肉デートに行く。しかし、ジンギスカンを食いすぎた鹿野はお腹をこわし、ウンコをちびってしまう。世話の焼ける鹿野だがそんなことはお構いなく、実に明るい。

美咲は久に「自分は教育大の学生だ」と言っていたが、実は大学に落ちてフリーターだった。そのことを知った久は怒り、二人の間に溝が出来る。そして久も医大を出て医師になることに疑問を感じていた。

そんな悩みを美咲は鹿野に打ち明ける。鹿野は「もう一回挑戦して大学を受けて教師になればいい」と勇気づける。鹿野の人柄に触れた美咲は彼を理解してゆく。そして鹿野もいつも明るい美咲に惹かれてゆく。

そんな時に鹿野が倒れる。もう体力が限界に来ていた。人工呼吸器をつけないと死ぬと言われた鹿野は応じざるを得なかった。人工呼吸器をつけた鹿野はしゃべれない、彼の唯一の武器である「声」が出ないのだ。

しかし、そんな中でも必死に声を出す訓練をする鹿野。彼は徐々に声を取り戻す。自分の進路に悩んでいた久はボラも大学も辞めると言う。鹿野はそんな久に「自分に正直に生きろ」と諭す。しかし、久は鹿野から離れてゆく。

ある日、鹿野が危篤だと、久と美咲に連絡が入る・・・・。

ネタバレ

「鹿野が危篤だ」と言うのはデタラメで、全てを知った鹿野は久と美咲をもう一度くっつけようと画策したのだ。鹿野に諭された二人はもう一度夢を追いかける。

その後7年経った。久は一人前の医者になっていた。美咲は教育大学を卒業して先生になる夢を叶えた。そして二人は結婚し新しい家庭を築いていた。めでたし、めでたしだ。

鹿野は必死に生き、二次性心筋症の不整脈で42才で永眠する。

レビュー

筋ジストロフィーとは遺伝性筋疾患の総称で筋繊維の破壊・変性と再生を繰り返し、次第に筋委縮と筋力低下が進行してゆく病気だ。

映画の中で母親が「こんな体のおまえを産んでしまって、申し訳ない」と謝るシーンがある。遺伝性疾患であることから両親は息子に責任を感じる場合が多い。

普通、20才ごろに亡くなってしまうが現在では医療の発達によって、さらに10年以上生きられるようになっている。この病気で苦しんでいる人たちに、この鹿野のように自立出来たケースはもの凄く勇気を与えたと思う。

限りある人生だから精一杯生きる姿に感動する。彼は自分一人では何も出来ない、かと言って病院で死ぬのを待つのは耐えられない。鹿野は色々な場所に出向いて、積極的にボランティアを集める。ボランティア達は24時間体制で鹿野をケアする。

鹿野はボランティアは自分の家族と同じだからと徹底的に甘える。こんな彼の人生も素晴らしいと思う。この映画から勇気をもらった気がする。僕だっていつかは死ぬ、場合によっては寝たきりになるかもしれない。だから人に頼ることは必要だし、頼るべきだと思う。

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